読者の声が聞こえ過ぎる
アレ?
どうしたんだろう?
急に小説が書けなくなってしまった。
条件は揃っているはずなのに。
いつもと同じように起きて、いつもと同じように活動した。欠けているモノは何もない。いつも通りの条件。理論上、小説は書けるはず。なのに、手が動かない。
アイデアがないわけではない。なければ、想像すればいいし。そうでなくとも、ストックはまだいくつもある。問題はそこじゃない。
ちょっと眠いのと、ちょっとだけお腹が空いているけれども、そんなのはいつものコト。それらを含めて、いつもと同じ状態。
いつもの時間なら、もう2話か3話は完成しているはず。それが、まだ、たったの1話だけ。
ひさしぶりに休みの日にしてもいいんだけど、特に休む理由がないのに休日にするというのも、もったいない。
あと1歩。何かが背中を押してくれれば書けるのに。そういう心境。
読者の声が聞こえないのだろうか?
いや、そんなコトもない。むしろ、それとは逆。大勢の読者の声が聞こえてくる。
聞こえ過ぎているのだろうか?読者の声が?だから、迷っている?
その読者の声を、ちょっと書き出してみよう。
「早く続きを書いてよ!」
「いや、今日はもういい。更新ペースが早過ぎる。だから、ちょっと抑えた方がいい」
「1話ずつが、ちょっと短いな。もっと長く書いてよ~」
「このままの方がいいよ。あんまり長いと、読むのが大変だもの」
「もっと主人公を活躍させてよ」
「いやいや、主人公なんて、どうでもいい。サブキャラの女の子の話の方が読みたい!」
「戦闘シーンが少ないな。もっとバンバン戦わせてみて!」
「そういうのは、もういいよ。他の小説で読み飽きちゃった。それよりも、文化的な話を書いてよ。音楽とか絵画とか芸術について。あるいは、哲学とか学問とか」
「漢字が多くて読みづらい。改行も、もっと増やして欲しい!会話の前後も空白を入れるようにして欲しい」
「変な部分で改行されてて、読みにくい。もっと、改行や段落を減らして、普通の小説みたいにしてよ!」
このような矛盾した声の数々。
読者は1人じゃない。それは、“理想の読者”とか“普通の読者”という分け方だけではなく、普通の読者にもいろいろいる。多種多様なのだ。
では、一体、僕はどの読者の声に合わせればいいのだろうか?
一番声が大きい人?それとも、一番数の多い意見?それに従ったら、書いている小説はよくなる?本当に?本当に?本当に?