表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/150

絶望から始まる物語

 ああ~、よく寝た!すっごい寝た!バカみたいに寝た!

 おかげで、気力充分!体力充分!バリバリ書けそう!!


 夢の中でも、小説を書いていた。僕は、どこかのボロアパートに住んでいて、同じように貧乏な住人達と楽しく暮らしていた。いや、楽しくはなかったか?基本的には、苦しく暮らしていた。けれども、どこかに希望のようなモノはあった。

 深い深い海の底に生息する海洋生物が水面を眺め、かすかに降り注いでくる太陽の光を希望にしているようなもの。「いつか、あのお日様の光があふれる世界に出て行くのだ!」と思いながら暮らしているようなもの。

 そんな夢だった。


 目が覚めてからも、僕は布団の中で考えた。

 考えていたのは、小説を書く動機について。“人は、なぜ小説を書くのだろうか?”


 僕が書く小説の動機は、絶望だ。

 基本的に、小説の世界は既に終わっている。文字で表現する文化には、限界がある。人々は、文字など読みたくはない。もっとわかりやすい表現方法がいくらでもある。マンガでも、音楽でも、映画でも、アニメでも。わかりやすいモノを求めている人達は、みんなそっちへ流れていってしまった。これから、もっと流れていくだろう。

 仮に、文字で表現しようと思っても、これからはわかりやすさが求められる時代になるだろう。わかりやすく、読みやすく、取っつきやすい文章。そうでないモノは、全て敬遠される。まるで、世の中の人達がみんな、食べやすい食べ物ばかり食べるようになってしまったみたいに。

 価値があるかどうかなんて、どうでもいいんだ。栄養素がどれだけ含まれているかなんて関係ない。まずは、読みやすく、食べやすくなければ。それは、小説も食べ物も同じ。極端にやわらかく、噛みやすく、飲み込みやすく、甘かったり、辛かったりする。それも、できれば安い方がいい。牛丼やハンバーガーのように。


 僕は、そこに一石を投じる為に現われた。

 安くて、美味しくて、栄養もある。そんな料理は作れるはずだ!と。小説も、それと同じ。ただ単に読みやすいだけじゃない。そこには、様々な味がある。料理がある。もちろん、その為には食べる方も、それぞれの料理にあった“食べ方”というものを知らなければならない。小説でいえば、“読み方”を。

 それでも、あるはずなんだ。誰もが読める究極の小説というモノが!


 絶望から始まって、希望で終わらせる。それが、僕の人生。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