第二章 『春の桜魔高祭』 3-2
第二章も架橋を超えた3-2段落。
今回はトーナメントの細かな説明が生徒会長の口から説明されます。
「簡単に説明しておこう」
足元に心もとないライトが照らされる薄暗い階段を下りながら、
紫は口を開いた。
「トーナメントは一チーム四~五人で行われ、
赤と青の二チームに分けられる。
それぞれのコートには『ストーン』と呼ばれるクリスタルがコートの最深部に設置されているのだが、
それをどちらがいち早く破壊できるかを競うというのが、
今トーナメントの大まかな流れだ」
「なるほど……」
「そして、
主に相手コートに責めてクリスタルを破壊するのが
『召喚術式』を得意とするアタッカー。
自陣のコートや味方を守るのが
『結界術式』を得意とするディフェンサー。
そして、
相手の動きや陣形を見通して、
アタッカーとディフェンサーの支援をする
『幻視術式』を得意とするサポーター。
これらの3つの術式適正系統を持つ魔術師をバランスよく配置することが、
このトーナメント勝利の鍵となる。
もちろんそうでなくても構わない。
ちなみに、今回私がアタッカー、
あーちゃんがディフェンサー、
江向がサポーターということになっている」
「ちょ、ちょっと待ってください、
江向も出場するんですか?」
「もちろんだとも」
さも当たり前だとでも言う風に紫は素っ気なく答えた。
「でも、このトーナメントって二・三年しか出れないんですよね、
そしたら江向は必然的に出場できないんじゃ?」
「それは問題ない、
生徒会のメンバーであればたとえ一年であろうと出場を許可されることになっている。
もちろん、
それ相応の魔法技能を持っていなければそれも叶わないが」
「そ、そうなんですか……。
すげえな江向、頑張れよ」
江向はいつも通り本に目を通しながらも軽くうなずいた。
「何を言っている、
お前も出るんだ江室、
それに上乃もだ」
その言葉に、
雄介と美夏はそろって訳のわからないといった声を上げた。
「あの部屋に転送された時点ですでにエントリーは完了している、
あのポスターはそれも兼ねているのだ。
まさか上乃までついて来るとは思わなかったが、
この際仕方が無い、
お前にも出場してもらわねばならない」
「で、でも私、
この学校に入学したばっかりで魔法なんて何も……」
「別に戦い自体に参加しなくていい、
ただ後ろの方で見ているだけで構わない」
「じゃあ俺も――――」
「お前は参加しろ」
「何で!?」
美夏ならまだしも、
全く魔法を使えない雄介が戦いに参加しろとは一体どういう了見なのだろうか。
むしろ足手まといにしかなり得ない。
と、雄介は自分で思っていて空しくなる。
「なんでも何も、
今回の戦いはお前のための戦いでもあるのだ」
「へ?」
「お前があまりにも魔法に関する技術や知識を身に付けるのが下手すぎるのでな、
もう実践で身につけるほうが口であれこれノウハウを語るよりもてっとり早かろう、
というわけだ。
ちなみに私達と戦うのは、
さっきまで戦っていた幾多ものチームの中で優勝を勝ち取ったチームだ。
お前の頭でも理解できたか?」
「本気っすか……」
「本気だ。
気にするな、
私達も出来るだけの援護はするさ、
可能な限りな」
最後に怖い言葉をつぶやくと、
紫は階段を下りた突き当たりにある大きな鉄製の扉に手をかけた。
「行くぞ」
紫の言葉に全員がうなずく。
それを確認すると、
紫は重々しく扉を押し開けた。
第二章3-2段落、いかがでしたでしょうか?
早く戦えと言う声が聞こえてきそうな展開ですが、
申し訳ありません、
あと一回待っていただければ戦います。
今回は伏線の回収を行いました。
トーナメントの説明はわかりやすかったでしょうか?
もしくは誤字・脱字を発見された場合は、
コメントしていただけると生徒会長に説教しに行きます(笑)
次回、
物語的にも主人公的にも準備段階終了します。
敵の陣形を分析したり、
武器を携帯したりと。
やっとですね。
次回でやっと準備終了です。
こんなじれったい作者ですが、
今後もこの小説を読んで楽しんでいただけると嬉しいです
(●´∀`●)
では、次回もお楽しみに!