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コード・オブ・レヴァリエ  作者: 伊瀬 未兎
第二章 『春の桜魔高祭』
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第二章 『春の桜魔高祭』 4-2(トーナメント前編)

YAHOOOO!!



ついに来たぜこの回!




作者自身も結構気に入ってる四段落。



ついにトーナメント戦開始です!



その代わり、


今まで以上に果てしなく長いのでニ分割になってしまいます。




申し訳ございません。




それではどうぞ!

『そぉれではぁ!両チーム準備はよろしいでしょうかぁ!』





 校長の威勢のいい言葉に、


両チームの周りの空気が一気に鋭いものへとシフトする。





『では!桜魔高生徒対抗トーナメント・ラストバトル、スタァートォーーーー!!!』





 校長の合図とともに、まずは両チームのアタッカーが動く。




 こちらは紫一人の単独疾走だが、


あちらは四人が横に並んで迫ってくる。





「……前方、


左から二番目、


アタッカー、


召喚付与による左斜め上方からの斬撃、


風」





 雄介の隣にいる江向がそうつぶやいた瞬間、


敵の横に並んだ四人の内、


左から二番目の選手だけが、


武器になにやら緑色の光と風を纏わせながら紫に真っ向から向かっていく。





「了解」





 紫がそう応答すると同時に、


緑の光を纏わせた敵は剣先を自らの右肩まで持ってくると、


「だぁりゃあああああ!」という女子らしからぬ叫び声とともに一思いに振り下ろした。




 だが、それは先ほどの江向のアドバイスのおかげか、


紫は生身の剣の刀身を左手で支えながらも難なく防ぐ。




 一人の選手が紫を足止めしている内に、


残りの三人が紫の横を通り過ぎる。





「『最強の矛』と謳われるその腕前、


お相手願おうか生徒会長?」





 紫とつばぜり合うオレンジヘアバンドの選手がつぶやいた。





「望むところだ」





 会長もどこか楽しげに答える。



途端、


紫の剣のつばにピキッと音を立てて氷の塊が生まれた。



それは徐々に刀身全体に広がり、


やがて剣全体を覆う。




それはもはや剣ではなく、


まるで鋭く光る氷の刀のようだった。





「……へぇ、君、


水属性の中でも準高度の『氷』属性なんだ。



トップレベルは伊達じゃないってわけだ」





 少々驚き気味の三年生のその言葉に、


紫は「どうも」と答える。





「頼んだぞあーちゃん!」





 残りの三人を見送りながら、


紫は叫んだ。





「はいはーい」





 三人を相手にするには少し装備が貧弱すぎるのではと雄介が思う間も無く、


敵選手が亜美に急接近する。





「せぇぇぇええええい!!」





 今度は三人同時に高々とジャンプし、


威勢のいい声とともに亜美を真上から斬りつけようとする。





「……左右はフェイク、


本命は真中、


上段からの召喚付与による中距離攻撃、


火」





 再びの江向のつぶやきに、


亜美はまたもや「はいはーい」とおっとりとした口調で答えると、


おもむろに円盾を相手に向けてかざした。





岩牢断壁クレイウォール





 そう静かに亜美が唱えると、


かざした円盾から放射状に岩が広がる。




それは一瞬にして半径3メートル程の巨大な盾、


いや、壁を形成した。





「三年をなめるな『最強の盾』ええええええええ!!」





 真中のポニーテールの選手の刀身にゴウッと猛々しい音を立てて炎が生まれる。





轟華炎舞ブレイズゲイラーああぁぁぁぁぁ!!」





 空中で振りかぶった剣をそのまま勢いよく振り下ろすと、


纏った炎が刀身を離れ、一直線に亜美の形成した『岩牢断壁』へと飛翔し、


直撃する。




 しかしそれは『地』属性である亜美の術式には大して効果はなく、


壁が少しばかり焦げるだけだった。




それでも相手選手は攻撃の勢いを止めず、


『轟華炎舞』を放ちっぱなしにしている。





「行け!」





 ポニーテールの選手の合図で、


背後に隠れていたもう一人の選手が亜美の脇を抜ける。



しかし、亜美自身は動揺する気配も見せず、


ただ防御に専念している。





「よろしくね真奈ちゃーん」





 亜美の言葉に江向は小さくうなずいた。



気づけば、


江向はいつも手に持っていた本を持っていはいなかった。





「『最強の矛』も『最強の盾』ももういない!



後は『幻視術式』適正のアンタだけだ一年!



どうやら予知の力を持ってるらしいけど、


いくら先の事が読めるからって自分が無防備だったら意味は無い!」





――――優勝チームの勝利





 そうだれもがそう確信した。





 青のストーンを斬りつけようとする短髪の選手の勝利を確信した顔がそれを物語っていた。





 だが、それは甲高い金属の擦れ合うような音で驚愕の表情へと変貌した。





「な……に……?」





 声を発したのは相手選手、


そして雄介だった。





 江向は『幻視術式』適正だ。



先ほどまで行使していた『予知』も『幻視術式』によるものだ。



それは雄介自身が紫から聞いているので間違いない。





しかし、


江向が展開しているそれは……それはまるで『結界術式』のようだった。





「……『絢爛風靡ジェノサイドウィンド』。



この壁に触れたものは、


何であろうと切り裂く」





 いつもより重みを増した声で江向がつぶやく。





 江向は何も持たず、


右手のみでそれを展開している。




 『絢爛風靡』と呼ばれるそれは風属性のもので、


江向を包むように風と緑の光が行き交っている。



 だが、そのスピードが尋常じゃない。




あまりにスピードが速すぎて風が刃と化している。



 先ほどの甲高い音はこれと剣がぶつかり合う音だったのだ。





「……雄介」





 江向のいきなりの呼びかけに、


雄介ははっとした。



 手に握った金属バットを握り締めて勢いよく振りかぶる。





「おぉらああああああああ!!」





 何の変哲も無いバットだが、


あっけに取られていた相手選手は反応に遅れ、


避けることも出来ずにとっさに剣の腹で雄介の攻撃を防いだ。




 相手選手と江向の距離が離れる。



雄介も江向とストーンの間に隠れる。





「……っどうして!?


