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ep.1 暗い目覚め
序章
暗い。ただひたすらに暗い。
酷く不安を煽るような、或いはあるゆるものを深く吸い込みそうな黒い世界で、
空っぽのそれは生まれた。
目覚めは最悪だった。
理由はわからないが気持ちが悪い。
それでも気怠い頭を上げ、左右に首をふる。
何も見えない。光がない。それだけが確かだ。
「ここはどこだろうか。」
なんとなく声に出した。
低めの声がかすかに反響したような気がする。
ここは洞窟だろうか。
「あー、あー、あー」
続けて声を出して音の行き先を探る。
方向は見当もつかないが確かに反響している様子だけが明確だった。
この場所に留まっても暗いだけなので、壁を伝って歩いてみることにした。
はじまりはなんとなくだった。
でも、今は歩き始めたことを後悔している。
どれだけ歩いたのだろうか。
もう考えることをやめるくらいには歩いてしまった。
歩き続けた方がいい気がするが、もう疲れた。
一度歩みを止めて暗闇に身を任せようと思った。
その時、まぶしさを感じた。
淡いけれど真っ白な光が見えた。