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「元の決意」

 からりと冷えた冬空から冷気が星降る夜に透明感を与えて北谷の夜ひどく気持ちのいいものだった。


 元は病気がちの母のくたびれてツギハギだらけのちゃんちゃんこの背中に向かって一言。


 「母ちゃん。オレちょっと行ってくるね。」と行き先も告げずにいうと母は本能的に何かを感じ取ったのかたまたまそういったのか分からいが、「気をつけて帰ってくるんだよ・・・」と後ろ向きに応えてそのままテレビのバラエティー番組を虚ろな目でただ眺めながら静かにそういった。


 元はその言葉に胸の奥から込み上げてくる熱いものを感じ、少し赤らんだ目で「行ってきます。」と元気に声を張り上げて自分と母の二人だけの家族の惜別の念を振り切った。


 安い錆び付いたアパートの分厚く重いドアがバタンと音を立てて閉まると元の気持ちも切り替わりもう元の中で戦いは始まっていた。


 元は自分がアルバイトで貯めた金で買ったお気に入りのワインレッドのゼファーの新車に跨り、真っ黒い地にSHOEIのロゴの入ったフルフェイスヘルメットを被り、黒いバイザーを下ろして黒い学生服の姿のまま、国道58号線を北向けに走り出した。


 


 

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