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迷夢の国のアリス  作者: 影宮ルキ
27/102

またお茶会……さすがにお腹の具合が……

 森の中にある大きなお屋敷。鉄の、装飾がきれいだけどからまった蔦によって怖い感じがある門。城のを見慣れるととても小さく感じるけどね! これでも普通のおうちより大きいんだろうね! ってか、普通のおうちには門なんてついてないもんね!! お茶会できるお庭なんてそうそうないだろうけどね!!

 よくよく見ると、夜見たら怖いお屋敷だ。蔦からまりまくってるし……夜には来たくないかな!!

「ふふっ、久しぶりに、やっと来てくれたと思ったら、酷い評価をくれるものだね?」

 だからなんでグレイは私の心を読んでるのかなぁ!? ってか、門から出て来てないね? 後ろから声をかけられたよ? おいこら何してんだ……。

「お、お久しぶり~……い、忙しくてね~……」

「ふぅん? そうなのかい? それは大変そうだね」

「あ、あはは……」

 現在地、帽子屋邸前。前なのに全員集合っておかしくないか?

 邸に来る前までにディートダムのことをいろいろ教えてもらった。

 1.城の森の番人をしている。

 2.エースは上司。

 3.あそこにいたのはミカとネネの仕事を手伝っていたから。

 などなど。

 あー、だからエースがいなくなるまで隠れてたのねー……って、番人の仕事さぼりか。なるほど。番人って何してんだ? 

 てか、騎士が微妙な顔をする危ない裏道から出てくるような仕事ってなんだ! 仕事って!!

「ふふふっ! 実は私たちマフィアをしていて……っ、冗談だよ。だからそんな冷たい目で見ないでくれないかい、お嬢さん?」

 どやぁって笑いかけてきたので思いきり冷たい白い目で見てやった。どうやらこの勝負、私の勝ちらしい。

「でもまぁ、裏の仕事してんのは事実だけどなー?」

「え、裏って……」

「あー、俺お茶の支度してくるなー……」

 ミカがネネを抱いたまま引っ込む。確実に逃げたよね? ね?

「さぁ、どうかな?」

 グレイに視線をやるが、適当な答えしか返ってこなかった。

「ちょっと帽子屋さん! いつまで子供外に放っておくつもりなのさ!」

「僕らもう疲れたよ! お菓子食べたいなあ!!」

 全力でディートダムが抗議する。……もしかして、私が質問をするタイミングを逃させる気なのかな? いや、やっぱり普通に子供的な感じなのか!? どっちなんだ!!

「……誰だい? 君たち?」

「あー!! ひっどいんだー!!」

「仕事手伝ったのに!! お駄賃倍増してくれないと納得できないよ!?」

「トゥイードル兄弟? あぁ、そんなのいたねぇ。知ってるから倍増しなくても大丈夫だね」

 わっ、おとなげねぇ!!

「お嬢さん、覚えておくといい。大人は汚いぞ」

「それあなたがいうの……?」

「ふふふっ、反面教師になってあげようということじゃないか? まぁ、そんなことはどうでもいいよ。中に入ろうか。林檎が待ってるよ……」

 本当に林檎送ってきたのか……。

「って、流されるか! だから裏の仕事ってn」

「さぁ! ミカがお茶用意してまっているよ!! 行こうか!!」

 聞けぇぇええええ!!


 庭の席に着く。ネネはまだ寝ていた。机に突っ伏している。私はその隣に座った。グレイは上座。私の前にディートダムとミカ。……隣で大丈夫か!?

「なんだぁ? アリス、菓子まずかったか?」

 どうもお茶ばっかり飲んでいる私に、ミカが悲しそうに聞いてくる。

「いいえ。そんなことないけど……」

「私の邸の料理はほとんどミカが作っているんだよ。その菓子含め、ね?」

「えぇ!? 女子力!!」

 い、意外といいお嫁さんになるのではないでしょうか!! 私にください!!

「!?」

「あー、違うのよ、ミカ、お城でもお茶会してきた後でお腹いっぱいなの。ごめんなさい」

「そ、そう言うことならいいんだけどよ!」

 ほっとしたのか耳がぴんと立っている。可愛い。

「なんでリンゴばっかなのー!!」

「僕らいろんなのが食べたかった―!!」

「てめぇらに食わせてやってるだけありがたいと思いやがれ!!」

「なんだとこのバカウサギー!!」

「お客さんにはふつうお茶請け出すだろー!?」

「うるせー! だったら黙って食えー!!」

 わーわーぎゃーぎゃー!!

 ……。

「ねぇ、グレイ」

「なんだい?」

「あなたの部下が子供と喧嘩してるんだけど?」

「喧嘩するほど仲がいいともいうしね。多少大人げない気もするが……」

「喧嘩って武器使うものだっけ?」

 ばんっばんっ!! キィン! キンキン!!

