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耽美

耽溺


あるとき彼は思った。

「この人でありたい と。」

勉学も普通程度、仕事もなかなか 妻もいて、子供も養っている。

普通 当たり前 だと言われるだろう人生を送ってきた彼にとって 、普通でないものは人生の刺激として憧れていた。

彼が町を歩き仕事に出向こうとした矢先、1人の男が目に入った。

男は家がないようで不潔な身なりをしており、通行人から人外かのような目で見られ、挙句には足で踏まれたりなどの暴力を受けていた。

彼が普通の人生を歩んでいた中で見た事のなかった異様な世界が視界に入る。

それが彼にとっての求めていた 刺激 だった。

私もあの男みたいに刺激的な人生を送りたい 、どうすればああなれるだろうか。

彼は職場までの道なりで懸命に考えた。

思考が行き着いた先は豪華絢爛の街 遊郭。

ぐるぐると頭の中で考えた気持ちは仕事が終わるまで抑えられず 職場を飛び出し 、美しい街へ出向いた。

場所と用途しか知らない行先。

着いたころには太陽は沈み 、提灯の明かりが揺らめいていた。

彼の 普通と呼ばれる身なりでも浮かれるであろう周りの人間の服装に目を輝かせ 、周りの人間から避けるような目で見られることに興奮を覚えた。

いそいそと見られ薄い声で噂される私への悪口 、通る女男限らずの、上から踏まれるような視線の感覚。

求めていたのはこれだった。

愛している妻 愛してくれる子供。

頭の中には 家族ではなく

刺激 興奮で荒くなる自分の呼吸の音。

次第に大きくなるのが分かる瞳孔。

敏感になる五感と感覚。

初めてなのにもっと欲しくなる欲求の高まり

彼は震えて言った 。「これが人生か。」


谷崎潤一郎さんの書かれる文章が素敵だなと思います。

普通ではないものに憧れる普通の人間

仕事に行ったっきり帰ってこない夫

普通とは何かよくわかりませんが

彼の中での人生の意味を、見つけ出せたのでしょうか

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