12月20日 土曜日
土曜日の午後、僕たちは駒沢公園へ出かけた。冬の空気は冷たかったけれど、広い公園の中を歩くと、どこか心が軽くなる。ジョギングをする人や犬の散歩をする人がいて、のんびりした雰囲気が漂っていた。
「So big… and many trees」
「うん、ここは地元の人がよく来るんだ」
エミリーは広い芝生を見渡しながら、スマホで写真を撮っていた。
「Beautiful place. I like it」
僕は少し勇気を出して、英語で話そうとした。
「Here… Komazawa Park. Long ago… Olympic Games, 1964」
発音が怪しくて、伝わったかどうか不安になる。エミリーは一瞬首をかしげてから、にっこり笑った。
「Olympics? Oh… I see. That’s cool」
本当に理解してくれたのかはわからない。でも、僕の拙い英語を笑わずに受け止めてくれたことが嬉しかった。
ベンチに座って、二人で少し休憩した。冬の木々は葉を落としていたけれど、枝の形が美しく、空に伸びているのを見ていると不思議と心が落ち着いた。
「Jun, you like nature?」
「うん、好きだよ。葉っぱの形とか、木の枝とか…なんかきれいだと思う」
「You’re like a poet」
彼女の冗談めいた言葉に、僕は照れて笑った。
帰り道、夕暮れの空が赤く染まっていくのを見ながら、エミリーがふいに言った。
「Today… very good day. Thank you, Jun」
「僕も楽しかったよ」
その笑顔を見て、胸の奥が温かくなった。
――彼女と歩くだけで、見慣れた公園が少し特別に見える。




