第二章 『春の桜魔高祭』 2-2
例によって分かりやすい展開です。
第二章 2-2段落始まります
∑d(`・ω・´)キリッ
「うえ、まだ口の中がこってりする……」
「わ、私もです……」
なんとかオムライスを全て完食し、
二人は校舎裏の人気の無い静かな場所にあるベンチに座って風に当たっていた。
「なんか……本当にごめん、今日はお詫びのつもりだったのに」
「いえ、気にしないでください、
別に気にしてませんから。
むしろ、ちょっと楽しかったくらいです」
「そうか?
でも、俺は美夏の迷惑になるようなことばかりしてるような気がするんだけど」
「全然そんなことないです、
私すごくうれしかったです。
確かに、初めは緊張して嫌でしたけど、
江室君としばらく一緒にいて、
本当に楽しかったです。
私、あまり男の子と遊んだことはおろか、
喋った記憶すらないんです。
だから、その、初めてが江室君でよかったと思っています。
だから、今日は本当にありがとうございます、
江室君」
美夏の思いがけない言葉に雄介は言葉を失った。
あの時廊下で会った時もそうだったが、
美夏は時々可愛らしい仕草を見せる。
それに雄介は思わずぐっと来てしまう。
何と言っていいかわからずに、
雄介は頭をぼりぼりとかく。
「…………だからこそ……巻き込みたくはないんです……」
途端、
とても小さく、消え入りそうな声で美夏はつぶやいた。
「美夏……?」
心配そうに美夏の顔を覗き込むと、
美夏は初めて雄介に笑いかけた。
だが、その顔に纏わりつく雰囲気はどこか哀しげだ。
「江室君、ひとつお願いがあります」
「……何だ?」
「私と……お友達になってくれますか?」
「……っ!ああ、もちろんだ!」
この時初めて、雄介は美夏との関係をなんとなく修復できたような気がした。保健室での出会いから今まで、
雄介はこの時をずっと待ち望んでいた。
それが今、目の前にある。
美夏が小さく「ありがとう」とつぶやくと、
突然校内放送のアナウンスが流れた。
『まもなく、
今年度桜魔高祭の一大イベント「桜魔高生徒対抗トーナメント」が行われます。
皆様、どうぞ足をお運びください。
場所は――――』
「桜魔高生徒対戦トーナメント?」
校内アナウンスに対して疑問の声を上げるのと、
美夏がベンチから立ち上がるのはほぼ同時だった。
「私、行かなくちゃ」
「へ?どこへ?」
美夏は答えない、
ただ背を向けるのみだった。
「江室君。
絶対に、
絶対に対戦トーナメント会場には行かないでくださいね……」
そうつぶやくと、
突然美夏は走り去ろうとした。
「美夏!」
とっさに雄介は美夏の手を掴んだ。
「一体どうしたんだよ、
いきなりいなくなろうとするなんて。
せっかく友達になったんだしさ、
もっと色々回ろうぜ。
ほら、ここに先輩がくれたフリーパスポートもあることだしさ。
まだ使ってないじゃんこれ」
そう言って雄介は細かく折りたたんだそれを見せる。
「ごめんなさい、
私、行かなきゃ……」
美夏の肩がわずかに震えているのが目に見えてわかった。
「美夏……?」
刹那、
雄介が手にしているフリーパスポートが赤く輝きだした。
「うわっ!?」
雄介は思わずそれを地面に落とす。
すると、どういう仕組みなのかそれはひとりでに開かれ、
そこから巨大な赤い陣が出現した。
「魔方陣!?」
美夏も驚いたようで、
雄介に手を握られたまま目を見開いて、
自らの足に広がる魔方陣を凝視していた。
一瞬にして、二人の意識は赤い魔方陣の中に吸い込まれていった。
第二章2-2段落、いかがでしたでしょうか?
こんかいは3段落の準備段階として話を進めてきたつもりですが、
やっぱりどことなく先が読めてしまう感じが、
作者自身反省しながらひしひしと感じております。
さて、前回と今回は江室と美夏との関係の修復を主として話を進めてきましたが、
いやはや江室君、
今回も大胆ですね。(笑)
これでもかいと言うくらいのテンプレ進行ですね(笑)
「4段落」では江室の秘密が少し暴かれるような展開を用意していますが、
そこにたどり着くまでには幾多もの準備段階が必要だと考えています。
しかし作者、めげずに頑張ります!
なので皆様、今後もこの小説を読んで楽しんでいただけると嬉しいです
(●´∀`●)
次回、『桜魔高生徒対戦トーナメント編』に入ります。
今まで以上に魔法術式が出てきます。
幾人もの強者を相手に、
雄介は一体どうやって立ち向かっていくのか!?
物語が急展開を迎える次回以降、
お楽しみに!