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迷夢の国のアリス  作者: 影宮ルキ
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まずは情報収集?

 ゲームが始まりました! 探し物ゲー? だったらヒント探さないと。

 ってことでまずは聞き込み。アオの森から帽子屋邸の近くの道に出たので、さっそくグレイのとこ行きましょうか。

 門を細く開けて、するりと帽子屋邸に入る。慣れたわよねー、まー、気にしなーい。

「……から、……だって?」

「……ぁ、っ……」

 遠くの方から小さく話し声が聞こえてきたけど……取り込み中かしら。んー? これ片方はグレイで、片方は……あ、あれだ。ハンチングさん! だったら突撃してもだいじょ……うぶだよね! たぶん! 二人とも優しいし!!

 っていう、軽い気持ちでダッシュする。

「……? あ、アリスだ」

「えぇ? ……おや、いらっしゃい」

 二人はお茶会会場とは少し離れた大きな木の下で立って話していた。

「どもー、こんにちは。ハンチングさん、またあったわね」

 あははーと、微妙な顔で笑ってみる。若干気まずいぞ!

「そうだねー」

 ハンチングさんも苦笑いを返してくれた。ふっ、同じ気持ちか……。

「ぷっ、ハンチングさん? まんまじゃないか……くくっ」

 グレイさん? 笑いをこらえようとしてるんですか? むしろしてませんよね? 悪かったわね! ネーミングセンスなくて!!

「いやいや。くくっ、悪いと言ってるわけじゃぁないよ?」

「だったらそのニヤニヤ笑いをひっこめてください」

「いやだね。こんなに面白いのに……」

 笑いのツボがどこだか私にはわからないわー。

「あー、じゃぁ、まぁ、俺行くよ、帽子屋さん」

「了解。頼んだよ」

「もっちろん。まかせといて」

 そう言って立ち去ろうとするハンチングさんを私は急いで引き留めた。

「ちょっとストップハンチングさん!」

「っ、な、なぁに?」

 何故か、とてもびくつかれた。酷い。避けられてる!?

「アオのことで知ってること教えてほしいの」

「アオ?」

「あー、イモムシ?」

 名前が、私の中で定着しすぎている……!!

「何を教えてほしいの?」

「笑わせてもらったからね、私も協力してあげてもいいよ」

 面白そうに、とても面白そうに、ひょいっと話に入ってきたグレイ。

「わー、アリガトグレー」

「棒読みは悲しいな……」

 だって、ねぇ……? U☆ZA☆I

「……アリスー? 口に出ているよ?」黒笑

「わー、帽子屋さん、アリスにかかればただのウザキャラにまで落ちるんだね……」引きつり

「……ハンチングさん? その口閉じないと縫い付けてしまうよ?」

「こえぇー……」

「んんっ! それで、話を戻しましょうか?」

 ゲームの最中ゲームの最中……帰る手がかり!!

