12月24日 水曜日
クリスマスイブの夜、僕の家はいつもより少しだけ華やかだった。ツリーのライトが畳の部屋を照らし、窓辺には小さなサンタの人形。古民家なのに、どこか洋風の温かさが混じっていた。
「Wow… so pretty!」
エミリーはツリーの前で笑顔を見せた。母が用意した料理は、チキンとサラダ、そして苺のショートケーキ。父はワインを開けて「メリークリスマス!」と声を上げた。
「Merry Christmas!」
「めりーくりすます!」
みんなで乾杯すると、エミリーは嬉しそうにグラスを掲げた。
食卓では、彼女が日本の料理に興味津々だった。
「This chicken… different taste. Very good」
「母さんの特製だよ」
「Special… I like it」
ケーキを食べるとき、彼女は目を輝かせていた。
「Japanese Christmas cake… so cute!」
その笑顔を見ているだけで、僕の胸は温かくなった。
食事のあと、みんなでプレゼント交換をした。母が用意した小さなマフラーを受け取ったエミリーは、すぐに首に巻いて「Warm! Thank you」と笑った。僕は彼女に、英語の短いフレーズが書かれたノートを渡した。
「Jun… for me?」
「うん、少しでも日本語と英語を一緒に勉強できたらいいなと思って」
「That’s wonderful. I’ll use it every day」
彼女の瞳がまっすぐ僕を見ていて、顔が熱くなる。
夜更け、ツリーの灯りが静かに瞬く中、彼女がふいに言った。
「Jun, this Christmas… very special. Because I’m here, with you」
僕は言葉を失い、ただ「うん」と頷いた。
――古い家なのに、今夜だけは世界で一番温かい場所に思えた。




