小説の中の世界だけが残る
周りから情報が消えていく…
そうして、小説の中の世界だけが残る。
ちょっとばかしスランプに陥りかけていたけれども、どうやら、調子を取り戻したらしい。雑念が消えていくのがわかる。
ここで、現実の世界の情報を1度全てシャットダウンする。この状態が一番、小説を書くのに適している。
現実の世界は関係ない。現実を完全に閉め出して、空想世界に没頭する。物語の世界に暮らす。それこそが、理想の状態。作家として、最高のコンディション。
けれども、この状態が長く続き過ぎると、今度は別の問題が発生する。
世界が狭くなってしまうのだ。外部からの情報をシャットダウンしているせいで、それ以上の成長が望めなくなる。空想の世界を構築できているのはいいのだけれども、その世界が広がらなくなってしまう。
なので、今度は外部の情報を吸収し始める。現実の世界に触れるのだ。
ここからが難しい。空想の世界を維持しつつ、かつ現実を受け入れる。これが、非常に難しい。なぜなら、全く逆の能力を同時に扱わなければならないのだから。
それでもやらなければならない。そうしなければ、作家としての成長はない。