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炎の独白  作者: ナガトリ
1/1

前口上

 ぶち撒かれた臓物の上を歩けば、溜まっていた空気が圧迫され、破裂する。

 それと同時に、人体とはこれ程脆いものだったのかと軽く失望する。

 殺してしまった。同僚にはそりゃあキツく言われていたが、これは仕方がない。人間と僕等天使では体の構造が全く違うのだから、限度がどこかなんて解かるわけがない。

 そう脳内で言い訳をしながら証拠を隠滅する。バレて騒ぎになってしまうとその方が面倒だ。

「……それにしても随分不幸な人間だこと。」

 そうひとりごちて、散らばる贓物を比較的柔らかい土の中に埋める。少し臭うけれど、数日もすれば土になるだろう。最後に地面にこびり付いた血を砂で隠す。

 ……随分時間を潰してしまった。そろそろ同僚も心配しているだろうし、天に帰るとしよう。服はその辺に捨てて、適当にあしらえばなんとかなるだろう……


 程なくして帰ると、案の定同僚が泣きながら寄ってきた。話を聞いたところ、なんと地上へ行ったきり3日は経っていたらしい。家出したと思った、悪魔に殺されたのかと思った……なんて喚いていた。僕に限ってそんなことはない、と言おうとしたけれど、眠いので無視した。途中、変な匂いがすると言われ少し戸惑ったが、どうにかやり過ごすことができた。そして自室にこもり、僕は深い眠りについた。


 以来、時偶その光景が夢に出るようになった。けれど、特に不快な思いはない。きっと僕は、天使でありながら殺人に対して快楽を覚えてしまったのだ。

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