12月25日 木曜日
クリスマスの朝、学校に行くとクラスメイトたちが口々に「メリークリスマス!」と声を掛け合っていた。教室はいつもより賑やかで、机の上には小さなプレゼントやお菓子が並んでいる。
「Jun, Merry Christmas!」
「めりーくりすます!」
エミリーも笑顔でみんなに声をかけていた。彼女の明るさに、教室全体がさらに華やかになった気がした。
昼休み、友人が僕に小さなチョコを渡してきた。
「純、これみんなで分けろよ」
「ありがとう」
エミリーにも渡すと、彼女は嬉しそうに受け取った。
「Sweet gift. Thank you, Jun」
放課後、僕たちは家に戻った。母が用意してくれたのは、昨日に続いて苺のショートケーキ。エミリーは「またケーキ!」と笑いながらも、嬉しそうにフォークを手に取った。
「Japanese Christmas… two cakes! Lucky」
「そうだね。ちょっと贅沢だ」
食後、彼女がふいに小さな袋を差し出した。
「Jun, for you」
「え、僕に?」
中には、彼女が持ってきたアメリカのキャンディが入っていた。赤と緑の包み紙がクリスマスらしくて、僕は思わず見入った。
「I wanted to share… my home taste」
「ありがとう。すごく嬉しい」
その瞬間、胸の奥が温かくなった。彼女が自分の国の味を分けてくれることが、ただのキャンディ以上に特別に思えた。
夜、ツリーの灯りを見つめながら、彼女が小さな声で言った。
「Jun… this Christmas, I’ll never forget」
「僕もだよ」
言葉にすると照れくさかったけれど、彼女の笑顔を見ているだけで、心からそう思えた。
――古い家で迎えたクリスマスは、僕にとって人生で一番輝いた夜になった。




