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迷夢の国のアリス  作者: 影宮ルキ
62/102

最速?

 調子はいい。故に、書き続けられる。しかし、時間がない!

 とりあえず出来上がったので今月二回目です~。

 門を入って、いつものお茶会会場へ。草の上に直接置かれたテーブルとイス、そしてテーブル上のカラフルなお菓子たち。いつも通り。

 いつも通りじゃないのは、グレイとディーとダムが立って私を迎えていること。

「いらっしゃい、お嬢さん」

「「いらっしゃーい、お姉さん!!」」

 ん? もう一つ、いつも通りじゃない、こと?

 私はディーとダムを凝視した。違う。いつもと違う。なんか違う。ほとんど同じだし、気が付かないくらいの差だけど、それでも違和感が半端じゃない。

 なんだ? 何が違う? 何がおかしい? どこが……?

「おねーさーん?」

「どうしたのー?」

「「僕らの顔に何かついてる??」」

 あ、わかった。交互に話したらやっとわかった。声と話し方、それに雰囲気も違う。二人入れ替わってない? 赤い方がディーで、青い方がダムだったはずだけど、今は逆じゃない? でも髪色とかわざわざ染める?

 あー、でもカンだこれ。あってるかわからない。でも気になる。

 悪戯? これたちの悪い悪戯ってやつかしら? だったら、うかつに何か言うのはだめかしら。地雷かしら。

 出かける間際のハートの言葉がよみがえる。これで機嫌を損ねてゲームが無効になったら笑えない。

 じわりじわりしみ込むように、ハートの言葉が私を苛む。

「アリス? おい、アリス!」

「あっ!? な、なに?」

 後ろから肩を叩かれて、思わずびくっとなってしまった。

「どうしたんだよ? 気分ワリィ?」

「顔、青い……休む……?」

 上からも下からも、心配そうな顔が覗き込む。

「だ、大丈夫よ! ちょっと、えっと、緊張! そう、緊張しちゃったの!! ごめんね」

 あー、警戒心をいい感じに持つって無理ね。過剰反応しちゃう。私絶対スパイとか向いてないわ。

 とか現実逃避しつつ平静を保つ。

「え、えっと……」

「おねーさん……」

「「とりあえず、座る??」」

 あぁ、ディーとダムにも心配かけてしまった。ゲームなのに。ほんと、ごめん……。

「そうさせてもらおうかしら……」

 なんかもう疲れた……体力系のゲームだったら死ぬ。

「んじゃぁ、アリス。こっちへどーぞ」

 ミカがリードしてくれる。ちょっと動作は荒いけど、ミカっぽくてそれもかっこいい。

「ふふっ、ありがとう」

 かっこいいイケメン(女)に先導されるのは悪い気分じゃない。てか、うん、身に余る光栄ではあるけど、同性だから気安い感もあって、むふふって笑える。

「……ふむ」

 グレイが少し顎に手を当てて何か考えるポーズをとったが、私が席に座ると、こっちに近づいてきた。

「アリス、気になったことは率直に言うといい。少なくともここには、気分を害したら首を刎ねる、なんて短絡思考はいないのだから」

 そう、耳打ちされた。

 驚いて目を見張り、グレイを見つめる。

 顔が近い。それでも彼の目は見えない。けれど隠れた奥から、強い光が私を射抜いたのを感じた。

「ちょっと、帽子屋さん!?」

「それはルール違反じゃないの!?」

 ディーとダムにもその言葉が聞こえたのか、少し怒ったように声を荒げた。

「女王陛下に何か言われただろう。それこそゲーム妨害ではないか? 重大なルール違反だ。だとしたら正さねば」

「「「え?」」」

 私と双子の声が重なる。

「まぁ、過度に干渉するのもルール違反だろうから、私が言えるのはそれだけだ」

 グレイはそう言うと、クスッと笑い、自分の席に座った。

 縦長のテーブルで、私の隣にミカ、その隣にグレイ。私の目の前にはディーとダムが、グレイの前にはネネが座っている。

「さて、お茶会を始めるかい? 今日はいつもの一色お菓子ではなくカラフルだ。金は双子からもらっているからね。存分に楽しもうじゃないか」

 え、あの、いやいやいやいや!

「あんなこと言われて黙ってお茶会始められるかぁあああ!!」

 ちゃぶ台だったらひっくり返したい衝動に駆られたわ!!

