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読むとレベルの上がる不思議な小説

 僕が目指す“究極の小説”の形。

 それは、おぼろげながら見え始めている。


 究極の小説。その条件の1つには、こういうものがある。

 “読むだけで、読者の能力が上がっていく”


 何の能力が上がるかは、その作品ごとに変わっていい。

 たとえば、「以前よりも自信が持てるようになった」とか「攻撃的な言葉に対する抵抗力が上がった」だとか、そういったものでもいいのだ。基本的には、精神的な能力の向上ということになるだろう(中には、とても分厚い本で、読んでいる内に腕力が上がったなどというコトもあるかも知れないが…)


 もちろん、この「僕は小説家になれない」シリーズも、それを目指して書かれた作品である。

 “作者としての能力”と“読者としての能力”の両方が上がるようにできている。ただし、その為には真剣に読まなければならない。ノンベンダラリと、鼻くそをほじりながら読んではならない。いや、鼻くそはほじりながら読んでもらっても構わないのだが、とにかく真剣に。

 読み方は、どのようなものでもいい。「フムフムなるほど」と納得しながら読んでもいいし、「そんなバカな話があるか!コイツの言うコトは全部、嘘ッぱちだ!」などと激昂しながら読んでもらっても構わない。


 ただし、ここで1つ注意しておきたいコトがある。

 それは、“能力が上がることが、必ずしも幸せであるとは限らない”ということだ。


 普通に考えると、能力が上がれば、それだけ幸せになれるだろうと考えがちだ。ところが、そうとばかりは言えない。むしろ、それとは全く逆の事態に陥ることも多い。

 それは、ここまで読んできた読者なら、理解できる人も多いと思う。


 たとえば、読者としての能力が極端に上がってしまったとしよう。すると、これまでのような本の読み方ができなくなってしまったりする。

 以前ならば、「最高におもしろい!」と思いながら読むことができていた本が、急に色あせて見えてしまい、つまらなく感じてしまうのだ。それどころか、「こんなモノの何がおもしろかったんだっけ?ゴミクズだな」などと思ってみたりもする。

 こういうのは、よくあるコトだ。だが、それは読者が悪いのではない。本の方が悪いのだ。本の方が、読者の成長についていけなかったのだ。真に価値のある本ならば、何度読んでもおもしろい。むしろ、読者の成長に合わせて、さらなるおもしろさを教えてくれる。成長や深みをもたらせてくれる。


 これは、作者の方にも言える。

 作者としてのレベルが上がれば、より難しい内容の文章を書くのに挑戦したくなり、表現方法も、これまでとは違った手法を試したくなってしまうのだ。

 すると、どうなるだろう?それに、ついていけなくなった読者が離れていってしまうのだ。これも、作者が悪いわけではない。いつまでも同じ場所に留まり続け、似たような作品ばかりを楽しみたがる読者が悪いのだ。


 このように、能力が上がることで幸せになれるとは限らないし、むしろ不幸になってしまう場合も多いだろう。

 それでも、能力を上げたいと望む諸君は、このままこの小説を読み進めていって欲しい。

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