表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/150

僕の“心の弱さ”

 深く深く意識は潜っていく。

 僕の心の底の世界は、どこまでもどこまでも深まり、広がり続けていく。


 「無限に宇宙の果てへと広がっていく小説」と「心の底に潜り続けていく小説」は、実は全くといっていい程、同じなのだ。この能力を反転させれば、いつでも僕は、全く逆の小説を書くことができる。

 けれども、人々にはそれが理解できない。僕は、世界から理解されない。


 自分の世界を極めれば極める程、読者とのギャップはますます広がっていく。

 この方法が、“歴史に名を刻む”には、最適な方法だと、僕は直感的に知っている。直感というよりも、むしろ“経験”だろうか?経験的に知っている。過去の偉大な作家達は、皆、このような方法を用いていたからだ。

 だが、僕は同時にもう1つの事実を知っている。

「その方法は、その時代には理解されない」

 歴史に名を刻むのは、その作家の死後。あるいは、せいぜい、その作家の晩年。死期が近づいてきてからだ。


 このまま自分の世界を極めていけば、究極の小説家への道は近づいていくだろう。1歩、また1歩と。

 だが、それは同時に僕の死期を近めることにも他ならない。寿命を縮めていく生き方なのだ。


 正直、成功や名声などどうでもいい。

 僕が小説を書き続ける理由は、そこにはない。あるとしても、ほんのちょっとだけ。

 だが、周りの人間達は、そうではない。「早く成功しろ!」「でなければ、諦めろ!」と急かす。


 僕にとっては、どうでもいいコトが。周りの人々にとっては、そうではない。それこそが“一番大切なコト”なのだ。目に見える結果、それが全て。それがない者には価値はない。それを持つ者には価値がある。


 そうではない。そうではないのに…

 結果とは、作品。作品そのものなのだ。書き上げた小説。それ以上でもなければ、それ以下でもない。純粋に、そこだけで評価されるべきなのに。誰が書いたとか、どのくらい時間がかかったとか、どんなに努力したかなんて全く関係ない。あるのは、完成した作品、それだけ。


 全く同じ作品でも、有名な芸能人が書けば、評価は高い。

 障害者が作れば、絶賛される。

 世の中は、そういう傾向にあるのだが、本来はそういうものではない。純粋に、ただ純粋に作品そのものが評価されるべきなのに…


 僕自身、周りの人々や読者の評価を気にせずに生きられるようになりつつある。けれども、そういった部分が気になるということは、僕もまだまだ。

 これが、僕の“心の弱さ”か…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