12月18日 木曜日
木曜日の放課後、母が「今日は餃子を作ろう」と言った。エミリーに日本の家庭料理を体験させたいらしい。僕は正直、料理なんてほとんどやったことがないから気が重かった。
「Jun, cooking today?」
「うん、餃子っていう料理。皮に具を包んで焼くんだ」
「Sounds fun! I want to try」
台所に並んで立つと、母が具を用意してくれた。ひき肉と野菜を混ぜた餡を皮にのせ、端を水で湿らせて包む。僕は恐る恐るやってみたけれど、皮が破れて中身がはみ出してしまった。
「Oh… Jun, messy!」
エミリーが笑いながら、器用に皮をひだ状に折りたたんでいく。まるで何度もやったことがあるみたいに、きれいな形の餃子が次々と並んでいった。
「How? You’re so good」
「I watched video before. Easy!」
僕は情けなくなって、ぐちゃぐちゃの餃子を見つめた。母は「まあ、味は同じだから」と慰めてくれたけれど、エミリーが横から覗き込んで言った。
「But… your dumpling has character. Special shape」
その言葉に、僕は思わず笑ってしまった。彼女の言い方は冗談めいていたけれど、どこか本気で褒めてくれているように聞こえた。
焼き上がった餃子を食卓に並べると、香ばしい匂いが広がった。エミリーは一口食べて目を輝かせる。
「Delicious! Crispy outside, juicy inside」
母が嬉しそうに頷き、父も「やっぱり手作りはいいな」と言った。僕は自分の不格好な餃子を口に運びながら、彼女の笑顔を横目で見ていた。
――不器用でも、彼女と一緒に作ったから、少し誇らしい。
そう思った瞬間、胸の奥が温かくなった。




