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「生まれてきた意味」
黒い男カンザキは幼い元の耳元に顔を近づけて「この二人を守ってほしい」と言われてきれいな二人の母子の写真を渡された。
「この二人の名前は金城ゆかりと美亜だ。お前はこの二人を命がけで守れ。それが君の生まれてきた意味になるだろう。」
黒い男カンザキはそういうと黒く長いコートを翻して颯爽とこのナンミンを去っていった。
狐につままれたような気持ちでしばらくの間ぼうっとしていた元に子猫のみいが「おなかが減った」というように爪でやさしく引っかいた。
「ごめんごめん。すぐに家に帰ろう。猫飯作ってやるからな。」といって元はすっかり暗くなった若狭公園の海岸沿いの防波堤を一目散に家に向かった。
家に着くと疲れ切った母親と異臭を放ち始めている食器が台所のシンクから匂ってきた。




