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小説の世界の壁を破壊する

 小説の世界には、壁が存在する。

 人々は、その壁の中で暮らしている。壁に守られ、外敵の侵入を防いでもらい、安全に暮らしている。


 その“外敵”の正体とは何だろうか?

 それは、“新しい考え方”


 人々は恐れるのだ。

 新たな風に触れ、環境が一変するコトを。なぜなら、それには膨大なエネルギーを必要とするから。


 僕の役割は、その壁を破壊するコト。

 破壊して!破壊して!破壊しまくる!徹底的に破壊し尽くす!!


 巨大なハンマーを持ち出し、上空から全力を込めて振り下ろす。

 ガチ~ンという音と共に跳ね返される。


 もう1度だ!

 ガチ~ン!ガチ~ン!


 これでも駄目か?

 ならば、方法を変えよう。より巨大なハンマーを持ってくるか?それとも、ツルハシの方がいいだろうか?あるいは、掘削機だ!鉄球クレーン車を持ち出せ!


 ありとあらゆる手段を講じて、壁を破壊しようと試みる。

 それでも駄目なら、頭を使うしかない。静かに座って考える。


 そこで、僕は気がつく。

 壁にも、頑丈な部分と、もろい部分があるのだと。長年、吹きさらしにされていて、風化しかけている部分がある。そこを狙うのだ!


 再度、巨大ハンマーを振り下ろす!

 ドッゴ~ン!という音と共に、壁の一部が吹き飛んだ!


 もっと!もっとだ!もっとやれ!

 ドゴ~ン!ドゴ~ン!ドッゴ~ン!

 いいぞ!いいぞ!その調子!

 ドゴ~ン!ドゴ~ン!ドッゴ~ン!


 ついに、壁は破壊された!

 全体からすれば、ほんの一部だが、それでもここから何人かの人々は脱出できるだろう。


 そうやって、壁の中の住民を外の世界に出してやる。

 だが、外の世界の環境に慣れるには時間がかかる。すぐに、とはいかない。時を待つのだ。人々が新しい環境に慣れるまでの時を。


 その間にも、僕は壁の別の部分を破壊しにかかる。他にも、風にさらされて劣化しかけている場所はないだろうか?と、丹念に探して回る。

 そうして、発見しだい、破壊しにかかる。


 何度も何度も、そういうコトを繰り返している内に、段々と経験を積んでいく。より、効率のよい壁の破壊の仕方を学んでいく。

 時に、爆薬を使い、強引に。時に、壁を風化させやすい薬を開発し、それを振りまいて。


 こうして、僕は壁の破壊者となり、人々を新たな世界へと導くのだ。

 それは、ある者にとっては非常に迷惑な話だろうし、別のある者にとっては非常にありがたい行為に思えるだろう。


 え?外の世界にも壁があったら、どうするのかって?

 そりゃあ、もちろん!今度は、そっちを破壊しに行くんだよ!

 この世界に壁が存在し続ける限り、死ぬまで僕はそうやって壁を破壊して回りながら生きていくのさ!

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