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残酷な物語
頭の中にいいアイデアがある。最高のアイデアだ。最高の作品を生み出す為の最高のアイデア。
ただし、1つ問題がある。それは、読んでいる人を苦しめてしまう物語だということだ。果して、このような作品を書くべきなのだろうか?
それは、決して物理的な苦痛ではない。たとえば、戦場で兵士が銃殺されるだとか、拷問されるだとか、手足を切り刻まれるだとか、その手の残酷さではない。もっと地味で、精神的なもの。けれども、ある意味ではその方が、より厳しさを増す。物理的な非道行為よりも、さらに残酷であるとも言える。
読者の声が聞こえてくる。
「もう、やめてくれ!」「わかったから!もう、わかったから!」「もう、これ以上は先を読むことができない。苦し過ぎる」
そのような読者の声が。
仮に、この作品が世界最高傑作だったとして、これを生み出し、世に放つべきなのだろうか?それとも、そうするべきではない?
僕は迷う。少なくとも、今の僕は。けれども、いずれ時が来れば、そうしてしまうのではないだろうか…




