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迷夢の国のアリス  作者: 影宮ルキ
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―――のカケラ①

 目の前に一枚の写真がある。

 ……いや、なぜ写真と認識しているのだろう。

 それは一枚の絵画かもしれないし、ただの記憶の切り抜きかもしれない。

 だが、一枚の風景が目の前にある。……本当は目の前かすら危ういものだが。

 そこでは二人の少女が、木漏れ日の中で仲睦まじそうにしていた。

 少女たちは姉妹であろうか。一人は年上である余裕をのぞかせ、もう一人の少女に微笑みかけ、もう一人の少女は絶対的な信頼をのせた笑みを返していた。

「私はこれを知ってる」

 彼女はつぶやいた。

 途端にその風景は遠くなり、彼女は闇に放り出される。

「何? なんなの?」

 右も左もわからない。立っているのか座っているのかもわからない。落ちているのか上っているのか、目を開けているのか閉じているのか……生きているのか死んでいるのか。

 それは、圧倒的な闇、恐怖、絶望。

 こわい。

 彼女はつぶやけなかった。

 闇から抜け出したい。闇を変えたい。でも、変えてしまったら何が起きるのかわからない。だから何もできない。

 自分に何が起きたのだろう。何をしたのだろう。どうして、何で、Why?

 ……。

 ――――こわい、から目を背けたいのなら、簡単でしょう?

 うん。そうだったね。

 ――――色々あって、混乱しちゃったのね。

 うん……。

 ――――楽しかった?

 ……ううん。全然。

 ――――でも、前、みたいだったわよ?

 うん。ちょっと、変われるかもって思ったの。でもね、やっぱり違うかな?

 ――――いいのじゃない? あなたはあなたよ。ウソツキで愚かなお馬鹿さん。

 ……知ってるよ。

 ――――だったら、ほら、もう戻りましょう?

 ……。

 目を閉じて、私は何も見えない。

 耳をふさいで、私は何も聞こえない。

 うずくまって、私は何にも感じない。

 ――――目を背けるのは簡単。でも、ねぇ、それは貴方自身を――――

 私は、何も、知らない。

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