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コード・オブ・レヴァリエ  作者: 伊瀬 未兎
第二章 『春の桜魔高祭』
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第二章 『春の桜魔高祭』 5

今回はトーナメント後の話を描いています。



それでは、どうぞ!

 雄介が目を覚ますと、


すぐに目に入ったのは真っ白な天井だった。



すぐ横のカーテンが紅く輝く夕日の光を遮って、


ぼやけた光が部屋をほんのりと照らしていた。





「また、ここか……」





 雄介が真っ先に思いついたのは学校の保健室だった。



確信を得たのは、


左に座る美夏の存在に気づいてからだ。





「大丈夫ですか?」





 美夏が心配そうに雄介の顔を覗き込む。





「なんとか……」





 背中に痛みを伴いながら雄介は上体を起こし、


辺りを見回した。



どうやら保健室には現在雄介と美夏の二人しかいないようだ。





「美夏は、もう大丈夫なのか?」





 美夏は確か雄介よりも爆風による強い衝撃を受けたはずだが、


そんな様子は美夏からは感じられなかった。





「私は、体が結構丈夫なんですよ。



確かにあの時は結構痛かったですけど、


今はもうそんなにないです。



それより、雄介君のほうが心配です。



雄介君、あれからずっと起きなかったから……


私心配で……」





「……ああ、ごめんな心配かけて。



多分、久しぶりに使っちゃったから疲れたんだろうな」





 雄介は、どこか哀しげに自分の両手を見つめた。





「使ったって……?


何をですか?」





「………………『悪魔の手』」





「え?」





 突然のつぶやきに、


美夏は思わず聞き返す。





「悪魔の手なんだよ、俺の両手は……。



俺は……呪われてるんだ」





 雄介の言葉に、


美夏は少し困惑していた。





「悪魔の手って、


どうして雄介君の手が悪魔の手なんですか?



そうは見えないんですが……」





 美夏は雄介の両手を見て言った。



それに対して、


雄介はその手をきつく握り締めた。





「美夏も見ただろ、


俺があのデケェ岩の塊を殴るところ」





 少し考えて美夏はうなずく。





「はい、確かに殴ったところまでは見てました。



けど、その後すごい爆発があって――――」





「それだよ」





「え?」





「あの爆発は……俺がやったんだ」





 今度こそ、美夏は驚きを隠せないようだった。





「どういう、ことなんですか?」





 困惑の表情を隠し切れないまま、


美夏は雄介の言葉を待った。





「……この悪魔の手は、


『破壊』の力を持ってるんだ……



俺が使った左手は物質破壊の力。



壊すしか能のない、


呪われた悪魔の力だ……。



多分、この力のせいで、俺は魔法を一切使えないんだ。



だって、破壊の力を持つ奴が何かを生み出そうとすることなんて出来やしないんだから……




自分で自分の魔法を消してしまうなんて皮肉だよな……」





 美夏は何も言えなかった。



突然の雄介の告白に、


どうしようもなく頭が混乱していたからだった。





「俺はね、美夏」





 雄介が話を続ける。





「この学校に来れば、


この力を消し去る方法が見つかるかもしれないと思ってたんだ。



この力さえ無くなれば、


俺は皆と同じように魔法を使うことが出来るようなるかもしれない。



徹のようにバカみたいに笑って過ごせるのかもしれない。



もう……『悪魔の子』なんて呼ばれなくなるかもしれない……



そう思うんだ。



でも、やっぱり無理なのかな……」





「雄介君……」





 紅い光の差し込む静けさの増した保健室で、


雄介と美夏はお互いにしばらく言葉を発さなかった。




 保健室の入り口で、


聞き耳を立てていた紫がどこかへと歩いていくのを二人は知らない。

第二章5段落、いかがでしたでしょうか?



ついに江室の目的が本人からカミングアウトされましたね。




この後の展開は一体どうなってゆくのでしょうか?





今回は伏線の回収と設置を行いました。




次回、



『桜魔高祭生徒対抗トーナメント編』に続いて、



『捕食者編』に突入します!




悪魔の子と呼ばれる江室の過去とは?




紫は一体何を企んでいるのか?



そして、江室自身はこれからどうなってゆくのか?





新たな物語が始まる『捕食者編』




お楽しみに!



今後もこの小説を読んで楽しんでいただけると嬉しいです

(●´∀`●)

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