「そうだねぇ。子供の喧嘩に武器を使うとは、大人げないにもほどがあるけれどね」

「そういう問題じゃないでしょ! なんで優雅に紅茶なんて飲んでるの!? とめなさいよ!! 怪我したら危ないでしょう!!」

 ミカは銃を抜き放って、トゥイードル兄弟は鎌を取り出して、そりゃもう、アニメや漫画なノリの素晴らしい戦闘を繰り広げている。

 さすが双子、といった息の合った連係攻撃に、銃一丁でよく防御&反撃できるな……。いや、なんか若干ミカの方が余裕あるか?

 うん、怖いわ!! テーブルからもっと離れてよ、せめて!!

「そんなこと言ったってねぇ……。君だってとめないじゃないか?」

「私は一般人なの! あんなとこに飛び込んだら死ぬわ!!」

 私には固まることしかできませんけど何か!? だいたい引きこもりにそんな激しい運動を求めんな!!

「……おや? 記憶が戻ったのかい?」

「は?」

 ……ちょっと待ってよ。記憶がないのって、ラビにしか言ってなくない……? ってか、今のでなんで……?

「あぁ、ふふっ、気になるかい?」

 ……やばい、なんかやばい。グレイから黒幕っぽいオーラが……。

「それはないよ! まぁ、気にしたら負けだよ? で、どうなんだい? 戻ったのかい?」

 こいつ怪しさ満点だな。言って大丈夫なのか……?

「その様子だと、自分でもよくわかってないのかい?」

「!?」

「図星か……」

「ちょっと!! 考え読まないでもらえない!?」

 確かに言って大丈夫か、とか思ったけど、そこまで自分でも状況把握してねぇよ~とか思ったけど!!

「君がわかりやすいだけだ」

「そんなはずあるか!!」

 アリスが怒鳴っても、帽子屋はくすくすと笑うばかり。

「このっ……」

「ミカ! トゥイードル! そろそろやめないと邸から追い出すよ!?」

 突然グレイが声を荒げた。

 瞬間ピタッと三人は動きを止めて、ネネがびくっと起き出した。

「! ぐ、れい……おはよ?」

「おはようネネ。よく眠れたかい?」

「う、ん……」

 眠れたんだ……。

「あ、アリス、おはよ……」

「おはよう」

 寝起きなのかふわふわしてる。それが可愛い!!

「ミカ、トゥイードル? さっさと席に着きたまえ?」

「「「……はい……」」」

「?? みか、なにか、やったの……?」

「……」

 耳がペタン。……もふりてぇ……。

「あ、お嬢さん」

「な、なにか!?」

 こほん、邪な想像がダダ漏れ……ってわけじゃないよね!?

「カード見る癖はついてるかい?」

「へ?」

「ちょっと! なんで言っちゃうのさ!!」

「お姉さんびっくりさせようと思って楽しみにしてたのに!!」

   「おねえ、さん……あり、すお姉さ、ん……いい……」

「おや、まだ言ってなかったのか。それは失礼」

「「もう!!」」

 私は急いでカード入れを取り出した。ネネがなんかコメントに困る発言をしてたがここは無視だ!!

「!?」

 ダイヤの二と、ハートの六が色づいていた。何時の間に!?

「二人とも役付!?」

「そうだよー!!」

「ばらしたのが帽子屋さんってことは気にいらないけどおどろいてくれたからいっかー」

「気にいらないけど!! まぁ、いいよね!!」

「君たち、そこまで全力で嫌がらなくてもいいじゃないか……」

「そうだぞ! 大体グレイは謝っただろうが!!」

「あやまるだけd」

「ほらほら、アリスにまた怒られてしまう。ミカ、トゥイードル、武器をしまって……」

 やばいやばいやばい。エースの時からまったく見てなかった。何か拒否してた。これはまずい。帰れなくなる!!

「あぁ、お姉さん! 今日はゲームしないからね!」

「次から、ゲームしかけるかもしれないよ!」

「「よろしくね!!」」

「今はぁぁぁああああ!?」

 焦る。とてもまずい気がする。てか、普通に馴染んでた。常識覚えるのに必死だったし……本当まずい!!

「ちょ、ちょっと無理かな!」

「準備的なものがあるんだよ!?」

「~~~っ!!」

「アリス? どうした?」

「急いては事をし損じる、よ? お嬢さん、落ち着きたまえ」

「落ち着きすぎたのよ私は!」

「アリス」

 帽子屋が、アリスの瞳をしっかりと見据えて呼びかけた。

「君、本当に戻りたいのかい?」

 白兎にも言われた、その言葉。

「私は、戻りたいのよ。戻らないとっ」

「それは義務感からじゃないのかい? 本心から、その場所を望み、求めているのかい?」

「……ぇ?」

 義務感? 戻りたい。いつもその後、戻らないといけない。いけないって言葉は、義務のうんぬんって、英語で習った気がする。

 なんで? あぁ、そうだ。誰かが待ってるから。誰だろう? あ、れ……? 本当にそんな人、いたっけ……?

「よく、考えて、もう一度聞くよ? 君は、帰りたいと、元いた場所に戻りたいと、思っているのかい?」

 考える、考えよう。考え……。

「グレイ!?」

「「お姉さん!!」」

「あり、す!!」

 ………………

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