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「個人タクシー」

 急ブレーキの音が松山の裏通りに響き、個人タクシーの黒ボディーが店の前に横付けに停まった。


 「さぁ行くわよ」とmiyakoの母ゆかりは足早に車に乗り込んだ。リサとmiyakoも遅れじと車に乗り込んだタクシーの左後部座席のドアが閉められようとしたその時、何者かの手がそれを阻んだ。


 ゆかりは「きゃ」と小さく悲鳴を上げた。


 するとmiyakoの目の前に白く固い袋が差し出され、能天気な口ひげのタマキンが「コーヒーおまたせっス」と笑顔で立っていた。


 「もう脅かさないでよ!」とリサが文句を言うと申し訳なさそうにすいませんと謝った。するとゆかりが「あなたも乗って!急いで!」とタマキンをタクシーの助手席に乗せてようやくタクシーは走り出した。


 「どこ行くんッスか?」とタマキンがいったがゆかりは運転手に向かって「空港へ向かって頂戴。」といった。


 miyakoは「なにがあったの?」とゆかりに話しかけたがゆかりはまだなにか考え事をしているようにその質問を無視した。


 タクシーの中はラジオから流れる民謡で満たされ、もう誰も話そうとはしなかった。

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