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14Days  作者: 双鶴


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12月16日 火曜日

 放課後、僕はエミリーを連れてエーダンモール深沢へ向かった。学校から歩いて十五分ほどの商店街は、昔ながらの店と新しいカフェが並んでいて、地元の人たちでいつも賑わっている。


「Wow… so many shops!」

「うん、ここは地元の商店街なんだ」


 彼女は目を輝かせながら、看板や店先を次々と指差す。八百屋の色鮮やかな野菜、魚屋の氷の上に並ぶ魚、パン屋から漂う甘い匂い。どれも新鮮に映るらしく、立ち止まっては「写真撮っていい?」とスマホを構えていた。


 たい焼き屋の前で、エミリーが足を止めた。


「What’s this?」

「たい焼き。魚の形をしたお菓子だよ。中にあんこが入ってる」

「Fish… sweet? Interesting!」


 僕は二つ買って、一つを渡した。熱々のたい焼きをかじった彼女は目を丸くして笑った。


「Sweet… but good! I love it」


 その笑顔に、僕の胸がまた跳ねる。彼女が楽しそうにしているだけで、僕まで嬉しくなるのだ。


 歩きながら、彼女がふいに尋ねた。


「Jun… no ramen shop here?」

「ここにはないよ」


 エミリーは少し残念そうに肩をすくめた。


「Someday… I want to eat ramen」


 その言葉に、僕はスマホを取り出して母に電話をかけた。


「もしもし、母さん。エミリーがラーメン食べたいって。近くにある?」

『駒沢公園の近くに一風堂があるわよ。歩いて十分くらいね』


 電話を切ると、僕はエミリーに伝えた。


「There is a famous ramen shop… Ippudo. Ten minutes walk」

「Really? Let’s go!」


 二人で並んで歩き、駒沢公園の前を通る。僕はふと思い出して、慣れない英語で口にした。


「Here… Komazawa Park. Long ago… Olympic Games, 1964」


 発音が怪しくて、伝わったかどうかはわからない。エミリーは少し首をかしげてから、にっこり笑った。


「Olympics? Oh… I see. That’s cool」


 そう言ってくれたけれど、本当に理解してくれたのかは不明だった。でも、僕の拙い英語を笑わずに受け止めてくれたことが、妙に嬉しかった。


 一風堂に着くと、店内の香りにエミリーが目を輝かせた。


「Smells so good!」


 ラーメンを前にして、彼女は箸を器用に使いながら「Delicious!」と声を上げた。僕はその隣で、ただ頷きながらラーメンをすすった。


――彼女と歩くだけで、見慣れた街も、食べ慣れた味も、少し違って見える。


 そう思いながら、僕は家への帰り道を並んで歩いた。


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