悪魔の笑みとゲームスタート
すいません、少し短いかもです。
「ねぇ、アリス。ゲームは順調?」
ディーとダムのお茶会に行く少し前。ハートは私の部屋にやっていた。
「今回は特別なお茶会だろう? なら、少し飾ってあげようね」
そう言って彼女は、私の髪の毛をいじり始める。細かく編み込まれていく髪の毛を見ながら、私は考えた。
え、何かフラグ踏み抜いたかな……?
頼れるお姉さまは柔らかく微笑んでいるように見える。けど……。
なんか怖い。うつろ、って感じ。
髪に触れる手つきは優しい。ちゃんと私に似合う様な、派手じゃない髪型にしてくれている気遣いも、いつものハート。それでも何か、背筋が寒くなるんだ。ぞくりと、する。なんで……?
「ねぇ、アリス。ゲームは順調?」
「え、えぇ、そうね。おおむね順調よ」
急な質問に少しどもったけど、いつも通りを装う。
「そう、それはいいことじゃ」
本当に? 本当にそう思ってるの?
「では、そんなアリスに教えてあげる。双子は我がままじゃ。自分たちの思い通りにならないと、かんしゃくを起こすこともあるの。だからね、アリス。思ったことをすぐに口に出してはいけないよ。拙い悪戯がばれたとわかったら、何をされるかわからないからね」
あの子たちが本当にそんなことするだろうか? でも、そうだ。あの子たちは危険だって、いや、あの子だけじゃないけど、簡単に武器を取り出して、危ないのには変わらない。
うーん、でもそれってハートもなんだよな。首切り女王。
あぁ、そうだね、じゃあ、両方に。
簡単に思ったことを口に出してはいけないの。
そうだよ。忘れてた。警戒心警戒心。
「うん、ありがとハート。私頑張るね!」
「素直なお前は可愛いね」
可愛くない私は飲み込んでるの。
「じゃ、そろそろ行ってくるね!」
「いってらっしゃい。ちゃんと、帰ってくるんだよ?」
「もちろんよ!」
部屋の外にいたエースを無視して、私は外に向かって走り出した。
髪は途中でほどいた。いつも通りの私になった。エースが少し何か言いたげだったけど、結局何も言わなかった。
エースは、何も言わない。言えないのかもしれない。でもいいの。今は目の前に餌がぶら下がってるんだから、よそ見してる暇なんてないわ。
「アーリス!」
帽子屋邸の門が見えた。門の前でミカが手を振ってくれている。
「待ってたぜ!」
「いら、しゃ……ぃ……」
ネネもいた。ちっちゃくて見えなかった……。
「むっ、なんか……失礼……?」
「き、気のせいよ!!」
心中ダダ漏れ。確かにこれは困るわ! ……ハートにもバレバレだったんじゃ……?
「んじゃぁ、アリスは預かるぜ。帰りは俺らとあんたんとこの双子で送ってくから。問題ないだろ?」
「あぁ、よろしく頼む」
「じゃ、とっとと帰れ裏切りもん」
「おいっ」
「あいあい、シツレーしました騎士様ぁ~」
「……」
後ろの会話が不穏だ。でも下手に首を突っ込みたくないし……ネネと戯れて無視しちゃえ。
「ネネー、今日のお茶会ってゲームがあるってだけ? それともなんか特別なお茶会なの?」
マナーとか言われても知らないからな!?
……今更過ぎるけど。よく女王陛下とのお茶会で、マナー知らないで切り抜けて来られたわよねー(しみじみ
「ん……、ミカが、強請られて……いろんな、お菓子……マカロン……っ!」
「ミカ、マカロンも作れるんだ……」
女子力高すぎね? 私アレ一回作ろうとして、やたらと歯にくっつく硬いクッキーみたいになっちゃったんだけど。なんなの、ミカ。ずるいわぁ……。
「まぁ、ちょっと豪華なお茶会ってこと?」
「双子に出資、してもらったから……」
「もらうもん、もらわねぇとやってらんねぇよ。てか、そもそもなんで俺達がパーティーセッティングしなきゃいけないんだよ。なぁ……?」
やれやれって感じのミカが参戦してきた。耳がへたってピヨピヨ揺れている。うぅん、かわいいんだよな。くっ。
これでお菓子の腕も素晴らしいとか……お嫁に下さい←
「アリス。では俺は行くからな」
話が切れた隙にエースがこそりと話しかけてくる。
「あ、うんありがとうね」
「絶対一人で出歩くなよ?」
「わかってるわよ」
また子供のような注意を受けてしまった。そんな私信用ない? ……まぁ、そんな心当たりはあるんですけども!
「ゲーム、勝てるように祈ってるぞ」
「そっちこそ、仕事頑張ってね!」
ハートとジャックのしわ寄せに潰されないように祈ってるわ!
あれ、普通の騎士って、女王陛下の仕事にまで潰されそうになるわけ? 仕事区分違いすぎない……?
まぁ、これも今更ね。
エースは最後に、ミカに念を押すような強い視線を送ってから帰って行った。受けるミカは心底嫌そうだったけど。
「さぁて、行くか」
「おいで、あり、す……」
二人が門を開いて私を招く。
ゲーム、スタート……?




