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コード・オブ・レヴァリエ  作者: 伊瀬 未兎
第二章 『春の桜魔高祭』
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第二章 『春の桜魔高祭』 1-2

どうも伊瀬 未兎です。



なんとか生還いたしました。




部屋もすっきり爽快きれいさっぱりすっきりしゃっきり……




……まぁ、とりあえず1-2段落、どうぞ///

――――やっぱりあやしい。





 生徒会室から教室へ戻る廊下の道中、


雄介は紫にもらった桜魔高祭のフリーパスポートをまじまじと見つめていた。




 とりあえず、怪しいところは無い。




『生徒会専用』の印が押されている以外は、


HRで西嶋先生もといあやちゃん先生が生徒達に配ったのと同一だった。





「考えすぎか?」





 そう一人つぶやいて頭をかいた。




その時、前の方から女生徒が「では先生帰ります」という声とともに、



保健室から出てくる姿を雄介は見つけた。





「あ……」





 雄介が彼女の顔を見て短く声を上げるのと、


彼女が雄介の顔を見て青ざめるのはほぼ同時だった。





「君は……」





 あの時、適性検査の日に、


気絶していた雄介を看病してくれていた名も知らぬ女生徒だった。




手には『保険委員日誌』と書かれたファイルを抱えている。




多分委員の仕事が今ちょうど終わったところなのだろう。





「あ、あの……!」





 これはチャンスと思い、


思わず手を伸ばしながら一歩踏み出すと、


彼女はビクッと肩を震わせ、後ずさりした。





「や……いや……」





 いきなり彼女の顔が泣きそうになる。





「いやあああああ!!来ないでええええええええ!!」





 途端、彼女は大声で泣きながら、


何もしていない雄介から逃げた。





「ちょ、ちょっと待ってくれ!


あ、あれは誤解なんだ!


決してわざとじゃないんだ!


信じてくれ!本当だ!」





 雄介の必死の叫び声に、


彼女はピタッと足を止める。





「……わざとじゃ……ないの?」





 彼女は向こうを向いたまま問う。





「本当だ、


あの時はまだ頭がボーッとしていて周りがよく見えてなかったんだ。



ただ、感謝の気持ちを込めて肩に手を置こうとしたら、


案外君が遠くにいたものだから、


君の……その、『アレ』に、触ってしまったんだ。



本当なんだ、嘘じゃない」





 やや早めの口調で、自分の無実を証明しようと、


雄介は事の成り行きを精一杯語った。



彼女も雄介が説明をしていくうちに少しずつ落ち着いてきたようで、


後ろ向きのまま、ただ静かに話を聞いていた。





「……ほ、本当に?」





 おどおどしながら、


彼女は依然後ろを向いたまま小さくつぶやいた。





「本当本当」





 雄介が何度も頷いてそう言うと、


しばらくして彼女はゆっくりとこちらを向いた。





「うっ……」





 雄介は思わず意味の無い声を漏らしてしまう。




保険室での時は一瞬のことだったからよくわからなかったが、


改めてこうやって彼女の顔を見ると、


どうしてどうして彼女はとても可愛らしかった。




 くりくりとした目に溜めた涙が、


朱色の夕日に照らされてキラキラと輝き、


ショートカットの髪が窓の隙間から流れてくる風でなびく彼女の姿は、


まるでおとぎ話に出てくるようなお姫様のようだった。




 そう考えながら無意識に顔が赤らんでいるのを自覚した瞬間、


彼女がほぼ90度の角度で頭を下げた。





「ぉお!?」





 雄介はわけがわからず、


思わずおかしな声を上げる。





「わ、私こそごめんなさい!」





「へ?」





「わ、私、あなたの話を全く聞かずに叩いちゃって、本当にごめんなさい!」





 雄介は唖然とした。



まさか逆に謝られるとは思っても見なかったのだ。



しばらく硬直した後、


雄介はハッとしたように意識を戻した。





「あ、いや……悪いのは俺の方だし、


別に君が謝る必要なんて………………って、


何してるの?」





 謙遜の意を述べる途中で、


雄介は彼女の行動に疑問を覚えた。



 彼女は90度の謝罪から頭を上げると同時に、


保険委員日誌で顔全体を隠して、


雄介の視線を完全シャットアウトしていた。





「ご、ごめんなさい。



わ、私、男の子とあんまり話したこと無くて……その、


どうしていいかわかんなくて……」





 彼女は縮こまるように小さく答えた。





「え、ええと……


そ、そうなんだ……」





 そう言うと同時に話題が急に無くなり、


直後に長い沈黙。



いたたまれなくなった雄介は、


ポスターを持った左手を腰に当てて、


右手で頭をかいた。





「あ」





 先に声を上げたのは彼女だった。



日誌の影から顔をのぞかせていた彼女が見ていたのは、


雄介が手に持っていた桜魔祭のポスターだった。





「それ、生徒会の印が押されてる……」





「ああ、これ?」





 雄介はポスターをひらつかせる。





「生徒会……入ったの?」





「いや、そう言うわけじゃないけど、


まあ成り行きでね」





「そ、そうなんだ……」





「なんでも、


これを持ってるだけでフリーパスポートになるんだってよ、


しかも人数制限無しって言うとってもとってもうれしい特権付き…………」





 そこまで言ったところで、


雄介はポスターと彼女を交互に見た。



そして一つの考えが頭の中にズギューンとコンマ一秒で流れるのを感じた。





「そうだ、そうだそうだそうだよ!!」





「な、何何!?」





 いきなり大声を上げた雄介の声に、


彼女が体を大きくビクつかせて驚きの声を上げたのと同時に、


雄介はほぼ無意識にガバッと彼女の手を掴んでいた。



彼女の足元に日誌がバサリと落ち、


彼女の顔が一瞬にして真っ赤に染まった。





「ななななななな何なんですかぁ!?」





「なあ!


俺と一緒に桜魔高祭回ってくれないか!」





「へ?


えええええええええええええええ!?」





 もう何度目ともわからない彼女の叫び声が廊下に響き渡った。



つまりはデートしてくれないかと誘ってるようなものだから無理もなかった。





「いいだろ?



あの時のお詫びもかねて、


君のその人見知りを治す手伝いをするからさ!」





「は、ははははいいいいいい!!?」





頭がぐちゃぐちゃに混乱していたせいで、


彼女は思わずデートの誘いにOKを出してしまった。





「本当か!?よかった!


俺は江室 雄介!


君は?」





「ううううううう上乃うえの 美夏みなつですぅ!」





「じゃあ美夏!


桜魔高祭で会おうな!


じゃまた!」





 雄介はテンション上げ上げのまま、


鼻歌交じりにその場から立ち去った。





「な、なんなんですかぁ~…………」





 美夏は顔を真っ赤にしたまま、


へろへろと力無く廊下に座り込んだ。

江室、この野郎め。




書いている作者自身、





「こいつはなんてやつだ」





と若干の妬みを持たざるを得ませんでした。



ところで、皆さんお気づきでしょうか?



所々、東方Projectテイストがあることを。



実は作者、東方に最近どハマリでして、


正直、作者自身東方関連の名前などを入れている自覚などありませんでした。



ところが結構先まで進んだ某日、





「あれ!?これ東方の名前じゃね!?」





と今更ながらに気づきまして、


今更変更することも叶わず、


仕方なくこのまま進行していくことになりました。



この先、そういった視点から見るのも楽しいかもしれません。




東方に全く関係してないけどね。




次回、第二章 2-1段落。




桜魔高祭一日目。



なにこれ妬ましいと言いたくなるようなベタなテンプレリア充展開が催されます。



江室爆発しろ。

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