最速?
調子はいい。故に、書き続けられる。しかし、時間がない!
とりあえず出来上がったので今月二回目です~。
門を入って、いつものお茶会会場へ。草の上に直接置かれたテーブルとイス、そしてテーブル上のカラフルなお菓子たち。いつも通り。
いつも通りじゃないのは、グレイとディーとダムが立って私を迎えていること。
「いらっしゃい、お嬢さん」
「「いらっしゃーい、お姉さん!!」」
ん? もう一つ、いつも通りじゃない、こと?
私はディーとダムを凝視した。違う。いつもと違う。なんか違う。ほとんど同じだし、気が付かないくらいの差だけど、それでも違和感が半端じゃない。
なんだ? 何が違う? 何がおかしい? どこが……?
「おねーさーん?」
「どうしたのー?」
「「僕らの顔に何かついてる??」」
あ、わかった。交互に話したらやっとわかった。声と話し方、それに雰囲気も違う。二人入れ替わってない? 赤い方がディーで、青い方がダムだったはずだけど、今は逆じゃない? でも髪色とかわざわざ染める?
あー、でもカンだこれ。あってるかわからない。でも気になる。
悪戯? これたちの悪い悪戯ってやつかしら? だったら、うかつに何か言うのはだめかしら。地雷かしら。
出かける間際のハートの言葉がよみがえる。これで機嫌を損ねてゲームが無効になったら笑えない。
じわりじわりしみ込むように、ハートの言葉が私を苛む。
「アリス? おい、アリス!」
「あっ!? な、なに?」
後ろから肩を叩かれて、思わずびくっとなってしまった。
「どうしたんだよ? 気分ワリィ?」
「顔、青い……休む……?」
上からも下からも、心配そうな顔が覗き込む。
「だ、大丈夫よ! ちょっと、えっと、緊張! そう、緊張しちゃったの!! ごめんね」
あー、警戒心をいい感じに持つって無理ね。過剰反応しちゃう。私絶対スパイとか向いてないわ。
とか現実逃避しつつ平静を保つ。
「え、えっと……」
「おねーさん……」
「「とりあえず、座る??」」
あぁ、ディーとダムにも心配かけてしまった。ゲームなのに。ほんと、ごめん……。
「そうさせてもらおうかしら……」
なんかもう疲れた……体力系のゲームだったら死ぬ。
「んじゃぁ、アリス。こっちへどーぞ」
ミカがリードしてくれる。ちょっと動作は荒いけど、ミカっぽくてそれもかっこいい。
「ふふっ、ありがとう」
かっこいいイケメン(女)に先導されるのは悪い気分じゃない。てか、うん、身に余る光栄ではあるけど、同性だから気安い感もあって、むふふって笑える。
「……ふむ」
グレイが少し顎に手を当てて何か考えるポーズをとったが、私が席に座ると、こっちに近づいてきた。
「アリス、気になったことは率直に言うといい。少なくともここには、気分を害したら首を刎ねる、なんて短絡思考はいないのだから」
そう、耳打ちされた。
驚いて目を見張り、グレイを見つめる。
顔が近い。それでも彼の目は見えない。けれど隠れた奥から、強い光が私を射抜いたのを感じた。
「ちょっと、帽子屋さん!?」
「それはルール違反じゃないの!?」
ディーとダムにもその言葉が聞こえたのか、少し怒ったように声を荒げた。
「女王陛下に何か言われただろう。それこそゲーム妨害ではないか? 重大なルール違反だ。だとしたら正さねば」
「「「え?」」」
私と双子の声が重なる。
「まぁ、過度に干渉するのもルール違反だろうから、私が言えるのはそれだけだ」
グレイはそう言うと、クスッと笑い、自分の席に座った。
縦長のテーブルで、私の隣にミカ、その隣にグレイ。私の目の前にはディーとダムが、グレイの前にはネネが座っている。
「さて、お茶会を始めるかい? 今日はいつもの一色お菓子ではなくカラフルだ。金は双子からもらっているからね。存分に楽しもうじゃないか」
え、あの、いやいやいやいや!
「あんなこと言われて黙ってお茶会始められるかぁあああ!!」
ちゃぶ台だったらひっくり返したい衝動に駆られたわ!!
