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迷夢の国のアリス  作者: 影宮ルキ
38/102

情報収集ぱーとふぉー

「何言ってんの? ダメに決まってるじゃん」

 突然のキャスケットさんの言葉にポカーンとしていた私に変わって、ジャックが拒否してくれた。

「え~? でも、困る~」

「勝手に困ってればいいじゃん」

 バッサリいくな……。ジャックってなんかフレンドリーな感じだったから少し意外です。

「でも~、アリスも困る~」

「え?」

 なんで私が? 不審者の傍には寄りたくないんだけど?

「え~? あれ~? ゲームできたんじゃないの~?」

 キャスケットさんは頭にたくさんはてなマークを飛ばしている。

 その言葉に少し思い当たる節が……?

「……え、もしかして、トカゲさん?」

「そ~だよ~!」

 よかった~あってた~、と喜ぶきゃす……じゃなくて、トカゲさん?

「アリス、こいつに用? 悪いこと言わないからあんまり深入りしない方がいいよぉ」

「でも仕方ないわ……」

「仕方ないって酷~いな~」

 私とジャックの会話を聞いて、苦笑するトカゲさん。

「ってか、そんなこと言うんだから情報持ってるんでしょうね!?」

「もって~るよ~」

「よこせ!」

「ほし~いなら~、もうちょっとお願いの仕方、あるんじゃないの~?」

 ごもっとも。

 ジャックは嫌そうな顔をしている。でも私はやらなくてはいけない!! いけないのよ!! アオと私のために!!

「アオの、イモムシの情報持ってたらください。お願いします」

 ジャックから少し離れて、トカゲさんに向かってお辞儀する。

「遠いよ~。こっちカムカム~」

 ちょいちょい、と手招きされる。

 ちらっとジャックを見ると、小さく頷いてくれた。ジャックの手は剣にかかっている。

 まぁ、何とかなるわよね……。

「まま~、そんな警戒しないで~」

 ちょこちょこ、じりじり、トカゲさんに近づく。

 すると途中で腕をつかまれて引き寄せられる。

「ちょっ!?」

「今度は一人で来てね。誰にも知らせないで」

 ジャックとは違ったダルダルした喋り方。それが消えてこそっと耳元で囁かれる。

「はいこれ~」

 囁くときに、口を隠すのに使ったのか、白い紙切れが手に握られていて、それを差し出される。

「何、これ?」

「イモムシにつながるピースのカケラ~?」

「はい?」

 小さく折られているが、広げると紙の切れ端だった。ちぎったような形に、ざらざらしているそれは、エースにもらったものと同じものに見える。

 もしかするともともと一枚の紙で、それをちぎったもの? ピースってことは、パズルみたいな? 組み合わさるのかしら?

「じゃ~、そういうことで~。そろそろ騎士様怖いから~、俺さん帰るね~」

 そういうと突然踵を返して木に登り、どこかへ消え去った。……はやっ!!

「ちっ、さすがトカゲ。逃げ足速い」

 振り返るとジャックが私の後ろで剣を振りかぶって立っていた。おいこら私ごと切る気かこの野郎。

 睨み付けてやるとジャックがてへぺろっ★ って顔してきた。可愛くもなんともねぇよ!!

「アリスぅ、用事済んだ? じゃぁ、急いで戻ろうかぁ。エースに見つかると殺されかねないぃ……」

「え、なん……あ」

 それはフラグだったよね……。

 ジャックの後ろを見てあ、と言ったのに不思議そうな顔をしたジャックだったけど、すぐに理解した。

「だろうな。今のは完全にお前の失態だ」

 後ろから聞こえてきた声に、体をびしっと固まらせ、ぎぎぎっと首を後ろに回すジャック。

「げげっ!!」

 顔を超絶ひきつらせて、いかにもな声をあげるジャックに、エースは無表情に絶対零度をプラスして説教を始めた。

「驚いている場合か? 俺はお前になんて頼んだ? アリスの護衛だ。お前はそれをできていない。何をしていたんだ? ゲームよりも、アリスの身の安全を確保するべきだったんだ。それを簡単に敵に手を取らせたな? 何を考えている?」

「ちょ、ちょっとまってよエース! 私が頼んだのよ!?」

「だが敵に隙を見せたのはこいつだ。何があってもアリスを守らなくてはいけなかった。それができないのであれば傍に寄らせてはならなかった」

「でもっ」

「いいんだよぉ、アリス。俺が悪かったのはホントだし……ごめんねぇ? 守れなかった」

「いやいやいやいや!! 勝手に傷ついたふうに言わないでもらえない!? 守れなかったって、最初ちゃんと守ってくれたしね!?」

 あれがなかったら私は八つ裂きだったよ!?