アンタは『幻視術式』適正のはずだろう!



他の術式が使えるわけが無い!!」





 相手選手が叫ぶ。



その声に混じって、


笑いを押し殺すような声が雄介の耳に届いた。





「誰が術式は一つしか使えないと決めた?」





 それは、


未だオレンジヘアバンド選手と対峙し続けている紫からのものだった。



通信機はどうやらオープンチャンネルに切り替えているようだ。





「どういうこと?」





 困惑した表情で短髪の選手は問う。





「決まっている」





 一つ間を空けて紫はこう言い放った。





「江向は、


複数の術式適正を持つ数少ない魔術師『複数適者マルチホルダー』なのだ」





 観客が静まり返る。




 紫の言葉が届いたわけではない。



ただ皆、


目の前で起こっている先輩達と優勝チームとの戦いに声も出なかったのだ。





「す、すごい……」





「『最強の矛』と『最強の盾』の術式もすごいけど……


あの一年生、


今二つ術式使わなかった?」





「え、ええ。



噂で聞いたことがあるんだけど、


魔術師の中には同時に複数の術式を扱うことのできる奴がいるみたいよ。




確認されているだけで、


世界で十人に満たないとかなんとか」





「うそでしょ……」





 観客が徐々に元の歓声を戻しつつある中、


雄介は未だ江向に対しての驚きを隠せないでいた。





「『それ相応の魔法技能を持っていなければ』と言ったろう。



江向には媒体となる武器も盾も必要ない」





 通信機を通して紫が雄介に語りかける。



チャンネルはすでにクローズドチャンネルに戻っている。





「まさか複数の術式を扱うとか思わないですよ普通。



しかも武装無しで片手なんて、


怖いもの知らずじゃないっすか」





 そう言いつつ、


雄介は手元のバットに目を向けた。





「それより先輩」





「何だ?」





「今更なんですけど、


何で俺だけ金属バット?」





「ばか者、


初心者に剣など危なっかしくて持たせられるか」





「いや、そうだとしても、


もうこれは……」





「……何だ、何か問題でも?」





「それはもう重大な」





 冷や汗を額に流しながら、


雄介はグリップ部ギリギリまで根こそぎ切断された、


もはやバットと呼ぶことさえ困難なそれを握り締めていた。





「バット……


無くなっちゃいました」





「……は?」





 先ほど雄介が短髪選手への攻撃を加えた際、


勢い余ってそのまま江向の『絢爛風靡』にバットを接触させてしまったのだった。



案の定、


金属製であるはずのバットは見るも無残に切り裂かれ、


跡形も無くバラバラになってしまった。





「……ドジ」





 江向が無表情のまま雄介に背を向けてつぶやく。





「返す言葉もございません……」





 落ち込む雄介をよそに、


思いっきりぶつけた相手選手の剣はというとほぼ無傷だった。



よく見ると、


所々に土くれのようなものがこびりついている。





「……『地』属性特有効果、


硬度変化」





 江向が相手の武器を凝視しながらつぶやく。




 紫曰く、


それぞれの属性には、


物に属性付与させた際の特有効果というものがあるらしい。



『火』は温度変化、


『水』は形容変化、


『風』は鋭利変化、


『地』は硬度変化といったぐあいだ。




おそらく、


相手選手もストーンに切りかかる際に、


あらかじめ『地』属性付与をかけていたのだろう。



紫の剣が刀に容姿が変わったのもそうだ。





「……おかしい」





 ふと、江向がいぶかしげにつぶやいた。





「どうした?」





 疑問の念を含んだ江向の言葉に、


雄介は無意識に警戒心を膨らませた。

第二章4-2段落、いかがでしたでしょうか?




とうとう『生徒会 VS 優勝メンバー』の開戦です!




ここまで来るのにどれだけ準備期間を費やしてきたか……

(つA`)




読者の皆様もやっとかと言う思いだと思います。




ここまでついて来てくださった方、本当にありがとうございます!




とっても多くの至らない点がある作者ですが、


今後もこの小説を読んで楽しんでいただけると嬉しいです

(●´∀`●)



さて、今回はトーナメント前編と言うことで勢いのある展開に見えるように仕上げてみました。



それにしても江向ちゃん、


若干チートですね(笑)



ことごとく出番の無い江室涙目(涙)



駄菓子菓子だがしかし


江室君は次回はやってくれると作者信じてます!



それでは次回、


トーナメント戦後編です!




武器を無くした江室の取った行動とは?


生徒会チームに襲い掛かる敵チームの策略とは?


そして、何か違和感を感じた江向のその理由とは?


色んな急展開が訪れるトーナメント後編!



では、次回もお楽しみに!

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