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“迷い”を描く

 わからない。わからなくなってしまった。完全に袋小路。自らが作り出したラビリンスの中で、自分自身が迷ってしまっている。

「こういう時には、何も考えないのが一番だろう。何も考えず、何も書かない。迷ったり、悩んだりしていても無駄だ。時間の無駄」と、そういう発想に至る。それが普通の人の発想。

 だが、僕はここでも書くのをやめない。ここまで迷ってしまったならば、それはもう仕方がない。だったら、逆にそれを利用する。迷っているならば、その“迷い”そのものを文章化してやればいい。悩んでいるならば、その“悩み”を小説に表現してやればいい。そう考える。


 たとえば、その昔、夏目漱石という小説家がいた。漱石は、悩みの多い人生だった。そうして、自らそれを肯定した。

「悩むというコトそれ自体が、生きるというコトなのだ」と見出した。

 そうして、作品にも、それを生かした。散々悩み、悩んで悩んで悩み尽くし、その悩みを原稿用紙に叩きつけた。そういう表現方法もあるのだ。


 だから、僕もここで悩もう。悩んで、迷って、考え尽くそう。

 きっと、その先に、何かが待っているはず…

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