いきなり現れた月。〔 2 〕
私は、もう一度教室に戻ることにした。やっぱり鉄臭い。
「さて、私はこの事件の犯人を探したいのだが…君は協力してくれるかい?」
「うわぁ?!いきなり話しかけないでよ!」
驚きすぎて殴りそうになった。
「すまない。君の名前を知らないから呼ぶことが不可能なんだ」
「まぁ、それならしょうがないね」
「名前は本当に教えてくれないのか…そんなことより、協力はしてくれるのかい?」
「犯人探しだっけ?でもそれって警察とかがやるべきじゃない?実際に人が死んでる訳だし…」
「じゃあ、どうして警察はまだ来てないんだ?」
たしかに。この事件は私が来る前にはすでに起きているはず。しかも、こんなに目撃者がいるんだ。誰かが警察を呼んでいたっておかしくない。
「誰もかけてない可能性…」
「それはない。君だってそれはないと気づいているだろう。実際に警察に電話をかけてみるといい」
私は夜野にそう言われ、警察に電話をかけた。
『もしもし、こちら███警察署です』
「████高校です。事件が起きました」
『あ〜████高校ね。それなら大丈夫。探偵さんが事件を解決してくれるよ』
「探偵…?」
『そ。あ、でもその探偵が死んでたら事件解決できないか。まぁ探偵が死んでたらもう一回かけ直してくれ』
ブツ…
切れた…探偵?一体誰のことなんだ?
「警察はなんて言った?」
「探偵がこの学校にいるから行かないってさ」
「やっぱりそうか」
「…探偵って誰のことなの?」
「そうだね…なら、今から見ていくといい」
「それってどういう…」
夜野が三歩前に出て、大きい声でこう言った。
「私は探偵だ」
…???
「この事件を解決したい。そのために、みんなには協力してほしい」
【音楽室】
「ねぇ、どうして私まで一緒なの?あと、どうして音楽室なの?」
「本当は一対一で聞きたかったのだが、犯人がまだ凶器を持っていたら怖いからね。プレッシャーも兼ねて君を連れてきた。どうして音楽室かは、単にこの学校の音楽室に防音機能がついてるからだ。情報が漏れるのは阻止したい」
「詳しいんですね」
「君よりこの学校にいる時間は少ないはずなんだが…」
「さてと」と夜野は座っていた椅子から立ち上がり、「第一目撃者を連れてくる」といい音楽室を出ていった。一人で音楽室に残されるのはなかなか怖かった。
「またせた。第一目撃者を連れてきた」
夜野の隣には一人男がいた。夜野は椅子に座ってくれと言わんばかりに椅子を2つ持ってきた。
「さて、私が聞きたいのは被害者の名前、彼との関係、彼の人柄、君が来る前には死んでいたかだ」
すると男は
「彼の名前は〘 斎藤 太一 〙です。彼とは友達です。彼は料理が好きで、よく家に招いて料理を食べさせてくれました。彼は私が来る前から死んでいました」
「…随分落ち着いてるんだね」
「えぇ。今日死ぬのはなんとなくわかっていましたから」
「というと?」
「彼、昨日〘 六畳 隼人 〙と喧嘩したらしいんですよ」
「それは何処で得た情報だ?」
「メッセージアプリです。昨日、夜の10時くらいにメッセージで『隼人と喧嘩した』というのが来ました」
「そうか。斎藤 太一は最近なにかしたとかはあるか?」
「最近ですか?…あ、『特注の包丁を作ってもらった』ってすごい喜んでましたよ」
「なるほど。協力感謝する」
「…これだけでいいんですか?」
「ああ、聞きたいことは聞けたしもう大丈夫だ」
第一目撃者の男は音楽室から出ていった。そのとき、夜野はコソコソと何かを聞いていた気がする。
「夜野、情報これだけでいいの?」
「とりあえずはこれでいい。さて、本人に話を聞きに行こうか」
「喧嘩はしていません」
六畳から出てきた言葉は衝撃的だった。
「喧嘩をしていない?」
「はい。そもそも、昨日は太一とは会っていません。」
会っていない…?夜野は落ち着いた様子で続けた。
「なら、昨日は何をしていた?」
「休日だったので一日中ゲームをしていました」
「外出はしたかい?」
「していません。ゲーム配信をしていたので」
「配信?一応配信チャンネルを教えてくれ」
六畳は自分のスマホで配信チャンネルを見せてきた。
「たしかに、昨日はゲーム配信をしているね。協力感謝する」
六畳は音楽室から出ていった。
「ねぇ夜野。これってどういうこと?」
「少し混乱しそうだが、知りたい事ができた。ついてきてくれ」
【校門前】
「遅かったじゃないか」
「ごめん。いきなり学校を抜け出すとは思わなかったから、先生に帰るって言ってきた」
「そうか。…もう一人も来たね」
私の後から一人の男が出てきた。誰だこの人。
「待ってたよ。〘 相沢 愛斗 〙」
「夜野、この人は?」
「六畳 隼人の一番仲の良い友達だ」
「どうも。相沢 愛斗と言います。それで夜野さん。太一の家まで貴方達を連れていけば良いんですよね?」
