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僕反省記念日

 クッソ!畜生!なんだ、この野郎!

 僕は天才なんだ!究極の小説家を目指す史上最高の小説書きだぞ!まだ、プロの小説家にこそなってはいないものの、実力だけは既存の作家なんて遥かに凌駕する程の力があるはずなんだ!!それをアイツら!全然理解できやしない!読解能力のカケラもないくせに、この僕を非難しやがって!能力がないのは、お前らの方だっての!!

 よしんば、奴らの言うコトが当たっていたとしよう!僕を非難するのはいい。だが、この僕の書く崇高な小説をバカにするコトだけは絶対に許さん!!上手く意図が伝わらないように書いた僕にも責任はある。そこは認めよう。それは、能力不足がゆえ。だが、作品をけなすコトだけは絶対に許さん!!作品は子供。親が子供を守るのは当然の義務!だから、僕は子供達を守る!この身に変えても守ってみせる!!


 え?何があったかって?

 そうか。そうだな。多くの読者には、何が起こったのか全くわからないはず。1つ説明を入れておかなければ。

 僕は、僕の書いた小説の1部を、世間様に公開してみせた。僕は、絶賛の声を想像した。

「こんな文章は、これまで見たことも聞いたこともない!」

「これは天才のしわざに違いない!」

「誰だ?誰なんだ?この世にも類い希なる奇跡の文章を生み出した人物とは?」

「キャ~!凄い!抱いて!」

 いや、違う。最後のは、オマケでつけ加えただけだ。実際には、想像していない。ただ勢いで書き加えてしまって、せっかくだから残しておいただけのセリフに過ぎない。そこは除外して読んで欲しい。


 それよりも結果だ。

 結果はどうだったか?現実はどうだったか?


 散々だよ!もう散々!

 確かに「見たことがない」といったような意見はあった。だが、それは賞賛とは程遠い。全く逆の意味でだ。「レベルが低い」とか「稚拙だ」とか「能力不足だ」という意味での「見たことがない」だ。

 本来、意図していた意味さえ伝わりはしなかった。もう全然全く駄目!!

 1つだけ、「天才だ」という書き込みもあったが、どうせアレも皮肉か何かだろう。言葉の意味、そのまんまで書かれたわけではないに決まっている。そのくらい、僕にだってわかる。フン、騙されたりはしないぞ!


 だが、僕は天才である。今に、小説の神に挑もうかという男である。

 であるからして、ここで「読者が悪い」「読解能力もない読者など相手にするものか」などという言い訳を用意する気はない。それどころか、反省する。読者に上手く意図を伝えることのできなかった自らの能力のなさを反省する。そうして、成長する。

 世界中どのような読者に対しても伝わるような文章を書くように成長する。ありとあらゆる人物に対して、老人から子供まで全てが理解できるような文章を書けるようになってみせる!今日は、その記念すべき第一歩の日なのだ。

 僕が反省したという記念日。“僕反省記念日”とでも名づけておくか。


 これから、さらなる飛躍が待っているのだ!

 さあ、ゆこう!いざ、ゆこう!輝ける未来へ向って!究極の小説家となるその日まで!!進み続けるのだ!!

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