その3
前回のあらすじ
「姉さんっ!どこ行ったのっ!?」
「…ふむ…。すると、そなたはその『都市伝説を試した結果、この世界に来てしまった。』と、そう言うのだな?」
「はい…。信じてもらえないかも知れないけど…。」
少し落ち着いたアタシは、彼等にここに迷い込んでしまった経緯を話した。
「俄には信じられない話で御座いますな…。」
「確かに。だが、現にハルナは此処にいる。ふむ…」
何かを考えているウォルストールさん…。考え事をしている時間はそれほど長くはなく、直ぐに何かを思い付いたらしく、アタシに
「その都市伝説とやらは、部屋に入るときに『ノックを10回』なのだな?」 と確認し、
「その都市伝説に興味が湧いた。我々も試してみようではないか。」
なんて事を言い出したのである。驚きだ。
「もし上手くいけばハルナも元の世界に帰れるぞ?」
「しかし旦那様、危険はないのですか?」
「ハルナ、危険は有るのか?」
試してみよう発言に驚いたお陰で話を聞いていなかった。
「えっ!?な、なにっ?」
「その都市伝説に危険は有るのかと聞いている。」
「あ、な、無いよ…?多分。ってか、そんな話、信じるの?そんな荒唐無稽な話を…。」
「何だ?今までの話は全て作り話か?」
「ちっ、違うよっ!…でも…普通…信じたりしないよ…。」
「勘違いするでないぞ、ハルナ。まだ私とて完全に信じたわけではない。先ずは、確かめてみるのが先だ。よいな?ヴィストもそれで良いな?」
「仕方有りませんな…。但し旦那様、くれぐれも危険の無い様に御願い致しますよ。」
「解っている。さ、試してみよう。」
何だかウォルストールさん…、楽しそう…。
そんな事を思い、手順を教えながら廊下に出ると、向こうから女性が1人遣って来た。
「どうなさいましたか、旦那様?あら?此方のお嬢さんは?」
「少々訳ありでな。後で、話す。」
『まぁ、見ていろ。』と、使用人?の女性を制し、ドアを10回ノックし、女性の『何かのおまじないですか?』と言う問い掛けに、『まぁ、な。』と、答えるウォルストールさん。
そして、ドアを開けた先には
「…こ…これは…」
「なんとも…」
「な…なんて酷い有り様でしょう…」
何か、とんでもない廃墟が目の前に広がった…。
一方、牧村家では
「姉さん…どこ行ったのぉ…みんな…心配してるよぉ…。……姉さぁん……。」
わたしがお使いに行って帰ってくる、10分も無い間に姉が居なくなった…。
出がけに頼んだお風呂の用意はしてあるし、玄関には靴も有るのに部屋はおろか家中捜しても姉の姿が無い…。
仮に何処かに出掛けたとしても、制服を着たまま、鞄を持ったまま出掛けるだろうか…?
否。普通、そんな事しない。
この事を両親に伝えると、血相を変えて帰宅し、もう一度説明した後、何度も姉の携帯に電話したが繋がらない事を付け加えた。
それを聞いた両親は、何故、姉が居なくなったのか本当に解らない様だった…。
拙い文章にお付き合い下さって、誠にありがとう御座います。
はいっ。と言うわけで、「通い妻」の3話目でした。如何だったでしょうか?
更新があいてしまって申し訳ありませんです…。