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「さそり」
元は静かに呟くような声で言った。
「ヒトシどこだ。」
怯えるウルフカットが腰を抜かしてその場にしりもちをつく形でコンクリートの地面に尻をついて黒い豹のような元を見上げながら言った。
「ヒトシさんなら今頃ゴーパチ流してると思います。」
「案内しろ!」というと元はウルフカットの襟首を乱暴にワシ掴みして半ば無理やり先導するように促した。
ウルフカットは後ろからついてくる黒豹のような元のゼファーをサイドミラーで確認しながら58号線を北上し飛行場を嘉手納を過ぎて恩納村の多幸山と呼ばれる走り屋たちが多くいる暗い山道に向かった。
多幸山は大きなワインディングロードが続くストリートのレースコースで多くの走り屋と見物の期待族がいたが南部連合の連中は見当たらなかった。
元がウルフカットのバイクの前に出て左に寄るように指示器を出したのでウルフカットもぼんやりするアタマでそれに従った。
バイクを停めると元は自分のゼファーから降りてウルフカットのバイクに近づくと何も言わずにバイクごと蹴り倒して倒れたウルフカットのヘルメットに間髪入れず強烈な蹴りを入れた。