「ああ、よろしく頼む」
歩いている途中、
「相沢 愛斗、聞きたいことがある」
「相沢でいいですよ。フルネーム、少しウザいんで」
「…相沢、昨日六畳 隼人は斎藤 太一の家に行ったことを知ってるか?」
「知っています。メッセージアプリで隼人が言っていました」
「なるほど」
そんな会話をしながら私と夜野は相沢と一緒に斎藤の家に来た。
「やっぱりマンションなのか」
「『やっぱり』…ってことは知っていたんですか?」
「ああ。第一目撃者から聞いておいた。相沢、協力感謝する。もう帰っていいよ」
「もうですか?まぁ早く帰りたいのでありがたいのですが」
相沢は帰っていった。夜野は斎藤の家に来てどうするつもりだろう。すると夜野は隣の部屋のインターホンを鳴らした。
「ちょっと!何してるの?!」
「まあまあ、見ているといいよ」
ドアが開き、女性が出てきた。体型は痩せ気味で、身長は高い。女性はだるそうな感じで「どちら様ですか?」と言った。
「昨日、隣の部屋は騒がしかったですか?」
「隣の部屋?そういえば、昨日は怒鳴り声みたいのが聞こえたよ」
「ありがとうございます」
「…もしかしなくても貴方は探偵ですか?」
「知ってるんですか?」
「うん。████高校に探偵がいるってことは有名だからね。まさかこんな少女が探偵だったとはね」
少女ではないんだけどね…
「あはは。このことは他言禁止でお願いします。それでは」
私と夜野はマンションから出た。
「夜野って敬語使えるんだね」
「失礼な、それはそうと犯人がわかった。喧嘩をしたなら動機もあるはずだ」
「そうだね」
「六畳 隼人のところに行こう。私達は学校を抜け出して来たからまだ学校にいるはずだ」
【学校の教室】
「六畳 隼人はいるか?」
「いきなりなんですか?まだ聞きたい情報が?」
「六畳 隼人、君が犯人だろう?」
「はぁ?!俺が犯人だって言う証拠は?」
「一つ目、君は昨日、斎藤 太一の家に行っている。これは第一目撃者と相沢 愛斗から聞いた。そして、メッセージアプリの会話内容も見たから物的証拠もある。次に二つ目、君は斎藤 太一と喧嘩をしている。隣の部屋にも聞こえるくらいの声量でね。これで動機はクリアだ。最後に三つ目、君は犯行に使う包丁を間違えたんだ」
「包丁を間違えた?それはどういうことだ?」
「この包丁を見てほしい」
夜野は犯行で使われた包丁も見せた。…それって勝手に持ち出したり、動かしたりしていいものなのか?
「この包丁、名前が刻まれてるんだ。ほら、包丁の腹の部分に『斎藤 太一』と掘ってあるだろう?」
「…っ!たまたま斎藤 太一って名前が掘ってあった可能性は?」
「この包丁は特注だ。あり得ない」
「……クソ。やったのは俺だ。俺が犯人だ」
すごい。本当に犯人を当ててしまった。
「どうしてこんなことをしたんだ?」
「…あいつが憎かったんだ。俺は楽しそうに料理してるあいつを見てると怒りが湧いてくるんだ。それで、喧嘩をして、太一を殺して。最低だな俺。太一とは友達だったのに、その友達を自分の手で殺しちまった」
「悔いているなら、刑務所で心を入れ替えてその罪を償えるように努力すると良い」
「ああ、そうだな」
これで終わったんだ。でもどうやって刑務所に送るんだろう?警察は動いてくれなさそうだし…
『御名答だよ。探偵くん』
誰?!…いない。後ろから話しかけられた気がしたんだけど…って六畳が消えてる?!さっきまで目の前にいたのに。
「やっぱり、姿は見えないか」
「ねぇ夜野。六畳は?」
「六畳 隼人は警察に逮捕されたよ」
「…え?いや、だって警察来てないじゃん」
「いや、最初からずっといたんだと思うよ」
「どういうこと…?」
「そうだね…六畳 隼人を連れて行った警察っていうのは私の妹、〘 夜野 華 〙だよ」
妹…?
「夜野の妹は四年前に行方不明って自分で言ってなかった?」
「ああ、行方不明だよ。だけど、本当は近くにいるんだ。姿が見えないだけでね」
「姿が見えない…?」
「私の姉が言うには、『いつも環境に馴染んでて華を知ってる人でも気づけない』と言っていたよ。しかも、私が目を瞑ってる間に私が当てた犯人に連れて行くんだ。今までに何回か事件を解決してきたけど、毎回こんな感じ」
「夜野の妹は影がすごい薄いのか化け物かなんかなの…?」
「さぁ、わからないね」
夜野の妹、怖。少しの沈黙の後、夜野が言った。
「そういえば、君は教師に『家に帰る』と言ったらしいがこのあとどうするんだ?」
「う〜ん…家に帰ろうかな。あと2教科分授業あるけど、今更授業受ける気にもならないし」
「なら、私の家に来ないか?私も教師に帰ると言ってしまってね。帰るしかないんだ」
私が夜野の家に…??
こんにちは。この話は1-2です。推理小説なのに内容がとっても薄いですね。書いていけばいずれは内容の濃い小説が書けるのでしょうか…?




