文筆力を鍛える為に。それは、デッサン力のようなもので
「普通の小説」というのを書いている。
これは、僕が書いている小説の中では、珍しいタイプの小説だと思う。なにしろ、何も起きない。というか、特殊なコトが何も起きない。そもそも、舞台も現実の世界である。“日本”とハッキリ明記してある。他にも、現実の世界の固有名詞がいくつも飛び出す。こういう小説を、僕はあまり書かない。
けれども、これまであまり書いてこなかったからこそ、書くべきだと判断した。“苦手分野は克服するべきだ”それが、僕のモットー。
これ、何をやっているかというと、素の力を上げようとがんばっている。小説を書く地力とでもいうべきもの。名称を与えるならば、“文筆力”とでも表現しようか。文章力とも、ちょっと違う。もっと総合的な能力。小説を書く為の基礎となる力。それが、文筆力。
その為に、特殊な設定は全て排除した。たとえば、宇宙人が降りてくるとか、魔法が使えるとか、特殊な能力があるとか、ある種の才能に長けているとか、そういうものを全部捨ててみた。ゲームでいえば、“縛りプレイ”だ。能力を制限することで、残された能力のレベルアップをはかろうというわけだ。
これを絵にたとえるならば、“デッサン力”だろう。
他の画材を一切使用しない。色すら塗らない。頼れるのは、たった1本の鉛筆のみ。それだけで絵を描いていく。
あるいは、“肉体の美しさ”と表現してもいい。一切の服を脱ぎ捨て、己の肉体の美しさのみで勝負する。見よ!この筋肉美を!というわけだ。
いずれにしても、地味な小説である。
人からの評価は期待できない。その辺は、完全に捨てている。あえていうなら、昔の小説が好きな人なら、好みに合うかも。ただ、そういった人は、この「小説家になろう」というサイトには近寄りもしないだろう。たとえ存在したとしても、この小説までたどり着ける可能性は0に等しいに違いない。




