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迷夢の国のアリス  作者: 影宮ルキ
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推理(の予定だった)

 朝です。おはようございます。

 昨日の疲れからか、ぐっすり寝た私は、今日もすっきり目覚めのいい朝です。もちろん妨害などありません。素晴らしい朝です。

 支度を済ませ、ご飯も食べて、さて、行動開始だ。

「アリス様、本日はお部屋に?」

「うん。ピースってこれで全部なんだよね?」

 部屋にある机の前に座って、三枚の紙きれを前に悩んでいるとメイドさんが話しかけてきたので聞いてみる。

「ええ。三人から受け取ったので、終わりですわ」

「ありがと。って、ことは……この三枚で何とかしろってことよね? 紙で何すんの? あぶり出し?」

 とりあえず組み合わせてみて、一枚の紙の形にはした。ちぎったギザギザな跡はぴったり合わさって、テープ止めをされてないまま机の上においてある。止めて間違ってたら危ないじゃない? 間違えてはがそう、びりっ、あ……ってなったらね? だめじゃん?

「メイドさんは何かしらない? この紙持ってたってことはさ? なんか聞かされてない?」

「さぁ、私にはわかりませんわ。誰も聞いていませんので」

「誰も?」

「えぇ。役持ちの皆様が知っている情報は、周知の事実。私たち三人はそれに加え、その紙を預かってくれ、としか言われていないはずですわ。個人的に呼び出されていなければ」

「んー? 三人一緒に集められて、紙渡されたってこと? って、メイドさんは役持ちじゃないよね?」

「もちろん、私はただの役無しの屑カードですわ」

「屑だなんて……」

「いいえ。そういうものなのですわ。だから、イモムシ様に選んでいただいて、私もその中に混じれたようでとてもうれしかったです」

「……」

 言葉通りうれしそうなメイドさんに、私は何も言えなかった。役持ち、役無し、屑カード、まったく私にはわからない。

「……あら、お邪魔してしまったでしょうか? 私、隣の部屋に控えていますわね」

「あ、別にいいのに!」

 勉強してる時にお母さんとかいたら集中できないかもしれないけどね。私は気にしないんだよね!

 でもメイドさんは気にする方のようで、そっと部屋を出ていった。

「何かあったらお呼びください」

「あ、はーい」

 ……。

「さ、さて、んー、何すればいいんだよ!」

 紙はハガキくらいのサイズ。紙質はざらざら、和紙っぽい。厚さは結構薄い。三ピースに分かれてて、右上、左上、下、って感じ?

 右上はエースからもらったやつ。平ら。保管状態がかなりよさげ? ファイルに入れてあったみたい?

 左上はトカゲさんから。ちょっとぐちゃぐちゃしてる。適当に折って、ポケットに突っ込みっぱなしでした。って感じ?

 下はメイドさんから。きっちり折ってある。ロケットに入れてたのもあるだろうし、折り目は細かいけど、とても丁寧。

「性格出るなー……トカゲさん適当人間か……?」

 そういやトカゲさんに一人で来いって言われたな……何? 怖いんだけど。行きたくないけど、まだ行かなくていいよね?

 メイドさん、個人的に呼び出されてなければ、って言ってたっけ? あいつのことじゃないよね?

 ……一人で行くのは危険すぎる気がする。それにまた行ったらきっとジャック怒られる。エースに遭遇したら? ……面倒事が多すぎる。エースが何かやってるのおさまってからでも遅くないかな?

「めんどくさ。ごたごたある限りまた一人歩きは禁止なきがすんな。うぜぇ」

 はぁーっと、机に突っ伏す。ため息がー、幸せがにげるー、うわーん。

 ため息のせいで紙が飛ばされた。机から落ちる。取りに行くのもメンドくせ……ん?

 とばされたのは二枚。空中でくるくると舞って、全然床に落ちる気配がない。

「わぉ、ファンタジー……じゃねぇよ!!」

 どうする、ってか、なにこれ!?

 ずっとくるくる、くるくるくる、くるくるくるくる……。

「……」

 ちょっとためしにもう一枚残ってた紙をそっちの方に放る。ただの好奇心からです! てへっ。

 くるくるくる……くるっ!

