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迷夢の国のアリス  作者: 影宮ルキ
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Story of last Alice 1

 あるところにアリスがいました。まだ幼い少女です。

 少女はある時喋る白兎を追って大きなウサギ穴に落ちてしまいました。

 ウサギ穴は奥深く、下へ下へと続き、落ちた先はおかしな小部屋です。

 ぱたん。扉の閉じる音が聞こえました。アリスはさっきのウサギが通った音だ、と隠された扉を探し出し、小部屋にあった鍵を使ってはいろうとしました。

 ですが兎サイズの扉です。いくらアリスが幼く小さいとは言っても通り抜けるのは不可能のように見えました。

 アリスは小部屋にあった道具を使って体を縮めることに成功します。そうしてアリスはこの世界への扉を開け放つことができたのです。


 扉の先で、アリスは白兎と会いました。

「こんにちは、兎さん」

 アリスは白兎に声をかけます。

「こんにちは、アリス。時間通りですね」

「え?」

 アリスは小首をかしげました。なぜ、初対面の白兎が自分の名前を知っているのか、なぜ、時間通りなのか。

 不思議なことはたくさんあります。

 一番は、そういえば、白兎の姿が人間と同じようになっていることです。

「アリス、ゲームをしましょう?」

「まぁ、楽しそうね」

 色々な疑問はどこへやら。アリスは白兎の言葉にすぐさま乗っかりました。

 これは夢なのだと結論を出して、楽しむことにしたのです。

「何をするの? トランプ? RPG? それとも格闘ものかしら?」

「古典的なものから男の子が好みそうなものまで……アリスはどういったものを望んでいるのでしょう……」

 白兎は少し困ったように苦笑いします。

「あら?」

 アリスはそんな白兎を見て不思議そうです。

「でも、そうですね、色々な要素を含んだゲームですから、きっとあなたの好むものもあると思いますよ」

「まぁ!」

 アリスは顔を輝かせます。

「ここにカードがあります」

 白兎はカードを手渡しました。

 もらったカードをアリスは一枚一枚見ていきます。

「十三枚あるわ。一枚だけトランプみたいね。他はほとんど白で、三枚は真っ黒よ。汚れていては使えないじゃない」

 アリスは頬を膨らませて抗議しましたが、白兎はどこ吹く風です。

「それでいいんですよ。このカードは人を表しているのです」

「人を?」

「えぇ。その人に会えば、カードが色づきます。それがカードの人はこの人だと言う合図です」

「へぇ」

 アリスは面白そうにカードを眺めました。

「じゃあ、このハートの三はあなたのカード?」

「えぇ、そうですよ」

「ふぅん」

 三のカードだけを抜き出して、日にすかしたり、違う角度から見てみたりします。

「普通のトランプのように見えるけど、面白いのね」

「あまり乱暴に扱わないでくださいね。失くしたり、壊したりすると、その時点でゲームオーバーとなりますので」

「わかってるわよ!」

 自分が乱暴者のように言われたので、アリスはむくれました。

「すみません」

 白兎は子供っぽいアリスの様子を見てクスリと笑い、謝ります。

「それで、ゲームってどうすればいいの?」

「カードの主に、あなたのことを認めさせてください」

「認めさせる?」

 よくわからないルールに、アリスは首をかしげました。

「簡単です。カードの主はゲームを仕掛けてきます。それに勝てばよいのです」

「……負けたりしたらどうするの?」

「大丈夫ですよ。アリスが強くお願いすればきっともう一度チャンスをくれます。けれど、最初のゲームも、仕掛けるまでに時間がかかるかもしれませんので、根気も重要です」

「わかったわ」

「ルールは以上です。何か質問は?」

「うーん、ないわ」

「では、幸運を」

 そう言って立ち去ろうとする白兎に、アリスは声をかけました。

「あなたはゲームを仕掛けてはくれないの?」

「まだその時じゃありませんので」

「?」

 事務的な口調で、けれど顔は楽しそうに嬉しそうに微笑んで、白兎は言います。

「今は説明だけですよ。また今度、ゲームを出してもいいかな、と思うように頑張ってください」

「……わかったわ」

「はい。……あぁ、言い忘れていました! あっちの方にまっすぐ行くと、お城が見えます。私の名前を言えば入れるので、滞在先にでも使ってください。それと、この国には危ない人もいるので、十分注意してくださいね」

「? わかったわ」

「では、今度こそ。また後で会いましょう、アリス」




「それが白兎(わたし)と前回のアリスの出会いでした。

 その時私はまだ知らなかったのです。なんにも。まだ私は白に近い方だった。

 何も知らない私は若く、まだ純粋で、これから起こる惨事など想像もしなかった。

 ただただゲームが始まって、参加できるという喜びに顔をほころばせていたのです」

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