「なに? なんなのよ? グレイは何が言いたいわけ? もうゲームが始まってるとでもいいたいの!?」

「それは言えないな。でも、そうだね、君は隠し事が得意ではないのだから、無理に隠すのは無意味ではないのかな?」

「あー、はいはい! どうせ私は顔に全部出るんでしょ? 知ってるわよ! 悪い癖よねぇ!! でもあんただってからかったじゃない? 直した方がいいってことでしょうよ!?」

「んふふ。それはどうかな? 素直なのはある意味美徳だとは思うけれど? まぁ、ゲームに不利なのは確かだけどね」

 のらくらと言う感じで言葉を継いでいく様子に、どんどんイライラがたまっていく。

  「あ、アリス!? お、落ち着けよ?? 紅茶飲むか????」

  「ミカ、少し、放っておく、と、いい……」

  「ネネ、なんでお前おちついて……」

  「いや、僕たちが一番びっくりしてんだけど」

  「お姉さん、キャラかわりすぎじゃない??」

  「アリスは意外とずけずけ言うぞ」

  「「なんだかなー」」

 外野がうるさい気がするがこうなったらシカトだ。いや、間に挟んでしまったミカには、申し訳ないとは思う。

「だったら、何かあったらあんたが責任とってくれんの? カード開けてくれないけど!!」

「ふふっ、ここだけならとってあげるよ。だって君の心配は無意味だから、何でもしてあげると言ってあげてもいいよ」

「いったわねぇ……!?」

「言ったよ」

 この余裕綽々といった調子は、どうやったら崩せるのか……。

「えぇ、だったら私も言ってやるわよ!!」

 売り言葉に買い言葉的な。ここを逃したらどうしようもなさそうだし、もう言ってやる。ヤケだヤケ!!

 ずびしぃ! と効果音が付きそうなほどまっすぐに、指を二人に突き付ける。

「ディー、ダム!」

「「はいっ!?」」

 急に話を振られたからか、二人の声は裏返ってた。

「あんたたち、何で入れ替わってんの?」

 その場に落ちた重苦しい沈黙。

 ディーとダムは、目玉が落ちるんじゃないかというくらいに目を見開いた。ミカもぎょっとしたように、体を引く。ネネは少し固まった後、らしくない、口の端を吊り上げる笑みを浮かべた。視界の端に引っかからないグレイはわからないけど、どうせにやにや笑ってるんでしょうよ。

 ほら、この微妙は空気、どう責任とるわけ?

「やっぱ違う?」

 そもそもカンだったのよ。テストでカンなんて当てにならないじゃない? 今回だって間違えてるんじゃないの? なんかだんだん不安になってきた……。

 ディーとダムが目をぱちくりと瞬かせる。

 次の瞬間椅子を倒して立ち上がった。

「「だーいせーいかーい!!」」

 双子は片手ずつ出して、打ち鳴らした。

「よくわかったね、お姉さん。あっさり終わっちゃって拍子抜けなんだけど」

「帽子屋さんの言葉がなくてもわかってたってこと、だよね?」

「まぁ、じゃなかったら無効になっちゃうしね」

「でも言葉があったところで見抜けるのなんてふつういないよね!」

「「ってことはやっぱりお姉さんすごーい!!」」

 そう言ってもう一度手を打ち鳴らした。

「嬉しいのはわかるが、椅子も大事にしてくれよ? 新調したばっかりなんだ……」

 そういえば一回大暴れされてたような……。ドンマイ。

「じゃあ、カード出して」

「開けてあげるね」

「「それから僕たちの話聞いてね」」

 本当にうれしそうに瞳を輝かせる姿は、子供っぽくてかわいらしい。あー、これで鎌をぶん回す危ない子じゃなかったら……。

 ちょっと遠い目をしながらカードを出そうとすると、グレイからストップが入った。

「ちょっと待ちたまえよ」

「何? 邪魔するの帽子屋さん?」

「僕ら、お姉さんのカードになるんだよ? うらやましいんでしょ」

 ディーは威嚇するように、鎌を持つように手をそろえ、ダムは自慢げにフフンと笑った。

 ……いや待った。逆か?

「そうではなくて、アリス、君、カードをもらったら気を失うだろう?」

「あ……」

 そういやそうだった。

「もう少し冷め始めているが……紅茶は温かいうちが一番だよ。先に話をすればいいだろう?」

「それも、そうね……」

「「仕方ないかー」」

 双子も納得したようなので、お茶会を先にすることに。ミカがせっせと紅茶を淹れなおしてくれた。ありがたやー。

 相変わらずミカの手作りお菓子は美味しいです。宮廷パティシエとはまた違った、最高においしい、なのよね……。

 あー、幸せ……。

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