勝敗は
一週間毎日投稿と言っても、話自体がぐだっているのでそこまで進まない可能性。いや、申し訳ないです……。どうしても同じところでグダグダ迷ってしまう、作者の優柔不断さが色々な人に現れているようで……もっとはっきりするよう頑張りますので! アリスたちもそろそろ決断出すと思うので! (予定は未定)ですが、どうぞ、よろしくお願いします!!←
「それが君の答えなんだね? できる限り、血を流さない? 自分なら、傷ついても構わない?」
笑った仮面を身に着けて、グレイはファイナルアンサー? と聞いてくる。
「ええ。そうね。ちょっと、実際どうなるかなんてわからないけれど、きっと、たぶん、今の気持ちは、そんな感じ」
理想しか語ってないわけだし、これで及第点貰えるか全くわからない。
大体、私ができないって、既に思ってる。エースの事は殴りたいけど、いざ目の前にしたらそれだけじゃすまなくなりそう。すごく責めて、詰って、暴言浴びせて、それだけでも足りなくなりそう。それに実際傷つくってなったら、怯えて逃げることになりそう。どうでもいいって思っても、痛いのはやっぱり怖いし、チェシャ猫を目の前にして逃げようとした前科もある。
やっぱりこれらは、ただの理想論。
でもできるなら、できることなら、エースとハートと、一緒にまたお茶したいな。あの時は幸せだった。
裏切りさえなければ。
「そう、いいよ。わかった。私をあげる」
希望を夢見て、遠くへ視線を飛ばしていたから、一瞬何言ってるかわからなかった。
「え?」
「私をあげると言ったんだよ。私をあげたら絶対ミカもついてくるし、ネネも元から味方になりたそうだったから、一気に三枚手に入るね。よかったかい?」
グレイは首をかしげてこちらを見てくる。
「……いいの? え、何が決め手?」
甘っちょろい理想って感じで、とても不愉快なものだったと思うんだけど?
「さぁ? ……チェシャ猫は、機会があればスペードのエースを殺す気だよ。アズールも大切な人を殺された。女王陛下は首を刎ねることが好きだし、私たちだってかなり血に汚れている。……だからかな? 理想を理想とわかっていながら、まだ求める君が少し、うらやましく思えたんだ、と思う?」
なんで最後すごいふわっふわなの?
でもまぁ、なんか、わからないでもない気がするけど。
必死に勉強頑張って、でも成績が微妙な人が、私みたいなバカを見て、あ、全然私賢いわ。ってなる感じみたいな?
「たぶん違う気がするけど、なんでもいいか」
違うならそこ諦めないでほしい。いや、他人だからわかり合えないけどさ。想像力で補うしかないし、私の想像力はグレイたちには届かなそうだし……。
というか、何普通に私の思考を読んでくるんだ。顔バレすぎるのもほどがあるぞ、私!
「ともかく、君の答えが気にいったってことだよ。君の勝ちでいい。……その代り、君に賭けるわけだから、ちゃんと成果を私におくれよ?」
少しだけど、グレイの口の端が不安そうに歪んだ。一瞬だけ、ピクリと。
代わりに私が大きく唇を笑みの形に歪めた。
「ええ、もちろんよ。その代り、私にも、ちゃんと成果を頂戴ね?」
この笑顔は自信満々に見えるだろうか。見えないだろうな。自分でもひきつってるのがわかる。
でも、少しでも、グレイを安心させてあげられたらいいな……。
「あげられなかったら、どうしようか? 腹でも切って詫びようか?」
と、グレイは冗談めかして口の片方を笑ませた。
「こんなイングリッシュ感あふれる庭で、まさかのジャパニーズHARAKIRIに私は驚きを隠せない」
どこで覚えてくるんだろう? ……わぉ、ワンダーランド、ワンダーランド。
「では、アリス。私はもういいや。なんか疲れてしまったし、もう二人を呼ぼうと思うよ? どうかな?」
「えーっと、呼べば?」
どうかなと言われても、カードくれるならくれって言いたいし。
「言い方が悪かったね。三人分のカードが手に入る。君は、カードを手に入れると倒れてしまうね? 三人分の倒れる時間がどの程度かもわからないし、今のうちに何かやりたいことはあるかな?」
なるほど。そう言えば毎回ぶっ倒れてたなぁ……。
……毎回倒れて、映像を見て、たぶん記憶を思い出して、それで? 私はちゃんと前に進んでるんだろうか?
