一人ダケハ味方ニナロウ
ダイブ説明くさいです。最初の方は生暖かく見守っていただけると嬉しいです……。
「いいか? 一度しか言わないぞ? 質問は後で受け付ける。よく聞け」
えぇ、ちゃぁんと、説明してもらおうじゃないの?
「お前と会って、ゲームせずに味方になるのが俺、“スペードのエース”の役割だ。アリスはこの世界では余所者であって、この世界で一人。それだと危ない、ゲームにならない状況に陥るかもしれないと思ったんだろうな。だから、俺はお前の騎士になる。そういうカードがスペードのエースだ。以上、何か質問は?」
「ちょ、ちょっと待って」
ゲームなしに味方になる。ってことは、認める認めないのはなしじゃないってこと? まぁ、とりあえずこれでカードは一枚ゲット? ヤッタネ!
……ゲームにならない状況って何かしら。危険? それってもしかして、命の?
「はい、先生!」
「先生ではないんだが、なんだ?」
「危ないって、し、死んだ、り……?」
「そうだな」
「!?」
「この世界についてもう少し説明を加えてやろう。ここは人が殺されたとしても、まぁ、しょうがない。くらいで済む世界だ」
「はい?」
「簡単に言うと、命は軽い。人を殺せば裁かれるが、だからどうした。といった感じか」
「ちょ、危険じゃないの!!」
「だからそう言っているだろう?」
私、今まで普通に歩いてきたんだけど、あっぶな!!
ってか、だからか! ミカが銃突きつけてきたり、ジャックが剣をさっさと抜いたりしたのは!!
「機嫌が悪い。馬鹿にされた。紅茶に砂糖を入れすぎた。そんなことでも人を殺せる。女王陛下を見てればわかるだろうがな」
……そういえばそんなこと……。
「え、でも、だったらハートは裁かれないの?」
権力に屈してるのか!?
「女王陛下は裁く側だからな。だから裁かれない。女王が法だ」
「なんて無茶苦茶な!!」
「見てたらわかるだろうが、機嫌損ねたらアリス、おそらくお前も簡単に殺されるぞ」
「……」がくぶる
気にいられたからな、大丈夫だと思いたい……。
「それと、普通の奴ら、カードにならないどうでもいいやつらは、本当にゴミのように扱われる」
「え?」
「殺そうが、脅そうが、処刑しようが、役付には逆らわないし逆らえない」
「なんですって? それをあなたたちは許してるっていうの?」
「俺たち、というよりは世界が、だがな」
「だったら最低な世界ね」
吐き捨てる。
「どうとってもらっても構わないが、そういうものだ。巻き込まれたくないなら諦めて無視をしろ。お前に批判的な役付もいるかもしれないことを忘れるなよ」
「……」
「役付以外でも、争っているところはあるし、遭遇することもあるだろう。絶対にかかわるな」
「あなた、騎士でしょう? そういうのは何とかして収めようって気はないの?」
「収めようとはするが、諦めた方がいいこともある。勘違いするなよ? 俺の役目はお前の護衛であって、バカどもを収める方に力を割くわけにはいかない」
「呆れた。最悪ね」
「どういわれても仕方ないな」
「……」
悔しい。何も言えない。言ってやれない。頭がグルグルしてきた。
「アリス、お前は、なんていうんだろうな、引力がある」
「ハぁ? なにそれ」
「この世界の者はアリスにどうしても魅かれるものらしい」
「……?」
「お前はこの世界の奴らから好かれることもあるだろう。知られれば知られる程な。どこへ行っても気にいられて、よくしてもらえるだろう。初対面ではどうかは知らないがな」
「わーい、私モテモテ」
「茶化すな。これはとても危険なことだぞ」
「え、どこが?」
「好かれるということは、心の中にあるお前の存在が大きくなるということだ。そして、可愛さ余って憎さ百倍、という言葉もあるだろう?」
……やな予感。
「引力が大きすぎて心が折られて、お前しか考えられなくなるものもいるだろう。お前を一方的に好いて、お前に見られず憎しみを抱く者もいるだろう。……気を付けろよ」
「どうやってだよ!!」
「……さぁな」
「えぇ!?」
ここにきて丸投げですか!?
「まぁ、そのための俺だ。何か、がないように、一人は味方にならないとな。じゃないと、最悪し……」
「それ以上言わなくていいからぁ!!」
「そうか?」
あー、もー、最悪、最低、ありえない。マジ頭ぐるぐるするーあーあーあーあーあー……。
「だから、間違っても危険には首を突っ込むなよ? 俺だって、いつでも守ってやれるわけではないし、お前が――を、――て――――までは守るが……アリス?」
エースの声がする。なんか心配そうだ。
「アリス? オイ? 聞いてるか?」
頭だけじゃなくて世界までグルグルしてきた。
「アリス!!」
なんでそんな叫ぶかな? うるさい、じゃん、ね、ぇ……。
ぱたり……