「んーん。引っ張られちゃったでしょぉ? その時点であいつに殺す気あったらやられてるぅ。ほんと、騎士失格だぁ……」

「そう思ってるならしゃんとしろ。護衛対象に庇われてどうする」

「うん……」

「ちょっと、エース! 冷たすぎるんじゃ……」

「大丈夫だよぉ。アリス、それ以上庇われるとちょっと俺の立場がないんだぁ。ありがとう。ごめんねぇ」

「……っ」

 申し訳なさそうな笑顔に、言葉を詰める。何? 男のプライド的な? ……これ以上言うのはよそう。むかつくけど。

「……敵って、トカゲさん悪い人なの?」

 エースはここにいた。南の森で仕事だったのなら、ただの巡回みたいなやつなのか、それとも、トカゲさんを追ってきたのか……。

 まぁ、うん。初対面でナイフ投げてくるんだから危ない人ではあるかもしれない。

「どうだろうな。いいやつかもしれないし、悪いやつかもしれない」

「なにそれ。まだわかってないの? 調査中みたいな感じ?」

「いいや。……これ以上は聞くな。機密事項だ」

 エースの表情は硬い。そして少し辛そうだ。

「……わかったわ」

「……用事が終わったのならここから離れろ。ジャック、次はないと思え」

「了解」

 そうして私とジャックはエースと別れて城の方に戻ることにした。……なんかもやもやする。


「えーっと、ごめんねぇ、アリス?」

 エースの態度に不機嫌になってた私に、ジャックは謝ってきた。

「別にあんた悪くないじゃない」

「で、でもぉ、もとはと言えば……」

「悪くないんだから謝らないでよ!」

「う、うん、ごめん……」

「ほら、もうっ!!」

 城に戻ってきたときにはもう暗くなっていたから、自分の部屋に帰ろう、ということになってジャックは私を部屋まで送り届けるまでやるらしい。護衛って大変だよね!

 現在、その後、私の部屋の前。

「くすくす……」

 部屋付きのメイドさんが笑い声を漏らした。

「何?」

 ジャックが冷たい目でメイドさんを見た。

 そっちも不機嫌になるのはわかるけど、メイドさんは何もしてないからそんな目しないでよね!

「いえ、失礼しました。ただ、すねた彼女と機嫌なおそうとする彼氏のように見えましたので……」

「「……」」

 いや、どこが?

「え、どこがぁ?」

 私の心の声とジャックの声がはもった。

「うふふ。申し訳ございません。気のせいでしたわ」

「もー、やめてよねぇ。変な噂とか流さないでよぉ? メイドは噂好きだからなぁ……」

 あー、確かに。よく井戸端会議を見かける気がしないでもないような……。

 メイドさんの言葉で、空気が軽くなった。ジャックも冗談みたいに返す。ナイスメイドさん!!

「申しませんわ。広めないとお約束いたします」

「お願いねぇ? じゃないとエースにマジ殺されるぅ」

「あら、何かございましたの? アリス様、大丈夫ですか?」

 私の心配をしてくれるメイドさん、ホント優しい。いい人。空気も読めるし、素敵すぎる。

「大丈夫よ。だからジャックも気にしないでほしいのに」

「うん、わかった。もう次はないと思うから、今回は許してもらおうかな」

 すこしおちゃらけてそうお願いされた。

「許すも何も、もともとあなたには感謝してるわよ」

「……ありがとう」

 ちょっと笑ってくれた。よかった。これから復活してくれないかな……。

「あら、アリス様、今回は危険な冒険していらしたのですか? いくら《アリス》という役柄と言っても、アリス様は女性なのですからあまり無理は……」

「大丈夫だって! ただちょっと突然ナイフ投げてくる危ないトカゲさんが……」

「トカゲっ? トカゲにお会いになられたので?」

 セリフをさえぎってトカゲのことを聞いてくるメイドさん。いつもお淑やか・冷静なメイドさんがこんな食いついてくるなんて……何事?

「そうそう。ゲームで会わなくちゃいけなくて……」

 会わなきゃいけないわけじゃないのか? 情報もらって行きたかった、かな?

「それは、イモムシのゲームでしょうか?」

「う、うん。そうだけど……、そういえば話してなかったかしら?」

 だいぶ仲良くなったメイドさんだけど、ゲームのことで頭いっぱいで何も話していなかったような気もするな……。

「メイドにしては話に食いついてくるねぇ? なんか知ってるのぉ?」

 そうだよね、やっぱりここのメイドさんはすごい影で支えてる感あるよね。主張しないっていうの? まぁ、それが女王陛下の怒りに触れないための策なんだろうけど。

「知ってるも何も……ゲームはどこまでお進みになられましたか?」

「な、なんかよくわからない紙を二切れ……」

「あぁ、でしたらこれで最後ですわね」

「「え!?」」

 メイドさんは胸元からロケットペンダントをとりだして、それを開いた。中には小さく折りたたんだ白い紙が入っていた。

 渡されたそれはちぎれた形でざらざらして、もらった二枚と同じものに感じる。

「ま、まさかメイドが……」

「み、身近にいたのね……」

「うふふ。お力になれたようでよかったですわ」

 意外と曲者メイドさん。

「メイドさん、なんでこれを……」

 役持ちにしか聞いてなかった。危ない……。役無しのメイドさんとかどんな落とし穴……。

「それは、秘密ですわ。いつか分かるかもしれませんわね」

「……」

「ジャックは知ってる?」

「なんとなぁく、思い当たることもあるけど、まだアリスには早いかなぁ……」

「なにそれ……」

「さぁさ、アリス様。もうそろそろお食事の時間では? ピースも集まったのですし、今日はもうお休みなさいませ」

 ともかく、情報収集は終わったようで何よりです……。はい……。

 ジャックと別れて、ゆっくりご飯食べてお風呂入って……ピースのことはいったん忘れて寝ましょう。おやすみなさい。

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