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迷夢の国のアリス  作者: 影宮ルキ
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カード一枚

「ではアリス。そのように」

「えぇ、ありがとう」

「今は仕事が立て込んでおるからの。部屋はそこのメイドが案内する」

 ……てな感じで、宿ゲット! 幸先いいわ! その前になんかいろいろ言われた気もするけど、気にしない!!

「また後でな、アリス?」

「あー、もうちょっとこの国見て回りたいんだけどいい、かしら?」

 また敬語が出そうに……。

「日が暮れる頃には戻って来ておくれ。妾と一緒にお茶をしよう?」

「わかったわ」

 ご飯食べられるかなー?

「では、また夕暮れ時に」

「ええ。……えっと、失礼します?」

「普通にするがよい」

「……またね」

「あぁ」

 そうして女王様はにっこりとほほ笑んだのだった。

 ……ですからね? 美人の笑顔のこの破壊力!! ぱねぇ!!


「……様? アリス様?」

「あ、は、ハイ!? なんっでしょう!?」

 噛みかけた!

 あれ? いつの間に部屋出てたのかなぁ!? 女王陛下のにっこりにやられてたうちにか!?

「いえ、お部屋にご案内いたしますわ」

「あ、はい」

 落ち着け自分。うん。

 メイドさんは丁寧に案内してくれた。

 お城広いもんね。迷いそうで怖い。

 メイドさんの服はそこまで赤を強調していなかった。黒基調で、赤いラインのハートが描かれている。ヘッドドレスにも、黒地に赤いラインのハートが。全体的にシックなイメージ。

 そりゃ、明るい色だと汚れが目立っちゃうもんね。メイドさんは汚れちゃう仕事とかも多いだろうし……。ん? 騎士のが汚れそう? あ、でもあの赤だったら血が目だ……いや、言うまい。

「アリス様? 何かわからないところがございましたでしょうか?」

 難しい顔をしていたのか、ちょっと不安そうに問われた。

「い、いいえ。ちょっと考え事していただけだから……あ、それとアリス様って言うのはちょっと……」

「お嫌でしたか? それでは、何とお呼びすれば……?」

「普通にアリスって呼んでください。それと敬語はいりません」

「そんな! お客様にそんな無礼な真似はできませんわ」

「無礼とかそんなもの……」

「そういうものだ。あまり彼女を困らせないでやってくれないか?」

 また後ろからっ!!

「エース!?」

「国を見て回るなら、知ってるやつが案内した方がいいだろう?」

 それでわざわざ抜けて来てくれたのか?

「それはありがたいけど、仕事は?」

「ジャックじゃあるまいし。ちゃんと終わらせてきた」

「さっすが」

 ちなみにジャックはきっとお説教の最中だろうな。一番嬉々として案内するー! とか言いそうだもんなー……。

「あ、あの、エース様」

「もしかして、まだ部屋に案内できてないのか?」

「申し訳ありませんっ!!」

 メイドさんはすごく怯えていた。なぜだろう? 怒られると思ったから? だったら、

「え、エース? 私がちょっと話まったく聞いてなかったせいで、彼女は悪くないわよ!?」

「あぁ、責めているわけじゃない。そう思ったのならすまない」

「い、いえっ」

 メイドさんは俯けた顔をあげようとせず、できるだけ体を縮めさせているように見えた。

 これ以上、一緒にいたらなんかヤバそう。何があったか知らないけども!

「あの、メイドさん!」

「はい……」

「わ、私これから出かけてくるから、戻ったらまた案内してくれたらうれしいなぁって思うの!」

「そ……」

 ん? 仕事の都合とかあったか? 墓穴掘った!?

「部屋までの案内くらいなら俺がしてやれるが?」

「よし、それで行こう!」

「ハ?」

 勢いがアレすぎて、ちょっと引き気味のエースはもうどうでもいい!

「ってことで、エースがいるから大丈夫よ! もう行っても!?」

 何が大丈夫なんでしょうか隊長!? 気にするな!! 伝われば無問題!!

「……わかり、ました。失礼いたします」

 そしてアリスの横を通り過ぎる時に小さな声で、ありがとう、と聞こえた。

 ほら、伝わってんだからどこに問題がありましょうや!? いや、ない!!(反語)

「……」

「ねぇ、エース、あんためっちゃ怖がられてるんだけど?」

「……仕方ない。そういう役だからな」

「ハ?」

 それまでメイドさんの颯田方向を見ていたエースがアリスに視線を戻した。

「アリス、カードを」

「え? ちょ、せつめ「カードを」い……はい」

 そうしてカードを取り出す。

 新たに色づいているのはスペードの一。

「……スペードのエースって……」

「そう。俺のカードだ」

 そう言うと、エースはカードの上に指を置いた。

 だったらハートのジャックとか、クイーンとか、色づいてくれないのかなぁ……?

「オイ? 今はこっちを見てもらえないか? 思考がどっかいっている目をしているぞ?」

「そ、それはごめんなさい」

 少しため息をつかれた。

「アリス、俺のカード。スペードのエースを開けよう」

 とんっ、と軽く叩くと、スペードがエースの髪の色に色づき、剣と短剣が剣先を下に交差している図案が浮き上がってきた。

「……!?」

「これで俺はアリスのモノだ。好きに使うといい。一応、だけどな」

 いきなりの展開についていけず、口をパクパクしていたアリスには、最後の言葉は聞けなかったようだが今の問題はそこじゃない。

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!? え、何事!?」

「何って、カードを開けただけだろう?」

「軽くいうなぁ!! ゲームは? あんたいつ私を認めたの!?」

「ギャーギャー喚くな。落着け」

「こるぇ(巻き舌)が落ち着いていられっかぁぁああああ!!」

 人気のない廊下にアリスの絶叫が響き渡った。

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