「なに? なんなのよ? グレイは何が言いたいわけ? もうゲームが始まってるとでもいいたいの!?」
「それは言えないな。でも、そうだね、君は隠し事が得意ではないのだから、無理に隠すのは無意味ではないのかな?」
「あー、はいはい! どうせ私は顔に全部出るんでしょ? 知ってるわよ! 悪い癖よねぇ!! でもあんただってからかったじゃない? 直した方がいいってことでしょうよ!?」
「んふふ。それはどうかな? 素直なのはある意味美徳だとは思うけれど? まぁ、ゲームに不利なのは確かだけどね」
のらくらと言う感じで言葉を継いでいく様子に、どんどんイライラがたまっていく。
「あ、アリス!? お、落ち着けよ?? 紅茶飲むか????」
「ミカ、少し、放っておく、と、いい……」
「ネネ、なんでお前おちついて……」
「いや、僕たちが一番びっくりしてんだけど」
「お姉さん、キャラかわりすぎじゃない??」
「アリスは意外とずけずけ言うぞ」
「「なんだかなー」」
外野がうるさい気がするがこうなったらシカトだ。いや、間に挟んでしまったミカには、申し訳ないとは思う。
「だったら、何かあったらあんたが責任とってくれんの? カード開けてくれないけど!!」
「ふふっ、ここだけならとってあげるよ。だって君の心配は無意味だから、何でもしてあげると言ってあげてもいいよ」
「いったわねぇ……!?」
「言ったよ」
この余裕綽々といった調子は、どうやったら崩せるのか……。
「えぇ、だったら私も言ってやるわよ!!」
売り言葉に買い言葉的な。ここを逃したらどうしようもなさそうだし、もう言ってやる。ヤケだヤケ!!
ずびしぃ! と効果音が付きそうなほどまっすぐに、指を二人に突き付ける。
「ディー、ダム!」
「「はいっ!?」」
急に話を振られたからか、二人の声は裏返ってた。
「あんたたち、何で入れ替わってんの?」
その場に落ちた重苦しい沈黙。
ディーとダムは、目玉が落ちるんじゃないかというくらいに目を見開いた。ミカもぎょっとしたように、体を引く。ネネは少し固まった後、らしくない、口の端を吊り上げる笑みを浮かべた。視界の端に引っかからないグレイはわからないけど、どうせにやにや笑ってるんでしょうよ。
ほら、この微妙は空気、どう責任とるわけ?
「やっぱ違う?」
そもそもカンだったのよ。テストでカンなんて当てにならないじゃない? 今回だって間違えてるんじゃないの? なんかだんだん不安になってきた……。
ディーとダムが目をぱちくりと瞬かせる。
次の瞬間椅子を倒して立ち上がった。
「「だーいせーいかーい!!」」
双子は片手ずつ出して、打ち鳴らした。
「よくわかったね、お姉さん。あっさり終わっちゃって拍子抜けなんだけど」
「帽子屋さんの言葉がなくてもわかってたってこと、だよね?」
「まぁ、じゃなかったら無効になっちゃうしね」
「でも言葉があったところで見抜けるのなんてふつういないよね!」
「「ってことはやっぱりお姉さんすごーい!!」」
そう言ってもう一度手を打ち鳴らした。
「嬉しいのはわかるが、椅子も大事にしてくれよ? 新調したばっかりなんだ……」
そういえば一回大暴れされてたような……。ドンマイ。
「じゃあ、カード出して」
「開けてあげるね」
「「それから僕たちの話聞いてね」」
本当にうれしそうに瞳を輝かせる姿は、子供っぽくてかわいらしい。あー、これで鎌をぶん回す危ない子じゃなかったら……。
ちょっと遠い目をしながらカードを出そうとすると、グレイからストップが入った。
「ちょっと待ちたまえよ」
「何? 邪魔するの帽子屋さん?」
「僕ら、お姉さんのカードになるんだよ? うらやましいんでしょ」
ディーは威嚇するように、鎌を持つように手をそろえ、ダムは自慢げにフフンと笑った。
……いや待った。逆か?
「そうではなくて、アリス、君、カードをもらったら気を失うだろう?」
「あ……」
そういやそうだった。
「もう少し冷め始めているが……紅茶は温かいうちが一番だよ。先に話をすればいいだろう?」
「それも、そうね……」
「「仕方ないかー」」
双子も納得したようなので、お茶会を先にすることに。ミカがせっせと紅茶を淹れなおしてくれた。ありがたやー。
相変わらずミカの手作りお菓子は美味しいです。宮廷パティシエとはまた違った、最高においしい、なのよね……。
あー、幸せ……。




