特に何もない生活
グダグダです。すみません……。
そうしてアリスは今の生活に慣れるため、一週間ほど外出せずに城を探索したりすることにしました。
「そしてこちらの方を通ると門への近道となります」
「えっと、ここが……」
「現在城の二階東ですわ」
「東、東ね……」
ただいま部屋付きの、仲良くなったメイドさんに案内してもらい中。
さすがお城。メイドさんは可愛いし、騎士さんたちはかっこいい。……さすが……。
「アリス様、大丈夫ですか?」
「え、えぇ、大丈夫! ちゃんと聞いてたわ!!」
まさか、可愛くて見とれてたなんて言えない。
「そうですか、では、続けますね」
「お願い!」
案内は毎日してもらっていたのだが、途中でハートからお茶会への呼び出しがかかったり、ジャックに泣きつかれたりであまり進まない上に、城の構想が複雑すぎて覚えられないという二重苦!!
「そしてここが図書室ですわ」
「わ! ちょっと入っていい!?」
「どうぞどうぞ」
そういえば、会話できるけど、この国の言葉はわかるか謎。よくあるじゃない? 異世界トリップで、会話はできるけど読み書きはさっぱりってやつ?
「……」
「あ、お読みになれますか?」
「…………び、微妙に……?」
あ、これ英語ですね! ハローくらい読めるよ!? でもね、英語ね、テストね、十点取ったことあるよ……? 読めるわけないよね!
「あら……」
「ま、まぁ、会話できるからそこまで心配いらないわよね!」
「そ、そうですわね!!」
ノリのいいメイドさんでよかった!! あ、ちなみにメイドさんに名前はないらしい。どうも、役付以外に名前はないらしい。なんて世界だ!!
なので私が命名。メイさんです。はい、安直で悪ぅございますね!!
「あら? アリス様」
「あ、こんにちは」
顔は知ってるメイドさんだ。
「ラビ様が探しておられましたよ」
「変態が?」
「え、えぇ、何でも女王陛下がお茶会を、だとか……」
ルビに若干顔をひきつらせていたように思えるけど、見えてないもんね!
「わかった。ありがとう」
「いえいえ」
「メイさん案内もついでにしてくれる?」
「もちろんですわ」
あぁ、メイさんたち可愛い……。癒される……。
女王も綺麗なんだけどね! 迫力がね! くっ!!
こうして彼女はまた女王のお茶会に招かれ、案内はあまり進まず、結局必要最低限の道を覚えるのに二週間ほどかかったらしい。
「なんじゃ、アリス? 難しい顔をしておるの?」
「いや、お城らしく道が難しいなって思って……」
私の慣れが怖い。女王とこんなためで話せるようになるまで三日もなかった自分が怖い。
「そうかのぅ」
「陛下はご自分だけで歩くことも少ないでしょう?」
お茶会にはハート、ラビ、エース、私が出席している。
紅茶はなんだろ? 香りがすごい。お茶請けは様々なお菓子。どこぞのように一色なんてことはない。
「なんじゃと? 妾とて自分の城の構造くらい把握しておるわ!」
「陛下、それ本当ですか……?」
「今夜はウサギ鍋かの……」
「やめてください共食いになっちゃうじゃないですか」
「材料は、お前じゃ」
「陛下、私がいなくなったら仕事が回らなくなりますよ?」
「それは困るがのぅ。うざいウサギを消す方がよいかと思うてな」
「それは困りましたねぇ」
「ほんに……」
ほのぼのするべきお茶の席が、なんと不思議、あっという間に殺伐★
「アリス、君は、なんというか……その適応力は素晴らしいと、思うぞ……」
「エース、無理に褒めなくてもいいのよ?」
「……」
目が泳いでいます。バタフライです。めっちゃ泳いでます。
「無いよりはましだと思いますよ」
「そうじゃのぅ。固まり続けてうじうじされるのもうっとおしいだけじゃ」
「そ、そうですね……」
「まぁ、道に関しては、防犯上地図がないのはしかたないって納得してるから、頑張って覚えるわ」
大きな道だけ覚えれば何とか生活くらい……できるでしょ。うん。
「その前向きさもあればいいものじゃ」
「ありがとう」
元の世界に帰るにも、ここで生活してないとね……。
「して、アリス」
「なぁに?」
「こっちでの生活には慣れたかの?」
「まぁまぁ、かしら?」
特に不便を感じないし。
「まぁまぁ、か?」
女王陛下は不満そう。でも、仕方ないでしょ……快適すぎたら帰りたくなくなるかもしれないし……。
「ええ。ここの人たちはよくしてくれるし。メイドさんは優しいし、美人だし……も、もちろん、ハートも美人で優しくて素敵な大人の女性よ!? 憧れるわ!!」
メイドさんをほめているとだんだんハートの方から冷気&背筋が凍るオーラが!!
「むぅ、あたりまえじゃっ」
ちょっと口をとがらせて、むすっとしてるハートは可愛いと思う。何だこの世界!! 美人のくせに可愛いとか!! スタイルまで抜群で!! 目にはいいけど、精神的に良くないぜ!!
「な、何じゃ? 恨めしそうにこっちを見おって?」
「ナンデモナイヨ」
「アリス、棒読みすぎませんか?」
「キノセイダヨ」
「「……」」
おっと、私のキャラ崩壊がすごいぜ……。
「こほん……さて、アリス、もうそろそろ行かないと帰ってこられなくなるぞ?」
「あ、やべ」
「なんじゃ? どこか行くのかえ?」
「城下町を案内してもらう約束なの」
「そうか、残念じゃな。もうお開きか……」
「毎日お茶会してたでしょ? いいじゃない、今日くらい早めに終わらせても」
「妾はアリスとならいつまでもお茶会をしていたのじゃが、アリスはどうやらそうでもないらしい?」
「いや、私も楽しいからお茶会してたいけど、うん、毎日はいいかな……お菓子美味しいからつい食べ過ぎちゃうし……」
「菓子など好きなだけ食べればよかろう?」
「ハートみたいにきれいな人には無縁かもしれないけど、私は太りたくないのよっ」
「アリスは全然太ってないと思いますけど!」
「それよりももう少し肉をつけたらどうだ?」
「こらそこ!! 男は黙ってて!!」
「「はいっ!!」」
「ふふっ、アリスにかかれば形無しじゃな」
「「……」」
「そうじゃそうじゃ。男は黙っておれ。乙女心のわからぬやつらめ」
「ハートもでしょ!」
ぼんきゅっぼんのスタイル抜群迫力美女に何言われてもねぇ!?
「妾とて、気を付けていることはあるよ。今度教えてあげよう。……一緒に女子トークでもしよう?」
「それいいわねっ!!」
もうヤケですが何か?
「ふふふ、じゃあ今度の約束も取り付けたし、今回は見逃すとするかの」
その言葉で、今回のお茶会はお開きとなった。




