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コード・オブ・レヴァリエ  作者: 伊瀬 未兎
第二章 『春の桜魔高祭』
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第二章 『春の桜魔高祭』 4-1

今回で準備段階は終了です。



ここまで根気強く待ってくださった方に感謝です!



では4-1段落、どうぞ!

 歓声は部屋にいるときと比べてとてつもなく大きい。



薄暗かった廊下から出て差し込んだ太陽の光に思わず目を細める。




 出てきた場所は、自陣側にある青ストーンの真後ろだった。




すでに両陣のストーンは復活していて、


約2メートル程地上から離れたところで静かに浮いている。



だが、ストーン自体は部屋の中から見たときよりも想像を超える大きさだった。



ざっと三~五メートルはなかろうかという大きさだ。




 すでに生徒会チームと優勝チームはそれぞれの配置に着いている。




 敵チームの配陣は、


後方に一人、


前方に四人の五人陣形だった。





「どうやら敵はアタッカーとディフェンサーしか配置していないようだな、


その上アタック重視のようだ、速攻型か」





 紫が分析するように敵陣を観察しながらつぶやく。




 敵の陣形に対して、


生徒会チームの配陣は前方にアタッカーの紫一人、


その後ろにディフェンサーの亜美、


その後ろにサポーターの江向。



そして最後に、


江向の横に並んで立つ「役に立たない」雄介と、


ストーンに隠れるようにして立つ「部外者」の美夏という、


余りものを除けば三人という少しばかり人数の心もとない直線バランス型の三人(+二人)陣形だった。





「全員聞こえるか?」





 紫が耳につけた、


銀色に輝く超小型のマイク付きイヤホンである遠距離通信機を通して確認する。





「魔法を使って遠距離通信出来ないのか」と先ほど雄介が尋ねた所、


「出来ないことはないが魔力を無駄に消費したくは無い」ということでこういう仕組みが自然と出来たそうだ。





「大丈夫ですわー」





「……問題ない」





「俺も大丈夫です」





「わ、私もです」





 通信機を通して雄介の耳に全員の声が届くと、


今自分達が立っているのは戦いのコート上なのだ。



と、ひしひしと今更ながらに実感させられた。





『さあ、今年の桜魔高生徒対抗トーナメントのメインイベント!



優勝チームによる生徒会との時間無制限対抗マッチ!



ギブアップはもちろんのこと、


時間制限や魔力の使用上限も存在ナッシング!



それぞれ思うがままの魔法をビシバシ使っちゃって燃え尽きるまで戦っちゃってくださーい!』





 相変わらずハイテンションの校長のアナウンスに会場が一層湧き上がる。




 雄介は校長のアナウンスを聞きながら、


準備前での紫達との会話を思い出す。





◆◇◆◇◆◇





「先輩」





「何だ?」





「結局のところ、俺は何をすれば?」





通信機が支給される途中で、


雄介は紫に尋ねた。





「お前は江向の援護をするだけでいい」





「援護って言ったって、


俺は魔法を一切使えないんですよ?」





「すぐでなくていい、


出来そうだったら行使してもらって構わないし、


それまではこれで相手の魔法を何とか防いで江向を守れ」





 そう言って紫は、


おもむろに銀色に輝く金属性の棒状の物を雄介に手渡した。





「これって……」





「金属バットだ」





「これでどうしろと!?」





「江向を守れとさっきから言っているだろう。



お前の耳は何のために付いている」





「でもこれじゃあ……」





「金属バットを甘く見るな、


その気になれば人だって殺せるんだぞ」





「怖いこと言わないでくださいよ」





 雄介は思わずブルッと身震いする。





「それに、


相手が所持する武器はこんな生易しいものじゃないはずだ」





 途端、紫の顔が険しくなる。



その目は相手チームの方を向いていた。



雄介もつられて見る、


そして気づく、


相手選手が何か鋭く光る物を持っているのを。





「あれって……剣?」





「……だろうな」





「そんな!?なんでそんな物!」





「このトーナメントは伝統行事だと言ったろう。



この戦いは元々、


誰がこの国の政権を握るかを争って始まったものなのだ。



初期の頃は目も向けられないほどの血みどろの戦いにも発展したと聞いている。



その名残が今も受け継がれているのだろうな」





「だからって相手ばっかりあんな武器……!」





「おいおい、誰が自分達は素手で行くと言った?」





 紫はそう言うと、


いつの間にか右手に握っていた漆黒に輝く長剣を雄介の前に突き出した。





「私達も武装するに決まっているだろう。



安心しろ、


別に本当の殺し合いをするわけじゃない。




全ての剣も鋭利な物ではないし、


たとえ触れたところで内蔵されているスタンガンで気絶するだけだ」





 紫は口元を歪ませた。




 突き出された剣に戸惑いながらも、


雄介は紫の後ろに立つ亜美の方へ目を向ける。





「あれ?


近藤先輩の持ってるものって、


盾……ですよね?」





 亜美が左手に持っていたものは、


腕全体を覆うほどの大きさの円盾だった。



右手には銀に輝く剣を携えている。



だが、その刀身は紫のそれと比べるとかなり小さい。





「あーちゃんは『結界術式』適正だからな、


盾を媒体にして術式展開する方が何かと都合がいいのだ」





「先輩は盾持たなくてもいいんですか?


一応持っておいたほうが……」





「私にとってはただのお荷物にしかならんよ」





 紫は漆黒の剣を上下にブンブン振り回す。





「あ、はは、


そうっすか……。




ん?アタッカーの天宮先輩が剣で、


ディフェンサーの亜美が盾なら、


じゃあ江向の武器は一体なんです?



まさか本ということはないでしょう」





 振り回す剣を止め、


紫は「ああ」と口を開いた。





「江向にとって武器を持つことは、


それこそなおさらお荷物になりかねんからな。



武器は無しだ」





「えぇ!?」





 雄介は驚いて江向の方を見る。



江向は相変わらず本を読んではいるが、


やはりその手に武器らしきものは見当たらない。





「本当にいいんですか?」





「いいのだ、


そのうちお前にもわかるさ」





 そういい終わると、


紫は自分の配置についた。



 亜美や江向も黙って配置についた。

第二章4-1段落、いかがでしたでしょうか?




やっとここまで来ましたね!




次から戦います!




ここまで辛抱強く待っていただいた方、


本当にありがとうございます!




さて、今回は伏線の回収、設置、回収、


そしてまた設置を一気に行いました。



誤字・脱字を発見された場合は、


コメントしていただけると嬉しいです。




次回、


やっとですね、やっと。




トーナメント『生徒会 VS 優勝メンバー』戦が行われます!




全くの役立たずな江室 雄介は一体どのようにして生徒会を勝利に導くのか!?



では、次回もお楽しみに!



今後もこの小説を読んで楽しんでいただけると嬉しいです

(●´∀`●)

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