「醜いものの姿」
撃たれながらもヘリに突撃してきた勇敢なカラスのようなモノは青白い体液を軍用ヘリの防弾ガラスに残して他のモノたち同真っ黒に揺らめいている那覇の海へと落下していった。
「あれなんなんだよぉ!」タマキンはリサを守るように窓から遠ざけながら叫んだ。
「あれは保菌者よ。あの薬の常習者はその暗く底なしの欲望のままにあの《BUMP》をやり続けるとああなるの」とゆかりが話し始めた。
「あのドラッグの恐ろしいところは…いえ、あれはドラッグと呼べるものでもないの。あれはある生物の生き血を薄めてカプセル状にしたものなの。通常の麻薬と呼ばれるマリファナやLSD、クラックにヘロイン、コカイン、スピードやその他の覚せい剤には中毒性がありこの日本でも世界でも禁止されているでしょう?でもあれはそういう法の及ばないものなの。実際禁止もされていないしその薬をビタミン剤だといえば世界中にばら撒けるの。」そういって禁煙のはずのヘリ飛行中に細いセーラムライトのタバコを咥え、元さんが焦ってライターを取り出すとポウッと丸みを帯びた炎がゆかりのキレイに塗られた細い唇の先に温かみのある炎を灯した。
ゆかりは少し寒さで震えながら続けた。「あれは広がりすぎた人口を減らすためのものかもしれないの。世界中で毎年流行っていると伝えられているコレラやエボラ、鳥インフルエンザや豚インフルエンザ、エイズなんか比べ物にならないくらいの感染力と依存性があるの。miyako!あなた少しお酒が入っているわね?」とゆかりが何でもお見通しのように涼しいまなざしでmiyakoの目を覗き込んだ。
「う、うん。少しね。でもリサはフルーツジュースだけよ。本当よ!」とmiyakoが声を荒げて言ったのでリサとmiyako以外の全員が信じなかったがゆかりは涼しい眼のまま話し続けた。
「あれは一度やってしまうとどうしてもやめられなくなるの。カプセル状になった青白く甘い香りのあの薬を飲んでしまえばお酒に酔って自分の大好きな音楽が流れて頭の中がグルグルして痛みを感じなくなったりするの。はじめの1週間はそれが続いて寝なくても心も体も元気でいられるの。でも1週間を過ぎる頃体に変化が訪れるの。その人の思ったとおり、願ったとおりの姿に体質的に変化が訪れるの。」
「さっきの鳥野郎もそのクチだな。大方鳥にでもなりたかった輩だな。」横から元さんが口を挟んだ。
「そう。ある人は鳥に、ある人は魚に。そのものの思い描く様にその通りに変わっていってしまうの。」ゆかりは遠い目をしながら何かを思い出すように言った。




