いったん落ち着きたい
目が覚めると、ベッドの中だった。
「?」
あぁ、夢だったのか。どこから? あの変態白兎から……。
「誰が変態ですか。いい加減それやめてもらえません?」
アリスが起きたのに気が付いたのか、ラビがベッドを覗き込んできた。
「ぎゃぁ! やっぱ夢じゃなかったか!! 悪霊たいさーん!!」
「誰が悪霊ですって!?」
こんな目に合わせた誰が悪霊じゃないって?
「まったく……それより、大丈夫ですか?」
「何が?」
「あなたです」
「?」
「あなた倒れたんですよ、アリス? 覚えていませんか?」
「一ミリも覚えてないわ」
「……そうですか」
やれやれ、というように耳が下を向く。
なんだ、可愛いじゃないか。
「あなたは倒れました。陛下の部屋を出て、そこまで時間は経ってないと思います。エース君が慌てて知らせに来てくれましたよ? ここはアリス、あなたのための部屋です。今日からあなただけの部屋です。ですから、ここで少し安静にすることをお勧めします」
「……そう」
素直にうなずくと、ラビが怪訝そうな顔をした。
「何?」
「いえ、何が何でも国を見に回る、と言い出すと思いましたけど」
帰りたかったのでしょう? そう聞いている。そのために早くいろいろ知りたかったのでは?
「帰りたい、のは変わらないけど、なんかちょっと今はどうでもいい気分」
だるい。何も考えたくない。なんでこんな気分になるの? あぁ、なんか夢を見たからだ。……何の夢だっけ?
「アリス」
名前を呼ばれた。もう馴染んだ、私の名前。それでも心のどこかがダメと叫んでいる。
「アリス、帰りたくないのなら帰らなくていいんですよ」
真剣な目が、血みたいに真っ赤な目が、まっすぐ私を見つめる。
「帰りたいよ」
帰りたいよ。……帰らなきゃ。
「そう、帰らないといけないもの……」
「……」
「帰るの、どこに? 私の、帰る場所はあるのかな……?」
記憶がないのに、どうしてどこかに帰らないといけないなんて思うの? そんな場所あるの……? 覚えてないんじゃなくて、元からないんじゃないの?
「ここにはありますよ。私があなたの帰る場所になりますよ」
「違うよ。なれない。あなたは私のかえる場所にはなれないの。なんで?」
「アリス……」
「あなたたちも、この世界も、私の都合のいい夢だよ」
都合のいい? どこが? ただただ理不尽で、むちゃくちゃな、悪夢じゃないか。それがどうして?
「いいえ、アリス。これは夢ですけれど、夢ではないのです」
「言ってること無茶苦茶よ」
「ええ。夢だって、信じれば現実です。いえむしろ、現実の方が夢だと言えるでしょう。目を離すことのできない最低な悪夢」
そう、そう。悪夢。目をそらせない。違う、そらせるよ。簡単。目を瞑って、耳をふさいで……あ、これ夢で……? 違う、あれは夢じゃないよ? あれは私の……なんだっけ?
「アリス。思い出すことはありませんよ。ここは夢で、信じれば現実です」
さっきから彼女の思考を邪魔するように、甘い毒を囁いてくる白兎。
やめてよ。都合よすぎる。それじゃあダメなんだよ。
「浮かない顔ですね。どうしました? あんなに張り切って私に跳び蹴り食らわしてきたのに!」
話を逸らしたいのか、無理やり明るく聞いてきた。
「あれは、突然の異世界トリップで謎のハイテンションきゃほーいってなってただけだから気にしないで」
「……」
「気・に・し・な・い・で?」
「……ハイ」
何か言いたげなラビを、暗い笑みで、一文字ずつ区切った言葉で黙らせる。
「ねぇ、アリス」
「……」
「焦らなくてもいいじゃないですか。記憶だって……」
「そうよ、記憶よ……」
「アリス?」
「ちょっと、うるさい。出て行って。一人にして」
「アリス……」
「出てって!!」
ヒステリーを起こしてしまった。子供っぽい。でも止められない。
「……わかりました。何かあったら呼んでください。仕事ほっぽってでも駆けつけますから」
「……」
「失礼します……」
や っ て し ま っ た……
書いてるとすごく短いなぁと感じるのですが……どのへんが読みやすい長さなのか測りかねている作者です。どうもおはこんにちばんわ。
説明下手すぎて同じ内容を何回も言ってる気がしますが、生暖かく見守っていただけると幸いです!! 申し訳ありません!!