「!?」

 三枚がくるりと集まって、なんかの鳥のようなものになった。素早く羽をはばたかせる、小さな白い鳥。紙っぽさはなく、でも生き物っぽさもない。羽のふさふさ感もないけど、なんだろう?

「ハチドリ?」

 小さくて、その場でずっととどまって、羽を残像が見えるくらい早くはばたかせるその姿は、テレビで見たことのあるハチドリの姿によく似ていた。

 ハチドリ(?)は私を見て一回首をかしげると、窓の方に飛んで行った。

「え、開いてないよ!?」

 閉まっている窓に向かい加速した鳥は、そのまますり抜けた。

「はいっ!?」

 そのままどこかに飛んで……行かれたら困る!!

 窓から飛び出ようと思ったが、メイドさんにとりあえず一言かけようとドアの方に行く。

「メイドさん! ちょっといってくる!!」

 走りつつ言って、そのまま聞こえたかも確認せずに城内を猛ダッシュする。

 渡り廊下からそのまま庭に出て、自分の部屋前あたりでいったん止まり鳥を探す。

「とりー!! どこー!?」

 返事するはずもないけれど、叫んでみた。きょろきょろあたりを見回す。

「とりー!!」

 その声が聞こえたのか、叫ぶ私の上に鳥は飛んできて、一回ターンをした。

 そのまままた西の方へ飛び去る。

「ちょ、待ちなさいよ!!」

 鳥が本気出したらすぐに見失うのだろうけど、私に合わせているのか、見失いかけるといったん戻って来てまた進むを繰り返した。さすがファンタジーとか、走ることに力を注いでいるせいであまりまわっていない頭で思った。

 しばらく走って、城を離れて森に入る直前。

「アリスぅ!」

「!」

 ジャックが後ろから追いかけてきた。そのまま私の隣で走りつつ喚く。

「どこ行くのぉ!? なんで俺に言ってくれないのぉ!? 俺エースから頼まれてるのにぃ!!」

 さすが騎士。鍛えてるんだね。私、自分の全速力出してる気がするのに、余裕で追いついてきて、普通に話してるなんて……男女の差もあるだろうけどね! 私返す余裕がないですよ!?

「答えてよぉ!? 無視? 無視なのぉ!?」

 語尾に(泣)が付きそうだったので、ちょっと罪悪感が……。ちっ、なんか答えてやんなきゃ私が悪者みたいじゃない!!

「はぁっ、鳥っ!」

 息が切れまくりなのにっ! ちょっと喋っただけでもせき込みそうだよ! 酸欠!!

「え、鳥? 鳥がどうしたのぉ?」

「追って、はぁ、るのっ!!」

「えー? ……アレ?」

 前に見える白い小さな影を指さす。

「……」

 普通に返事ができないので必死に首を縦に振る。

 あー、あたまぐわんぐわんするー……。

「んー、よし」

 ジャックはそういうと、私の後ろにまわり、そして

「っっ!?」

 私を姫抱っこしましたとさ★ ……あぁん!?

「ほら、しっかりつかまってぇ?」

「ちょっ!?」

「アリスより俺の方が早いでしょぉ? それにもうアリス限界じゃぁん?」

 まったくもってその通りです。じたばたする元気もあまりない、です、が! ……ハズイ!!

「首にちゃんと手まわしてね? 落っこちちゃうからぁ」

「……」

 えー、はずーい……。

「速度あげるよぉ? 振り落とされないでねぇっ!」

 嫌がったよ? けどね? ほんとに早いんだもん! 仕方なくしがみつきましたよ!? めっちゃはぇぇ!! てか揺れるしね! 鳥もやっと本気出せるぜ、みたいな感じで飛ばし始めたしね! 足遅くて悪かったな! 跳び蹴りはできても持久力はそんなないんだよ!!

 そうして私はジャックに姫抱っこされたまま、鳥を追って西の森に入っていきました。……西の森はまだ入ったことがないような気もするんだよね。ジャック、何も言ってなかったし大丈夫だよね……。未開の地は不安です……。

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