12月22日 月曜日
月曜日の朝、教室に入ると、エミリーはすでに席についていた。ノートを広げ、真剣な顔で黒板を見つめている。その姿に、僕は思わず背筋を伸ばした。
最初の授業は日本史だった。先生が戦国時代について説明すると、エミリーは首をかしげながらも一生懸命ノートを取っていた。
「Jun… Sengoku? Many battles?」
「そう、戦国時代。Lots of battles」
「Ah… like Game of Thrones?」
彼女の例えに、クラスがどっと笑った。先生も苦笑しながら「まあ、似ているかもしれないね」と答えた。
次の英語の授業では、逆に彼女が主役になった。先生が「今日はエミリーさんに発音を聞かせてもらいましょう」と言い、彼女が朗読を始めると、教室が静まり返った。流れるような英語に、みんなが聞き入っていた。
「すげー、本物だ」
「発音きれいだな」
友人たちが感嘆の声を上げる。僕はその隣で、誇らしいような、少し恥ずかしいような気持ちになった。
昼休み、クラスメイトが彼女を囲んで質問攻めにしていた。
「好きな日本の食べ物は?」
「ラーメン! And sushi, tempura」
「部活って知ってる?」
「Yes, club activities. Very interesting」
彼女は笑顔で答え、みんなも楽しそうに笑っていた。僕は少し離れた席で弁当を食べていたが、ふと視線が合うと、エミリーが手を振ってきた。
「Jun, come here!」
呼ばれて近づくと、彼女が小声で言った。
「Thank you… for helping in class」
「いや、たいしたことしてないよ」
「But… I feel safe with you」
その一言に、胸が熱くなった。
放課後、校門を出るとき、友人が僕の肩を叩いた。
「純、お前いいな。なんか楽しそうだ」
「……まあね」
僕は曖昧に笑った。エミリーが隣で「See you tomorrow!」とクラスメイトに手を振っている姿を見ながら、心の奥で思った。
――彼女がいるだけで、いつもの授業が少し特別になる。




