「絹」
絹は意外にも松山の大通りから少し離れたビルの地下にあった。デブッチョの風俗無料案内店店員であるヒサシに連れられてmiyakoとリサはこの謎の高級クラブに入っていった。
中は少しあかりを落とした落ち着いた雰囲気で高級そうな調度品や家具に加えて壁には芸術的な絵画が飾られているが気取りすぎてなくて、沖縄らしさも感じられるきれいで素敵な空間だった。
落ち着いたジャズバラードの曲に合わせてキャストと客のさざなみのような笑い声や話し方がこの店の品格を自然に上げていた。
この店に明らかに場違いな汗の跡が見える灰色のポロシャツと紺のスラックスにスニーカーといういでたちのヒサシはかなり浮いていて店に入るとざわめきが起きたが後ろから入ってきたウサギみたいなパジャマのリサとシルクの柔らかそうな麻色のテロテロパジャマのmiyakoの3人が入り口に現れたので一瞬店は騒然となった。
「あんた達なにやってんの!こっちこっち」と着物姿のmiyakoの母がスタッフルームらしい奥の部屋へ3人を呼び寄せた。
「miyakoのお母さんすごくキレイ。」とリサは藤色に染められた高級そうな着物に身を纏うゆかりに見とれていた。「ほんっとうに申し訳ありません」と奥で母の声がしてmiyako達を無視してヒサシに「本当にご連絡いただいて…ありがとうございます」とヒサシにも深々と頭を下げた。
「いえいえゆかり姉さんのためならお安い御用っす!」と笑顔でテレながらヒサシは「じゃあ自分はこれでっ!」と入ってきた階段を上っていった。
フーと溜息をついたあと母はmiyakoに向かって話しかけた。
「今夜はリサちゃんを家に泊めるのはいいって行ったけど店に来るなんて…しかもそんな格好で!」と母は怒っているようだった。
miyakoは「ちょっとトラブルがあって…」と事情を話したがリサが酒を飲んでいることは伏せていた。
しかし事情を聞いている母の顔から血の気が引いていくのを見て取ったmiyakoは「あれ?どうしたの?」ときいてみると母は目に涙を浮かべmiyakoを強く抱きしめると二人に向かって「すぐここを出ましょう!」といって奥に行き今夜は休むという旨を伝えると普段のラフなベージュの模様のついた上着とジーンズ姿になって少し怒っているように二人に目もくれず、ただ手を引いて3人は急いで店を飛び出した。




