情報収集ぱーとつー
エースと合流して、お城に到着。
ラビが一番もの知りそうだから……とっ捕まえられるかしら?
「エース、今ラビどこにいると思う?」
「ラビ様か……今は外出中だと思うぞ」
「え、外出!?」
引きこもってずっと書類整理してるイメージだったのに……。
「……なにを考えているか知らないが、仕事で少し出ている。戻るのは少なくとも五時より後だな」
「うわぁ……今日中には終れないわよね、そりゃ……」
遅くなってから森に入るのは、まだ遠慮したい。迷うかもしれないし、なんかいそうだし、怖いし。
んー、でもどうしようか。ラビがいないなら……って、エースに聞くの忘れてない!?
「エース、アオ……じゃないや。イモムシのこと知ってる人知ってる?」
若干ややこしいなこのいい方!
「イモムシ? ……あぁ、ゲームしかけられたのか」
「そうそう」
「そうだな……」
少し考え込むエース。
「帽子屋邸から来たということは、帽子屋には聞いたんだろう?」
「えぇ」
思わせぶりなこと言っといてほとんど何にも情報手に入れられなかったけどな!! うぜぇ!!
その怒りが伝わったのか、エースはなんとも微妙な顔をしてくれましたとさ。
「まぁ、あいつは情報を持ってないも同然だからな」
「なっ……」
「イモムシのことを知っている人がいる。それは役持ちのなかでは周知の事実、というものだ」
……あんのやろ……。
……ん? ハンチングさん、確かグレイと同じ情報って……? あれ?
「それで、俺から渡せるものが一つだけある」
記憶をしっかりたどる、その前に、エースが言葉をつづけた。おかげで思考が霧散した。
「エースはそんなことしないだろうけど、それ、周知の事実だったりしねぇわよね?」
「口調が乱れてるぞ……。もちろんそんなことはしない。……部屋にあるんだが、今すぐ取りに行くか?」
「お願いするわ!」
少しでも早く多くの情報を!
「わかった。その間、アリスは他の情報を集めているといい」
「あら、いいの? ありがとー」
ということで、ここでエースと別れた。行き先言ってないんだけど、探してくれるらしい。うん、動き回ると思うし、ありがたい。ホント。
さて、どこにいこうかしら……。
1.ハート
2.ジャック
3.ディーとダム
4.……もういないかな……
1か2……3は、つかまるかなぁ……サボり魔らしいし……。でも聞きやすいな。よし、裏の森にいこう。
……てか、いまだに裏森と他の森の区別がつかないんだけど……いや、森というか、門がいけないんだっけ? んー、謎だわ……。
さすがに城の構造に慣れてきたみたいで、でもまだわからないところは多いけど、そうそう迷わなくなった。だからちゃんと一人でもつけるぜログハウス!
「ディー、ダムー? いるー?」
ドアの前で呼びかけると、どたどた音が聞こえてきた。間もなくドアが勢いよく開いた。
「「お姉さん!!」」どばんっっっ!!
とびかかってきたなこいつら……ドアに寄ってたら間違いなく、ごんっ、なって、いたっ! ってなってたぞ……。
「や、やっほー、こんにちわー……」
双子は髪をところどころ跳ねさせながら私に飛びついてきた。もしかして寝てたのか? それにしては寝起きよすぎるか……。
「なになに!? また突然どうしたの!?」
「遊びに来てくれたの!?」
「何して遊ぼうか!?」
「何がいいかなぁ!?」
この双子の息の合ったマシンガントークを浴びるのはちょっときついぜ……。
切れ目をしっかり見極めて会話をぶった切る。
「はいすとっぷー!!」
「「っ」」
「あのね、今日は聞きたいことがあってきたの」
「聞きたいこと?」
「えぇー、またー?」
「遊んでよお姉さん~」
「僕らつまんないよー」
「……勤務時間ないじゃないの……?」
「「てへぺろ~」」
星が出そうな勢いでポーズをとる。……ちゃんと仕事はしましょうね。
「あのさ、イモムシについてなんか知ってることない?」
「イモムシー?」
「あぁ、あいつ……」
「あぁ! もしかしてゲームしてるの!?」
「えぇ! 僕らが一番がよかったのに!!」
だったら早くゲームを仕掛けてほしいなー。そしてさっさとカードくれないかなー。帰んなきゃいけないのになー。
「僕らはゲームが解けなくてやきもきしてるお姉さんを見たいんだよ!」
「そうそうカードなんて渡したくないもんね!」
「そうだよ! お姉さんにはずっとここにいて、」
「僕らと一緒に遊んでもらいたいもんね!」
……ヤンデレ入ってないか君たち……?
「で、イモムシ? んー、ディー知ってる?」
よかった、ちゃんと軌道修正してくれた……。割といい子なのかな?
「ダムとおんなじことは知ってるー」
「それって知ってる人がいるってこと?」
「「そうそれ」」
「……そっか」
収穫なしな感じか……。
「あ、でも」
「でも!?」
ディーが少し思い出したように付け足したでも、に食い気味に反応したらちょっと引かれた。仕方ないです。死活問題ですから(?)。
「トカゲがイモムシと仲良かったよねと思って……」
「トカゲ?」
また新しい名前が……。役付かな?
「トカゲ、煙突掃除だったんだけど、今はどうしてるかわかんないなぁ」
ダムが説明してくれた。
「今は? 何で?」
「元は《白兎》の家の煙突掃除をする役職だったんだって。でも、ラビ様が非効率的だって、城に住み始めちゃったから……」
「《白兎》の家がなくなって失業。他の家の煙突掃除をやればよかったのに、すっぱりやめて野生に帰ったとか、帰ってないとか……」
「や、野生……」
ここ獣人とかいるけど、ただの動物じゃないよ? 人間みたいなヒトたちだよね? 野生とか言っていいのか……。
「まぁ、よくわかんないよね」
「そうだね。でも、僕らよりは何か知ってるかもね」
「仲良かったから」
「会えるかわからないけど、南の森で何回か見かけたから、その辺にいるんじゃないかな?」
「わかったわ。ありがとう」
「「いえいえ~」」
「じゃあ、行くわね」
よっしゃ情報ゲット、さっさと次の情報も! と思っていたら服をがしっとつかまれた。
「え?」
「おねーぇさん?」
「もう行っちゃうの?」
「僕らから情報」
「聞くだけ聞いて」
「「行っちゃうの??」」
双子はそろって上目づかいで、目をうるうるさせて、こちらを見上げてくる。
ちょ、こんなん卑怯だ! 上目遣いだなんて……小動物系女の子がやるべきだ!! お前ら中身違うだろ! 外見的には似合ってるけども!!
「……」
「「……」」
「……」
とっても行きづらい……。
「「お姉~さん??」」
「……さ、三十分くらいなら遊んでもダイジョブです……」
「「やったぁ~☆」」
はい、負けました。
しかも日が暮れて真っ暗になるまで放してもらえませんでした。エースが助けに来るまで遊びに遊ばされました。つ、つらい……運動不足か……。
エースから受け取ったものは紙の切れ端。和紙に近い、ざらざらとした質感の薄い切れ端。
「これ何?」
「さぁ、俺にもわからん。ただ、アリスに渡せと言われただけだ」
「切れ端ってことは、他にも集めろってことかしら?」
「わからん」
「……」
謎は深まった。
ちなみにハートにも聞きに行ったが、何も知らなかった。しかも機嫌が悪かったらしく、寿命が縮みそうなオーラにあてられた。……当てられ損です。
ラビは忙しくて城に帰ってきてもつかまらなかった。……。
本日の探索ここで終了。また明日がんばろう……。




