その1
はいっ。漸く、本編のスタートです〜。
アタシ、『牧村 春奈』は、ここ最近疲れていた…。
教師からの期待、生徒からの期待、両親からの期待…。
『周りは、アタシに期待している。』その重さは日に日に増していく。
正直、逃げ出してしまいたかった。
そして、今日も………
「うわぁ…。まただよ…。」
「るな〜。おはよ〜。おぉ…、今日はスゴいね…。」
「湊、おはよう。一時期、大人しかったのにね…。ってか、人の下駄箱に手紙入れるのもどうかと思うんだけどね…。」
「確かにね〜。衛生的とは言えないよね〜。しっかし、多いね…。」
「明日から連休だからじゃない…?」
「そう言えばそうだね。」
「湊、連休は何時もの様に?」
「うん。おじいちゃん所〜。るなは?」
「こっちも普段と変わらず、よ。」
「るな、無理しないでね?」
「うん…。ありがと。」
「牧村っ。」
「先生。おはようございます。」
「ございます〜。」
「うむ、おはよう。牧村、連休明けのテスト、期待しているぞ。平山もちゃんと勉強しておけよっ。」
「はい。」
「はーい。」
そう言いながら、先生は職員室に入っていった。
更にこの後、数人の先生に期待を掛けられた…。
朝からの過度な期待にうんざりしつつ、教室へ…。
教室は今日も賑やかだ。
[だから、そーゆー噂があるんだって。]
「何々〜。何の話〜?」
「あ、湊、まきぃ、おはよー。」
「おはよう、志村さん。」
「おはよー。で、で、何の話〜?」
「あのね、『自分の部屋から別の世界に行けるかもしれない』って言う、都市伝説。知らない?」
「「別の世界?」」
「そ。自分の部屋に入るとき、10回ドアをノックするの。」
「それだけでいいの?胡散臭い。」
「あっはっはっ。確かにねぇ。でも、都市伝説なんてそんなもんよ。」
アタシは呆れながら自分の席に着いた。
………別の世界かぁ………
なんて。ある訳ないか…。
そんな事を思いながら授業をこなし、ついでに所謂ラブレターにも目を通しておく。
文面は似たり寄ったり。好意を持ってくれるのは嬉しいが、どうにも興味が湧かないので、全員お断り。
そんなこんなをしている内に下校時間が随分過ぎてしまった…。
「ただいまー。」
「姉さん。おかえり。」
家に帰ると妹の春香が出掛ける所だった。
「お使い?アタシが行こうか?」
「大丈夫、直ぐそこだから。それに姉さん、疲れてるでしょ?その代わり、お風呂沸かしておいて。」
「了解〜。」
ボタン一つでお風呂が沸く。文明の利器万歳。
なんて事を思いながら部屋の前まで来たとき、ふと、今朝の事が頭をよぎった…。
「『ドアを10回ノック。』だっけ。」
コンコンコンコンコンコンコンコンコンコン
ノックした後に、期待してしまった自分に軽く後悔…。
「何やってんだろ…。アタシ…。」
溜め息をついて呆れながら部屋に入り、
「ほら、何時もと変わらない自分の部屋が…」
そう言い掛けて、
「ん?そなたは?」
「おや?どちら様でしょうか?」
「えっ?えっ?」
どういうこと?アタシの部屋が?あれっ?
ここは…?明らかにアタシの部屋じゃない…。
まさか、ホントに?別の世界に来ちゃったのっ!?!?
拙い文章にお付き合い下さってありがとうございます。
如何でしょう。異世界物。これからどうなるか、生暖かい目で見守ってあげてくださいませ〜。