「まあ、いいわ。そうね、シャワー浴びて、もう一眠り……の前にミカ達と話して、ぶっ倒れたままスヤァしたいわ」
「じゃあ、ミカに風呂の支度でも頼もうか」
お風呂上り、ミカに傷の手当をもう一回してもらって、軽食をみんなで食べる。
今度はちゃんと味わえる。ミカ特製のおいしいご飯。グレイのおいしい紅茶。
うむ。素晴らしい。
あ、途中でほったらかしにしたトランプは、ミカが片付けてくれた模様。本当に、できる女感ありますな。よいですな。
「ちゃんと寝て起きたはずなのに、今すでに頭くらくらしてる」
まだ日は高いし、起きてからそんなに経ってないはずではある。
でも精神的に疲れたからー。グレイのせいで精神削れたからー。あーーー。
「よかったじゃないか。これでゆっくり倒れられるね?」
「いや、アリスのは仕方ねぇかもしれないけど、倒れるって割と非常事態だぜ?」
グレイのボケに、ミカがちゃんとツッコんでくれる。よかった。今の私にはツッコむ余裕ないのよ……。
「大丈夫、怖い夢は見させないから。記憶戻した後もゆっくり寝てていいよ」
隣に座ってるネネがいつもと違う、ちょっときりっとした顔で励ましてくれる。
あー、かわいい。癒される。悪い夢から守ってくれるってよ。あーーーかわいい……。
「むっ、バカにしないでね? 僕の異能なんだから」
「異能?」
んー、あれか? アズが幻使えるみたいな?
ふぁんたじー。
「おや、信用してないようだね? ネネの異能は割と有用だよ。……後でつなげてもらおうね」
「つなげる?」
「後でわかるよ」
グレイは謎の言葉を告げてくる。にやにやしてて、腹が立つけどどうせ説明してくれない。
「……そろそろやろうか?」
食後の紅茶も飲み終わって、グレイが移動を促す。
四人でぞろぞろ移動すると、なんかシュール。しかも私が借りてる部屋、そこまで広くない。いっぱいいっぱい。
私はベッドに腰を掛けて、カードを取り出した。
三人は順に私の前に立って手を伸ばした。
「君が約束を守ってくれる限り、私も約束は守るよ」
グレイがそう言ってカードに手を触れる。スペードの4と、何かの本を持ったグレイのミニキャラが描かれた。
そこでちょっと気が付く。ミニキャラ、かわいいなー、とか言う雑な感想しか持ってなかったけど、エースのカードにはミニキャラはなかった。本当にお前のカードになったわけじゃないって、そういうヒントだったのかもしれない。
ふっと、重たくなる頭でそう考えた。
次にミカが私の前に立つ。
「あー、俺はグレイについてくだけだけどよ。でも、アリスの事は結構気に入ってんだ。だから守ってやるよ、グレイとあんたの約束とやらがある限り」
そう言って、カードに触る前に私の頭を撫でた。……ちょっと、乱暴すぎて頭ぐしゃぐしゃになったけど、ミカっぽくて、落ち着く。
ミカのカードはダイヤの9。ミニキャラは銃を構えていて、目つきが鋭い。でもかわいい。
頭がすごく重くなった。視界が狭まる。
次はネネ。
「最後なのはちょっと納得いかないけど……。アリス、僕は絶対に君を守るから。カード渡しちゃえばもうあの二人は関係ないからね。僕は絶対、絶対に、裏切らない」
ネネのカードが色づいた。クラブの5。ミニキャラのネネは袖口から出ている鎖に囲まれていた。それと、何故か片手に枕を抱いている。不思議。かわいい。
それと、誓いの言葉。裏切らないって、とても嬉しい。エースの事があったから、余計に何か、きゅんと来る。切ないけど、悲しいけど、一人でも味方になってくれれば幸せかもしれない。
そこまで見届けて、もう体を起こしてられなくなった。三人分、結構堪えたんじゃないかな?
前に倒れかけたのを、誰かが……場所的に多分ネネが抱き留めてくれる。
「おやすみアリス。よい夢を」
ひと肌の心地よさも手伝って、私は暗闇の中にふわりと降りて行った。




