第一章 『適性検査《ベータテスト》』 2
そんなわけで第2段落です。
言い忘れてましたが、それぞれの章での段落は4~5となっています。
ハーレムっていいよね。
とりあえず、こっから魔法関係みたいな描写がちょっとづつ出てくるので、
ちょっとばかし説明文が多くなってしまうかもしれませんが頑張って読んでください(←オィ)
――――徹にああは言ったものの、やはり気まずい。気まずすぎる。
先生に指定された場所はだだっ広い空間だった。
『実技試験管理棟』と呼ばれるここは、
外から見たらただの体育館ぐらいにの大きさくらいにしか見えないが、
やはり中の空間自体はかなり広い。
校舎の方もそうだったがこれも魔法の一つなのだろうか。
建物自体は、実際に魔法や術式を行使するにあたって、
まだ力の弱い初心者のために常に建物内には魔力なるものが満ちて魔法を行使しやすくされている。
最低限必要とされる術式射程距離を十分に得るために、端から端まで妨げのなるものは一切無く、
天井は果てしなく高い。
ニスの塗られた木製の床に、何かわからない白い素材で出来たとてつもなく広い壁、
それと天井のライトが辺りを照らすのみだ。
窓は比較的高い所に位置している。
魔法の被害を受けないようにするためだろう。
しかしそれはどうでもいいとして……。
チラッと周りを見渡す。
女子の好奇の視線がとてもつらい。
背がもうちょっと低ければよかったのだが、
女子全般背が雄介より低いために一クラス四十人余りの女生徒全員の視線の集中砲火を浴びる羽目になった。
50音順に並んでいるため、
比較的前のほうに並んでいるからなおさらだった。
「あの人が男子の魔術師?」
「背ぇ高ぁい」
「強いのかな?」
「まさか、男よ男。
どうせ『ダウナー』に決まってるでしょ。
期待するだけ無駄よ無駄」
『ダウナー』というのは、魔術師として無力な奴のことを指す侮蔑の言葉だ。
主に男性に対して使われることが多い。
ジャージ姿に着替えた先生がパンパンと手を鳴らす。
「はいはーい、皆さんお静かにお願いしまーす」
場の空気に慣れたのか、
初めの頃と比べるとずいぶんと仕草や言動が明るい雰囲気に変わってしまった先生の呼びかけで生徒が静まり変える。
「えーっとぉ、これから皆さんにはいくつかのテストをしてもらいまーす」
再び生徒がざわつく。
さっきもそうだが入学早々いきなりテストをするというのだから無理も無い。
「あやちゃーん、テストって何をするんですかぁ?」
「うおっ!?お前いつの間に!」
いつのまにか列をすっ飛ばした徹が手を上げて隣に立っていた。
おもむろに徹が雄介の両肩に手を乗せてうつむいた。
「……雄介、一つ聞きたい。
全方位女生徒視線ビームを浴びつづけて正気を保てると思うか?」
「ムリ」
即答。
「さすがの俺でもあれはキツい。
それにあいつら俺のことをダウナーってバカにするんだよぉ……」
徹が若干疲れたような顔つきで言った。
「間違ってないだろ」
「裏切り者!」
「えーとですね、それにはまず、皆さんにいくつか理解してもらいたいことがありまーす」
二人の会話をそっちのけに、
徹の質問に対してコホンと小さく可愛らしい咳払いをすると、先生は話を続けた。
「まず確認ですが、
一般的な通常魔法を行使する他に、
皆さんもご存知の通常魔法の発展系である術式には3つの種類が存在します。
攻撃特化型の『召喚術式』、
防御特化型の『結界術式』、
支援特化型の『幻視術式』がそうですね。
他の術式においてもこれからの授業の中で学んでいくと思いますが、
とりあえずここまではいいですかー?」
「……雄介、お前わかった?」
「いいや微塵も」
全くご存知じゃない二人のひそひそ話が耳に入った先生が突然泣き出しそうな顔になる。
「うぉぉおおおお!?嘘嘘!先生嘘!わかった!理解した!
スッゲェバッチリ!んもう先生の説明わかりやすいよ!
なぁ徹!!」
「お、おお!あやちゃんサイコー!可愛いよ!」
いきなりのフリにとまどった徹の発言はセクハラで訴えられかねないものだったが、
どうやら妙にうれしかったらしく、
先生は再び笑顔を取り戻した。
「じゃあ説明を続けまーす!」
もう帰りたい……と心の中でつぶやく。
「俺、帰りたいかも……」
雄介の心に同期したかのように徹が先ほどより小さくぼやいた。
「同感……」
二人の嘆きもそこそこに、先生は意気揚揚と話を続けた。
「えーっと、次に『魔法の属性系統』について説明しまーす。
基本的に魔法の属性は『火』『水』『地』『風』の四大元素に分類されます。
これは先天的なものなので人によってそれぞれです。
それぞれ自分の属性系統に見合った元素を自由に操ることが出来るようになりますが、
これも今回の検査でついでに調べていくので覚悟してくださいねー!」
先生は満面の笑みを生徒に振りまいた。
「で、先生?その肝心の適正検査って一体何をするんですか?」
これ以上なにかしらの説明が始まるという大災害が起こらないように、
雄介は本題を無理やり話の途中にねじ込んだ。
「もっちろん」
先生は再び笑顔になる。
「百聞は一見にしかず、実践あるのみ。
ただ、どうせだから初めはあなたに手伝ってもらおうかなー」
「……………………はい?」
◆ ◆ ◆ ◆
実践前の(話題をねじ込んだ努力も報われず)、
先生の凡人の頭には到底理解不可能な超絶難解説明が雄介の頭を再びオーバーヒートさせた。
ひとまず頭に「?」を浮かばせる雄介のために、
先生が噛み砕いて説明してくれたからおおまかなことはわかった―――気がする。
通常魔法や術式を行使するには、
自身の体内に宿る『魔力』とよばれるエネルギー媒体を消費すればよい、
というのは元々なんとなくわかっていたが、先生はいくつかの注意事項を述べた。
『一つ、魔力は放出系のエネルギー媒体であるだけで、
変換させない限り魔力そのものを操ることは出来ない。
一つ、自身の属性系統に適合した元素であれば、
魔力自体を炎や水などに変換させて操ることが出来る。
これがいわゆる『通常魔法』である。
この通常魔法を発展させて応用を利かせたのが『術式』である。
ゆえに術式自体にも属性系統が存在する。
ちなみに、他の元素を操れないことは無いが、適合する元素よりは極端に劣る。
一つ、魔力を消費して術式を行使するには、
通常魔法を行使するより大きく魔力を消費する。
一つ、魔力はエネルギー媒体であるがゆえに自身の精神力であり体力である。
むやみやたらに行使し続けると死を招くこともあるので注意が必要。』
さてさてさてさて第二段落。
ここはまだ戦闘前の準備段階。
次回から魔法なるものが出てくる、かも知れません。
それにしても、
むぅ……、存外文章量が多くなってしまうのは否めない。
けど文庫本は一つの作品で300Pぐらいいくからこんなもんなのか?
それはまあおいといて、次回、第三段落