「もとはと言えばアリスが……」

 なんか言いかけたハンチングさんを大きめの咳払いで黙らせる。

「んんっっっ!!」

「ごめんなさい」

「それで、イモムシ……アオと言ったかな? 彼の話だね」

「そうそう。ゲーム、名前探しって言われたんだけど、ヒントは皆無。ただし聞き込み可らしいから、第一弾、ハンチングさんとグレイに聞き込み」

「なるほど」

「へぇー」

 二人とも徐々に苦々しい顔になっていく。

「イモムシねぇ」

「どこまで言っていいものか」

「なんか知ってるのね!?」

 私が勢いよく聞いても、二人は難しい顔をして視線を合わせてこちらを見ようとしてくれない。

「イモムシ……アオか。彼の名前は私たちも覚えていないんだよ」

「はぁ? あれ、でも、アオは教えないだけって……」

「んー、正確に言うと、あいつが名前失くしたときにはあったんだよ。しばらくして俺らの記憶も消えてったから、時間差があったんだよね」

「それで自分は覚えていないけれど、周りは覚えている。そういう状況があって、名前を言わない、と勘違いしたのじゃないかな?」

「ま、まじか……」

 てか、何その状況……さすがファンタジー。もうツッコみはいれないわ。

「でも、周りが覚えている時にも教えなかったから、余計に勘違いを深くした可能性もあるね」

「……って、やっぱり教えなかったのね!?」

「まぁ、そういう時期もあったってことだよ」

「……この世界のルールマジわけわかめ」

「わけわかめ? ……まぁ、よくわからないが、世界のルールでは、なかったかな」

 わけわかめはこの世界では通じないの!?

「そこじゃない、で、え? 世界のルールじゃないの?」

「アオが言ったのはアリスには、教えないっていう意味でのルールだったんじゃないの?」

 つまり、アオに教えないのはルールじゃなくて、しかもアオが言ってたのは私に対してのルール? ……あー、頭こんがらがってきたーーーーーー。

「あ、え、うーん、そういうこと?」

 ここは適当に納得しておこう。

「たぶんね」

「そうそう、名前を彼が失ったのは、自分の意志だったよ」

「はい?」

 な ん だ と ?

「まぁ、そうしないといけない事情があった、んだよね。確か」

「確かね」

「だめだ。よくわかんないわ」

「難しいだろうね」

「きっとゲームを解けば分かるよ」

「そ、そうね!」

 ほんとかよ! でもいいよ! 私は諦める、というスキルを手に入れたんだからね!

「そのためにも情報をっと……だめだ。俺あんまりもってないし、たぶん持ってるのも帽子屋さんと同じだ。帽子屋さんどーぞ」

「私に丸投げかい? まぁ、いいだろう」

「ナニナニ? なんなの?」

「名前を知っている人がいる」

「いるの!?」

「だがい……アオが設けたルール、というよりも願いで、答えを言えるのは一人だけだ。他にもう一人知っている人はいるけれどね。もう一人は言えない。つまり、ゲームの内容は名前探し、から、その言える方の人探し、になるわけだ」

「な、なるほど……その人の情報を!」

「それは……」

「それは……?」

「私からは言えないなぁ♪」

「ずこーっ!!」

 今芸人もびっくりのコケっぷりを披露しましたよ!? ハンチングさんはぎょっとして、グレイはにやにやしてやがる!!

「一人からすべての情報をとれるとは思わないことだ。ゲームにならないだろう?♪」

「楽しむなぁー!!」

「あ、アリスおちつ……」

「ふふっ。甘いよ、アリス」

「帽子屋さーん! 煽らないでー!!」

 間に挟まれたハンチングさんがカワイソウです。え? 心がこもってないって? 今それどころじゃないからね!

「むきー!! いいわよ! とりあえず城に戻ってもっと情報集めてくるわよ!! ありがとうございました!!」

 さっさと踵を返して走り去る。ちゃんとお辞儀までしたわよ!?

「まぁ、幸運を祈ってるよ。くすくすっ」

「うわー、帽子屋さんサイテー……」

 後ろから腹立つ笑い声と、引き気味の非難する声が聞こえてきた……。


「はぁ……」

「どうしたんだい? ハンチングさん?」

「その名前やめてよー。アリスだっていないんだしさー」

「嫌だよ。面白いじゃないか。みんなにも広めるとしよう」

「うわー、ホントサイテー」

「で、どうかしたのかい?」

「俺ヒントあげすぎたかなーって」

「……あー、確かにね」

「面白くないよ、俺が!」

「それは、君のおっちょこちょいさが悪いね」

「うにゃーーー!!」

「……時間大丈夫なのかい?」

「え? あ、あぁぁぁあああああああああ!?」

「ダッシュでいけば間に合うんじゃないか?」

「行く! 行くよ!! だー、もう!! 今日俺まったくもってツイてねー!!」

「私はまったくもってついてるね。あー、面白い。くくくっ」

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