表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コード・オブ・レヴァリエ  作者: 伊瀬 未兎
第三章 『忌み深き追憶』
17/38

第三章 『忌み深き追憶』 1-2

誰かさんのの突然の訪問が描かれます。


それではどうぞ!

「おお、もう出るところだったか。



早起きだな、関心関心」





「…………先輩?」





 うんうんとうなずく目の前のありえない人物に、


雄介は一瞬見間違いではないかと思わざるを得なかった。





「おはよう、江室」





 雄介の目の前に立つ紫はにこやかにあいさつをする。





「人違いです」





 そう言ってすばやくドアを閉めようとするも、


足と手の両方を同時に差し込まれてそれを阻止される。





「ちょっと待てい江室、


何も閉めることはないだろう」





「俺はあなたのことを知りません」





「さっき先輩と言ったではないか」





「それはきっと空耳でしょうね」





「……ほう、そんな事を言うか。



ほう、へえ、ふぅん」





 紫は、軋むドアの綱引き状態の隙間から少しばかり据わった目で雄介を睨む。





「な、なんですか……」





 途端、足と手がドアの隙間から抜かれ、


勢いよく閉まる。





「?」





 雄介は不思議に思ってドアに耳を当てた。





「……あーもしもし?生徒指導の先生ですか?



私見ちゃったんですけど、


男子生徒が男子寮に女子を連れこんで一日中――――」





「だああああああああああああ!!!」





 これ以上の突発的大災害を起こしてはならないととっさに判断した雄介は、


大声を張り上げてドアを勢いよく開ける。





「ようやく観念したかこのアンポンタン」





 紫はフンッと鼻を鳴らして携帯を閉じる。





「ちょっと勘弁してくださいよ!



マジで今心臓が止まるかと思いましたよ先輩!!」





「お前がふざけたことを言うからだ」





「だってここ男子寮……



って先輩!


何勝手に上がってんですか!」





 有無を言わさず、


紫は雄介の寝泊りする部屋にずかずかと上がり込んだ。





「安心しろ、あの電話は嘘だ。



かけてなどおらん」





「それはそれでそうでないと困りますけど……



って先輩、学校はどうしたんですか。



今日は桜魔高祭二日目でしょう、


生徒会として何かしなくちゃいけない事とかないんですか?」





「心配するな、そんなものとっくに終わっている。



それより江室、まだ登校までに時間があるだろう、


少し話しておきたいことがある」





 そう言って紫は一つしかないクッションに座る。



しかたなく雄介はテーブルを挟んだ向かいにおずおずと座る。



もちろんフローリングの床に。





「それで?話したいことって何です?



特訓のことですか?



とりあえず貴重な数少ないお茶という名の高級飲料は出しませんよ」





「お茶はなくて構わない。




特訓は中止だ、というか終わりだ」





「え?」





「今日はお前に頼みたいことがあって来たんだ」





 思いも寄らない紫の言葉に、


雄介はまた何か企んでるのではないかと危惧した。





「安心しろ、今回は何も企んでおらんよ」





「今回は……ね」





「何か言ったか?」





「いえいえ何も」





 あわてて首を振る。





「……まあいい。



それで頼みたいことと言うのはだな、


ある人物を探し出して欲しいと言うことだ」





「人物?人探しですか」





「そうだ」





「桜魔高校の生徒の中から?」





「そうだ」





「なら生徒会の権限で呼び出せば早いじゃないですか、


俺の時みたいに」





 雄介はあきれたようにため息をつく。





「ばか者、出来ることならそうしている。



奴の名前も顔も未だにわかってないのだ」





「名前がわからない?



それなのにどうしてその人を探そうとか思うんです?」





 雄介の言葉に紫はしばし考えるように唸ると、


「まあいいか」とつぶやいた。





「江室、お前は『捕食者スペルイーター』と言う名前を聞いたことがあるか?」





 全く聞き覚えのない雄介は素直に首を横に振る。





「お前達一年が入学してきて以来、


『捕食者』と名乗る人物が生徒の魔力を強制的に奪い取っている、


という噂が広まっているんだ」





「ま、魔力を奪い取る……ですか」





 とんでもない噂が広まったものだと雄介は唾を飲んだ。




 魔力を奪うと言うことはすなわち、


奪われた者の精神力や体力をも奪うと言うことだ。



下手をすれば死をも招きかねない。





「捕食者がどのような目的や方法で魔力を奪っているのかはわからんが、


火の無い所に煙は立たない。



兎にも角にもこの噂が万が一本当だった場合、


生徒の身にこれ以上の危険が及ぶのは生徒会として見過ごすわけには行かない。



というわけで――――」





「俺が……?」





「そうだ、噂の真相を確かめて欲しい」





「何で俺が……」





「今までお前の特訓に付き合ってやったんだ、


このくらいの頼み素直にハイと言えんのかお前は」





「……はぃ」





 渋々、雄介は小声ながらも承諾した(半ば無理やり)。





「よろしい。



……それにしても江室、


どうでもいいが何なんだおまえの部屋は」





「何がです?」





 雄介の部屋を見渡した紫があきれたようにぼやく。





「お前の部屋はまるで初期の時そのままではないか」





 紫の言葉に雄介は申し訳なさそうに笑う。





「俺も最近そう思い初めてですね、


今度カーペットでも買おうかと」





「それはいい心がけだな。



いつまでも初期のままでは面白味に欠ける」





 そう言いながら紫は腕時計に目を向ける。





「……っと、そろそろ時間だ、行くぞ。



生徒会会長が遅刻なんて言語道断だからな」





「お先にどうぞ」





「……何を言っている?」





「いえ、ですから俺は後で行きます」





 トップクラスの実力を持つ生徒会長と、


ダウナー呼ばわりされている一生徒の雄介が一緒に登校なんて、


徹や他の生徒には絶対に見せられないなんて言えない。



ていうか、それこそまるで、


二人が昨日一緒に寝泊りしたみたいに勘違いされるのではないかと雄介は思う。





「何を言うか、お前も来るんだ。



みすみす遅刻しそうな者を置いておく奴がどこにいる」





「それは先輩がいきなり押しかけてくるから……」





「問答無用!」





 雄介の嘆きも届かずに、


紫は雄介の襟をガッシと掴んでそのまま外へと引きずっていった。

第三章1-2段落、いかがでしたでしょうか?




さて、今回は生徒会長が思い切ったことをしました(笑)




この後徹が色んな意味で哀れな存在へとシフトしていきます(笑)




果たして捕食者の正体とは?




次回、


雄介による捕食者捜索開始。



雄介の身に降りかかる災難とは?



そして徹はどうなるのか(笑)





今後もこの小説を読んで楽しんでいただけると嬉しいです

(●´∀`●)




では、お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